第114話 白の街シイロ
雪崩騒動の後。
その夜。
アクアたちは雪を掘って、巨大なかまくらを作った。
ロックンロールパーティ。
「でけぇ……」
「豪邸じゃん……」
「ロックハウスだ……ワォ」
アクア。
「その語尾やめろ」
中に火を焚く。
すると。
意外なほど暖かい。
雪が外気を遮断しているのだ。
ユウ。
「へぇぇぇ」
ミーちゃんも丸くなってゴロゴロしている。
酒が回る。
ロックンロールパーティはまた演奏を始めようとしたが。
アクア。
「雪崩」
その一言で全員静かになった。
やがて。
全員眠る。
静かな夜だった。
翌朝。
快晴。
アクアたちは出発した。
しかし。
雪崩の影響で道が完全に消えている。
普通なら遭難確定。
だが。
ウインドとサンダーはまったく気にしない。
ぐんぐん進む。
ロックンロールパーティ。
「すげぇなユニコーン……」
「雪に足取られてねぇ……」
「かっけぇ……ワォ」
アクア。
「お前らもそろそろ普通に喋れ」
数時間後。
遠くに街が見えてきた。
白。
全て白。
建物。
城壁。
塔。
全部白色で統一されていた。
ユウ。
「雪?」
アクア。
「いや……塗ってるな」
天候が悪ければ完全に景色と同化するだろう。
幻想的だった。
巨大な白い城壁。
その中央門へ向かう。
門番。
「止まれ。身分証を」
アクアはギルドカードを出した。
門番。
「……Sクラス!?」
驚愕。
さらにユウ。
「こちらもSクラス!?」
門番たちがざわつく。
ロックンロールパーティ。
ドヤ顔。
「知り合いなんだぜ」
「命の恩人なんだぜ」
「ワォ」
アクア。
「急に偉そう」
街へ入る。
そこでロックンロールパーティを降ろした。
リーダー。
「じゃあなアクア!」
「ユウ!」
「ミーちゃん!」
「ウインド!」
「サンダー!」
「ワォォォ!!」
ユウ。
「元気だねぇ」
そのまま彼らは去っていった。
アクアたちは宿探しを始める。
街の背後には巨大な山。
その麓。
洞窟のような入口の宿を見つけた。
アクア。
「宿?」
ユウ。
「洞窟じゃない?」
扉を開く。
中は――。
豪華だった。
巨大ロビー。
暖炉。
赤い絨毯。
高級そうなソファ。
数人の客がくつろいでいる。
受付嬢が礼をする。
「いらっしゃいませ」
アクア。
「しばらく滞在したいんだが、部屋あるか?」
受付嬢。
「ございます。当ホテルはSクラスからCクラスまでのお部屋がございます」
アクア。
「Sクラスはいくらだ?」
「一泊金貨八枚です」
ユウ。
「高級~!」
アクア。
「じゃあそれで」
ドヤ顔で払う。
受付嬢。
「夕食はお部屋にお持ちしますか?」
「あぁ。でも不在の時は?」
「その場合は二階レストランにお越しください。食事券をお部屋のドアへ入れておきます」
「風呂は?」
「部屋風呂と、三階に雪見大浴場がございます」
ユウ。
「雪見風呂!」
目が輝く。
そして鍵を受け取る。
1501。
アクア。
「……15階?」
見上げる。
洞窟なのに。
異常に高い。
受付嬢。
「当ホテルは岩山をくり抜いて建設しております」
「今、16階も増設工事中です」
アクア。
「上り下り大変だな」
受付嬢。
微笑む。
「ご安心ください。転送陣がございます」
「転送陣?」
「突き当りの“転送陣”と書かれた部屋に入り、行きたい階のボタンを押してください。三秒ほどで転送されます」
ユウ。
「未来だ!」
アクア。
「ダンジョンより文明進んでるな……」
そして二人と一匹。
転送陣の部屋へ入った。




