第5章:ユキのダンジョン 第120話 雪女と食費問題
一方その頃、五階。
Aクラスパーティ。
「ぐあっ!!」
雪狼の爪が盾を吹き飛ばす。
「速ぇ!!」
「囲まれるな!!」
三メートル級の雪狼が二体。
さらに小型狼が群れで襲ってくる。
リーダー。
「クソッ!!」
汗だく。
全力。
ようやく一匹倒す。
息切れ。
その時。
誰かが呟いた。
「あいつら……どうやって倒したんだ?」
静まり返る。
思い出す。
あのガキ二人。
入って数秒で静かになった。
リーダー。
「……考えるのやめろ」
一方。
アクアとユウ。
普通にバンパイアゾーンを突破。
十階到達。
巨大な氷の部屋。
冷気が漂う。
中央。
女が立っていた。
真っ白な肌。
異様に長い黒髪。
裂けそうな口。
そして。
目が怖い。
ユウ。
「ホラーだ」
アクア。
「ホラーだな」
雪女。
ギロリ。
「よくぞここまで来た人間共ぉぉぉぉ!!」
声デカい。
さらに。
カクカクした動きで近づいてくる。
キモい。
ユウ。
「動きが怖い!」
雪女。
両手を広げる。
吹雪魔法。
ゴォォォォ!!
氷混じりの暴風。
つららが弾丸のように飛んでくる。
ガガガガガ!!
アクアとユウに直撃。
しかし。
つらら。
砕ける。
ユウ。
「寒い!」
アクア。
「寒いなこれ!」
結果。
寒いだけ。
雪女。
「え?」
アクア。
「もういい」
一瞬で距離を詰める。
雪女。
「ヒィッ」
バチィィィン!!
ビンタ。
超ビンタ。
雪女。
錐もみ回転。
「グハァァァ!!」
壁に激突。
ベチャッ。
倒れる。
アクア。
「よし終わり――」
雪女。
「待ってぇぇぇ!!」
土下座。
「殺さないで!!」
「このダンジョンあげるから!!」
アクア。
「……管理者か?」
雪女。
「う、うん」
ユウ。
「管理者いた!」
雪女。
「え?管理者わかるの?」
アクア。
「あぁ。俺も南の虹の地下百階層の管理者だ」
雪女。
正座。
背筋ピン。
ユウとアクア。
上から見下ろす。
完全に説教モード。
アクア。
「管理室どこだ」
雪女。
「ご、ご案内します!」
慌てて立つ。
壁へ向かう。
すると。
隠し扉。
ゴゴゴ……。
秘密通路出現。
ユウ。
「おぉー」
中へ入る。
管理室。
めちゃくちゃ狭い。
机。
椅子。
古くて黒い石板モニター。
そして。
大量の食べ物の包み紙。
アクア。
「……名前は?」
「ユキです」
「十階層しかないのか?」
「はい……」
アクア。
腕組み。
「結構客入ってるだろ」
「ポイントあるはずだ」
「なんでこんなお粗末なダンジョンなんだ?」
ユキ。
目を逸らす。
「そ、それは……」
「私の食費でした」
沈黙。
ユウ。
「食費」
ユキ。
「美味しい食材ってポイント高くて……」
「私、美味しい物食べたくて……」
アクア。
頭抱える。
「お前なぁ……」
ユキ。
「だ、だってカニとか高いんだもん!」
「幻の雪牛とか!!」
「高級アイスとか!!」
ユウ。
「気持ちはわかる」
アクア。
「お前も同意するな」
アクアは机を指で叩く。
「いいか」
「まずは客で溢れさせる」
「そこからポイントが余る」
「その余った分で贅沢するんだ」
ユキ。
「は、はい!」
アクア。
「なぁユウ」
ユウ。
「うん」
アクア。
「パラダイスバーベキューとか」
「高原アスレチックとか」
「雲の上とか」
ユウ。
「楽しかったね!」
ユキ。
「なにそれ!?」
食いつく。
アクア。
「客を楽しませろ」
「怖がらせるだけじゃリピーターは増えん」
ユキ。
「リピーター……」
ユウ。
「あと雪女怖い」
ユキ。
「え」
アクア。
「顔も怖い」
ユキ。
「ええ!?」
ユウ。
「動きも怖い」
ユキ。
「そんな!?」
アクア。
「声デカい」
ユキ。
「そこまで!?」
ユウ。
「でも素材はいいと思う」
ユキ。
「素材!?」
希望を持った。




