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奈落に落とされたが、そこは俺の領域だった  作者: 忍絵 奉公


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118/148

第118話 雪山を歩く怪物たち


もう一匹のグリフォン。

そいつは旋回しながらアクアへ襲い掛かってきた。

グォォォォ!!

巨大な爪。

鋭い嘴。

アクアはロープウェイの屋根から跳ぶ。

空中。

新武器――偃月短刀。

青白い刃が輝く。

「試し切りにはちょうどいい!」

グリフォンが口を開く。

その瞬間。

アクアが消えた。

「え?」

冒険者たちが目を疑う。

次の瞬間。

ズババババババッ!!

空中で閃光が走った。

翼。

首。

前脚。

胴。

まるで紙細工のように切断される。

グリフォン。

「……グォ?」

自分が斬られた事すら理解していない。

一拍遅れて。

バラバラになった。

血が雪へ降り注ぐ。

アクア。

「うわ、切れ味やば」

空中で回転。

そして。

ロープの上へ着地。

細いロープ。

普通なら立つ事すら不可能。

しかしアクアは平然と歩き始める。

バランス感覚がおかしい。

ユウも。

投げ飛ばした勢いを利用して戻ってきた。

雪面へズドン!!

普通に着地。

ユウ。

「ただいまー」

その時。

ギギギギギ……。

嫌な音。

アクア。

「ん?」

ロープ。

先ほど噛み千切られかけた部分。

限界だった。

ブチィ!!

切れた。

ロープウェイが落下する。

悲鳴。

「うわああああ!!」

アクア。

「ユウ!」

ユウ。

「うん!」

アクアが同時に飛び降りる。

落下地点へ。

ロープウェイは軽くなっていた。

だが。

それでも重い。

アクア。

「せーの!」

ドゴォン!!

二人で受け止めた。

地面が陥没。

雪が吹き飛ぶ。

しかし。

ロープウェイは潰れていない。

客四人。

ポカン。

全員無事。

店員。

「い、生きてる……」

冒険者。

「助かった……」

アクア。

「怪我ないか?」

全員。

コクコク。

ユウ。

「よかったね!」

四人は何度も頭を下げる。

「ありがとうございます!!」

「命の恩人です!!」

「本当に……!」

アクア。

「気にするな」

ユウ。

「まぁ私たち強いし!」

ドヤ顔。

アクア。

「それ言うと台無しだろ」

そして。

ロープウェイは完全停止。

修理には時間がかかりそうだった。

アクア。

「さぁ歩いて行こう」

店員。

「え?」

ユウ。

「ダンジョン行くんでしょ?」

「徒歩ですよ!?ここから山道三十分以上――」

アクア。

「近いな」

店員。

「近いのか……?」

二人は平然と雪山を歩き始めた。

四人も恐る恐るついていく。

雪。

風。

絶景。

そして三十分後。

山頂側ロープウェイ駅が見えてきた。

木造の大きな施設。

人だかり。

「あれ!?落ちたロープウェイの客だ!!」

「生きてる!?」

「どうなった!?」

四人が大騒ぎで事情説明。

「この二人が助けてくれて――」

「グリフォンを倒して――」

「ロープウェイ受け止めて――」

駅員たち。

ポカン。

アクアとユウ。

完全にスルー。

「もう大丈夫だな」

「うん」

そのまま。

さらに奥。

雪山ダンジョンへの道へ歩いていく。

駅員。

「え……今から行くの?」

「しかも徒歩?」

「グリフォン倒した直後に?」

誰かが小さく呟いた。

「……怪物だろあれ」


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