第115話 雪見温泉と男の尊厳
その日の夜。
アクアたちはホテルの豪華な夕食を堪能していた。
大きなテーブル。
並ぶ料理。
ユウ。
「うわぁぁぁ!」
目を輝かせる。
まず。
チョリキの刺身。
半透明の白身。
口に入れると、とろける。
アクア。
「うまっ!」
次。
肝臓の刺身。
濃厚。
だが臭みゼロ。
酒に合う。
さらに。
チョリキと野菜鍋。
湯気。
雪国らしく身体が芯から温まる。
そして。
キングサモーンの焼き魚。
これが絶品だった。
赤身。
ほどよい塩味。
脂。
疲れた身体に染み渡る。
アクア。
「これ無限に食える」
ユウ。
「わかる!」
酒も一本空く。
ほろ酔い。
最後は。
見たこともない青い果物のアイス。
そしてケーキ。
ユウ。
「幸せ……」
ミーちゃんもクリームを舐めている。
ニャー。
食後。
三人は雪見露天風呂へ向かった。
アクア。
「よし男湯――」
当然のように。
ユウがついてくる。
アクア。
「お前はこっちだ!!」
ぐいっ。
女湯側へ押し戻す。
ユウ。
「えぇぇ!?やだ!」
アクア。
「やだじゃない!」
入口の看板を指差す。
“12歳まで”
アクア。
「お前13歳だろ!」
ユウ。
「一歳くらいいいじゃん!」
アクア。
「だめだ!」
ユウ。
「ケチ!」
アクア。
「男湯なめんな!!」
周囲の客。
クスクス笑っている。
渋々。
ユウは女湯へ入っていった。
ミーちゃんも当然のようについていく。
アクア。
「なんで猫まで女湯なんだよ……」
男湯。
雪見露天風呂。
広い。
湯気。
降り積もる雪。
最高だった。
アクア。
「ふぃぃぃ……」
完全に溶ける。
その時。
女湯側から大声。
「アクアぁぁー!!」
ブフォッ。
アクア。
「声でかい!!」
周囲の男たちが笑う。
ユウ。
「こっち広いよー!」
アクア。
「言わんでいい!!」
ユウ。
「ミーちゃん人気者ー!」
女湯側。
「かわいいー!」
「猫ちゃん気持ちよさそうー!」
「ネックレスおしゃれー!」
キャッキャッ。
ミーちゃん。
完全にアイドル状態。
アクア。
「猫が温泉入ってる……」
そして風呂上がり。
部屋へ戻る。
ベッド二つ。
だが。
一つのベッド中央。
ミーちゃん。
ど真ん中で丸くなっていた。
ニャァ。
ユウ。
「占領されてるね」
当然のように。
アクアの隣へ潜り込む。
ぎゅっ。
抱き着く。
アクア。
「近い近い近い」
ユウ。
「寒い」
アクア。
「風呂入っただろ!」
だが。
柔らかい。
いい匂い。
距離ゼロ。
最近。
完全に意識してしまっている。
そして。
アクアの股間。
山、完成。
ユウ。
「……また大きくなってる」
アクア。
「言うなぁぁぁ!!」
毛布に潜る。
ユウ。
面白そうに笑う。
ミーちゃん。
薄目で見ていた。
完全に。
わかっている顔だった。




