第123話 夜の温泉ダンジョン
慌てて洞窟ホテルへ戻る。
アクア。
「ミーちゃーん!」
扉を開ける。
すると。
テーブルいっぱいに晩飯。
湯気。
肉料理。
スープ。
パン。
果物。
豪華。
アクア。
「え?」
ユウ。
「え?」
十五階廊下。
ホテルマン発見。
アクア。
「あの、これ」
ホテルマン。
「はい?」
「お部屋をお尋ねしたところ、ドアが開きましたので、お食事をお運びしました」
アクア。
「……」
ユウ。
「……」
視線。
ミーちゃんへ。
ミーちゃん。
ニャー。
どや顔。
アクア。
「お前開けたのか?」
ニャー。
誇らしげ。
ユウ。
「天才猫だ」
ミーちゃん。
胸を張る。
そして。
三人で食事開始。
アクア。
「うま」
ユウ。
「この肉柔らかい!」
ミーちゃんも。
もぐもぐ。
アクア。
ふと止まる。
「……戻るか?」
ユウ。
「そうだね」
少し心配そうに。
「ユキ、餓死しないかな」
アクア。
「あいつならやりかねん」
テーブルの残り料理。
パン。
肉。
スープ。
全部包む。
アクア。
「ミーちゃん。また留守番頼むな」
「腹減ったらまたドア開けろよ」
ミーちゃん。
ニャー!
任せろ顔。
ギルド。
転送小屋。
銀貨投入。
ピカァァァ!!
再び雪山ダンジョンへ。
もう夜。
しかし。
地下三階。
大繁盛。
「はぁぁぁ~」
「生き返る……」
「ここ最高かよ……」
温泉。
冒険者十人ほど。
テントまで張られている。
ユウ。
「おぉ!」
アクア。
「夜間客も確保できたな」
しかも。
売店代わりなのか。
誰かが勝手に果物を並べて売っている。
商魂たくましい。
アクア。
「もう経済回ってんな……」
そして。
五階。
オークリーダー。
「ブモ?」
アクア。
「悪いな」
ドゴォ。
秒殺。
六階。
バンパイア。
「グァァ――」
ズバン。
秒殺。
十階。
雪狼部屋。
これも秒殺。
さらに。
十一階。
二十階。
三十階。
まだ未完成。
何もない。
広いだけ。
そこに。
ぽつん。
体育座りのユキ。
お腹。
「ぐぅぅぅぅ……」
鳴っていた。
アクア。
「……お前」
ユウ。
「待ってたの?」
ユキ。
涙目。
「ま、待ってないし」
「ちょっと死にそうだっただけだし」
アクア。
包みを投げる。
「ほら」
ユキ。
キャッチ。
中を見る。
肉。
パン。
スープ。
目が輝く。
「うわぁぁぁ!!」
泣きながら食べ始める。
「おいしいぃぃぃ……!」
ユウ。
「よかったね」
ユキ。
「私、こんなに優しくされたの初めてですぅぅ……!」
アクア。
「重い」
ユキ。
「師匠ぉぉぉ!!」
抱き着こうとする。
アクア。
顔面に手を当てて止める。
「近い近い」
その頃。
地下三階。
温泉客。
「なんかこのダンジョン居心地良すぎて帰りたくねぇ」
「住みたい」
「五階行くのめんどくさいな」
ダンジョン。
早くも本来の目的を見失い始めていた。




