第119話 幻覚と山
ついに。
雪山ダンジョンへ到着した。
巨大な氷の入口。
半円状の洞窟。
中から冷気が漏れている。
しかし。
一歩入ると意外にも暖かかった。
アクア。
「あれ?」
ユウ。
「外より暖かいね」
壁には青白い鉱石が埋め込まれている。
ほんのり発光。
幻想的だった。
そして。
少し進むと。
数人の冒険者と遭遇した。
全員重装備。
毛皮。
大盾。
氷属性武器。
いかにも雪山専門。
その中のリーダー格。
傷だらけの大男がアクア達を見る。
「……子供?」
周囲もざわつく。
「観光か?」
「ここ遊び場じゃねぇぞ」
「死ぬぞガキ」
ユウ。
「また言われてる」
アクア。
「いつもの事だ」
その時。
足元から。
ぷるぷる。
青いスライムが現れた。
雪スライム。
ピョン!
アクア。
ぺし。
消滅。
ユウ。
ぺし。
消滅。
さらに三匹。
ぺしぺしぺし。
まるで虫払い。
Aクラスパーティが少し引く。
「……は?」
アクア。
「弱いな」
リーダー。
「この辺の雑魚はな」
さらに奥へ進む。
スライムが大量発生。
しかし。
アクアとユウ。
歩きながら。
ぺし。
ぺし。
ぺし。
会話ついでに倒していく。
気づけば。
床にはスライム死骸が二十匹以上。
Aクラス。
無言。
ユウ。
「なんか黙ったよ?」
アクア。
「プライド傷ついたんじゃね」
リーダー。
「ガキが……」
しかし。
再び皮肉。
「その程度で調子乗るなよ」
「五階からが本番だ」
「泣いても助けねぇぞ」
アクア。
「助け求めてないけど」
ユウ。
「むしろ助ける側?」
Aクラス。
イラッ。
そのまま。
全員一緒に五階到達。
巨大扉。
ボス部屋。
リーダー。
「ここから先は雪狼だ」
「素早い上に群れる」
「死ぬなよガキ共」
扉が開く。
中。
真っ白な巨大狼。
三メートル級。
赤い目。
グルルルル……。
Aクラス。
ニヤリ。
「お前ら死んだな」
そして。
バタン。
外から扉を閉めた。
ユウ。
「感じ悪いね」
アクア。
「まぁ見とけ」
雪狼が突進。
速い。
しかし。
次の瞬間。
ズバッ!!
アクアの短刀一閃。
首が飛んだ。
終了。
静寂。
外。
Aクラス。
「……静かだな」
「秒で死んだか」
そっと扉を開ける。
誰もいない。
雪狼の死体だけ。
奥の階段へ進んだ跡。
全員。
「え?」
アクアの声だけ遠くから聞こえる。
「いきなりAクラスがクリアできないボスはないな」
「宝箱もない」
リーダー。
「なんなんだあいつら……」
そして六階。
空気が変わった。
薄暗い。
赤い蝋燭。
棺桶。
ユウ。
「急にホラーだ」
その瞬間。
バンパイア出現。
長身。
赤い瞳。
黒マント。
「愚かな人間よ……」
瞬間。
幻覚魔法。
アクアの視界。
レオン。
現れる。
血まみれ。
「お前さえいなければ」
「全部うまくいったんだ」
近づいてくる。
しかし。
アクア。
「似てねぇな」
ズバッ。
即斬。
幻覚ごと消滅。
バンパイア。
「!?」
アクア。
「もっと嫌な顔してたぞあいつ」
ユウ。
一方その頃。
床を見つめていた。
「山だ……」
地面の岩を。
しこしこ。
なでている。
アクア。
「何してんだ?」
ユウ。
「堅い」
バンパイア。
「???」
意味不明すぎて止まる。
その瞬間。
もう一体のバンパイアがユウへ殴りかかった。
だが。
ユウ。
いきなり横になる。
寝たフリ。
ニヤニヤ。
バンパイア。
「な、なんだこいつ……」
完全に困惑。
たじろぐ。
その隙。
アクア。
ズバァッ!!
真っ二つ。
バンパイア消滅。
ユウ。
「はっ!」
我に返る。
そして。
アクアを見る。
「あれ?」
アクア。
「ん?」
ユウ。
「また大きくなってる!?」
アクア。
「は?」
視線。
下。
山。
完成。
アクア。
「なんでこのタイミングなんだよ!!」




