第124話 みんなの温泉
地下三階。
回復温泉エリア。
大盛況。
「はぁぁぁ~」
「極楽……」
「もう冒険したくねぇ……」
そこへ。
Aクラスパーティ。
机。
椅子。
木箱。
勝手に設置。
そして。
立て札。
『入浴料 銀貨十枚』
アクア。
「……は?」
ユウ。
「は?」
Aクラスリーダー。
「管理費だ」
「掃除もしてるしな」
実際。
タオル貸出。
椅子整理。
勝手に商売している。
冒険者達。
「まぁ銀貨十枚くらいなら……」
払ってる。
アクア。
頭にきた。
三十階。
管理室。
緊急会議。
ユキ。
「追い出します?」
アクア。
「どうするかな……」
ユウ。
「三階に魔物出せば?」
アクア。
「それだと憩い空間が消えるんだよな」
ユキ。
「温泉の意味が……」
ユウ。
「じゃあAクラスがいる時だけ水風呂」
アクア。
「客減る」
うーん。
沈黙。
そして。
アクア。
「あ」
ニヤリ。
地下三階。
温泉。
アクア登場。
トントン。
木を打つ。
立て札設置。
『この温泉はみんなの温泉です』
『Aクラスの所有物、またいかなる個人の所有物でもありません』
冒険者達。
ざわっ。
Aクラス。
「なんだこれ」
アクア。
満足。
そのまま去る。
三十階。
モニター監視。
ユウ。
「それだけ?」
アクア。
「まぁ見てろ」
Aクラス。
「ふざけやがって」
リーダー。
ガッ。
看板を引き抜く。
その瞬間。
ピコン。
三十階。
ユキ。
「あ、条件成立」
ボン!!
地下三階。
巨大魔法陣。
温泉のど真ん中。
現れた。
ナーガ。
巨大蛇。
赤い鱗。
燃える瞳。
口から炎。
Aクラス。
「え?」
ナーガ。
ゴァァァァァ!!
火炎放射。
浴衣姿のAクラス。
「熱っ!?」
「装備がねぇ!!」
吹き飛ぶ。
温泉客。
「うわぁぁぁ!?」
「魔物だぁぁ!!」
大混乱。
冒険者達。
慌てて温泉から出る。
滑る。
転ぶ。
全裸。
カオス。
Aクラス。
必死。
「武器!!」
「俺の盾どこだ!?」
ようやく装備。
ナーガ暴走。
温泉の岩砕きまくる。
ユウ。
モニター見ながら爆笑。
「大惨事!」
アクア。
「いい教育だ」
結果。
温泉客。
総勢二十人。
即席レイド化。
火魔法。
氷魔法。
剣。
槍。
総攻撃。
三十分後。
ナーガ討伐。
ドシャァァァ!!
倒れる大蛇。
全員。
ゼェゼェ。
Aクラス。
ボロボロ。
宝箱出現。
開ける。
“温泉の私物化禁止。看板を元の位置に戻せ”と紙が一枚。
冒険者の一人。
看板を拾う。
「これ戻すぜ……」
元の位置へ。
スッ。
その瞬間。
ナーガ死体。
シュゥゥゥ……。
消滅。
沈黙。
全員。
看板を見る。
そして。
Aクラスを見る。
冷たい視線。
「……」
「お前らのせいか」
Aクラス。
「いやその……」
温泉客。
「ふざけんな!!」
「死ぬとこだったぞ!!」
「金返せ!!」
Aクラス。
逃走。
その日を境に。
勝手経営。
完全終了。
地下三階。
再び。
平和な温泉空間が戻った。
ただし。
誰ももう。
看板には触らなかった。




