第117話 空の魔物
ロープウェイは順調に進んでいた。
眼下には白銀世界。
シイロの街も小さく見える。
ユウ。
「すごぉぉぉい!」
窓に張り付いている。
アクア。
「落ちるなよ」
「落ちても多分大丈夫!」
「多分で言うな!」
他の冒険者たちも景色を楽しんでいた。
その時だった。
ゴウン――。
ロープウェイが急停止した。
全員。
「!?」
前につんのめる。
ユウ。
「わっ」
アクアが肩を掴む。
ロープウェイが大きく揺れた。
ギギギギギ……。
嫌な音。
冒険者の一人。
「おい……なんだ?」
窓の外。
遠くの支柱。
作業員たちが慌てているのが見える。
そして。
影。
巨大な影が上空を旋回していた。
店員が青ざめる。
「ま、まさか……」
次の瞬間。
グォォォォォォ!!
轟音。
窓の外から巨大な生物が突っ込んできた。
鷲の上半身。
獅子の下半身。
翼を広げるだけでロープウェイほど巨大。
グリフォン。
ユウ。
「でっか!!」
グリフォンが鋭い爪でロープウェイを掴む。
メキメキメキ!!
悲鳴。
「きゃあああ!!」
「落ちる!!」
箱が傾く。
アクア。
「クソ!」
グリフォンの黄色い目。
完全に獲物を見る目だった。
さらにもう一体。
後方から飛来。
冒険者。
「二体だと!?」
後ろのグリフォンがロープへ噛みついた。
ギギギギギ!!
ロープが悲鳴を上げる。
店員。
「まずい!!切れる!!」
ユウ。
ワクワク顔。
「戦っていい!?」
アクア。
「だめとは言わん!!」
即答。
ユウ。
「やったぁ!」
ロープウェイの扉を開けようとする。
冒険者。
「待て待て待て!!何する気だ!?」
ユウ。
「飛ぶ!」
「ここ数百メートル上空だぞ!?」
「平気平気!」
アクア。
「俺が先に行く!」
ガチャッ!!
扉を開く。
猛烈な冷気。
爆風。
普通の人間なら立っていられない。
しかし。
アクアは平然。
新しい偃月短刀を抜く。
青白く輝く刃。
グリフォンを見る。
「空中戦とか聞いてねぇぞ」
そして。
ロープウェイの屋根へ飛び乗った。
冒険者たち。
「うおおお!?」
「正気か!?」
グリフォンが爪を振り下ろす。
アクア。
紙一重で回避。
ガギィィン!!
屋根が吹き飛ぶ。
ユウ。
「アクアぁぁ!!」
その瞬間。
ユウも飛び出した。
冒険者。
「行ったぁぁ!?」
ユウはロープを掴み。
勢いそのまま空中ジャンプ。
グリフォンの背中へ着地。
グリフォン。
「グォ!?」
ユウ。
「わーい高い!」
アクア。
「遊ぶな!!」
さらに後方。
ロープを噛んでいたもう一体。
今にも切れそう。
アクア。
「あっち先だ!」
屋根を蹴る。
一瞬で飛ぶ。
空中。
その速度。
まるで弾丸。
グリフォンの顔面へ。
ドゴォ!!
膝蹴り炸裂。
グリフォンの頭が吹き飛ぶ勢いで曲がる。
口からロープが離れた。
しかし。
ロープウェイ全体が激しく揺れる。
悲鳴。
ユウ。
「アクア!下!」
アクア。
「!?」
最初のグリフォン。
巨大な翼で突風を起こしていた。
ロープウェイが横回転し始める。
店員。
「まずい!!このままじゃ全員落ちる!!」
アクア。
「ユウ!!」
ユウ。
「任せて!!」
ユウはグリフォンの首を掴んだ。
そのまま。
空中で。
ジャイアントスイング。
グリフォン。
「グォォォォォ!?」
冒険者。
「えぇぇぇぇ!?」
そして。
ぶん投げた。
グリフォンは山へ向かって一直線。
遥か彼方で。
ドゴォォォン!!
雪煙が舞い上がった。
静寂。
ロープウェイ。
全員。
ポカン。
ユウ。
「終わった?」
アクア。
「お前の戦い方ほんと雑だな……」




