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奈落に落とされたが、そこは俺の領域だった  作者: 忍絵 奉公


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112/145

第112話 ロックンロール遭難団


長かった吹雪。

ようやく雲が流れていった。

白い空。

そこから太陽が顔を出す。

雪原が一斉に輝いた。

アクア。

「まぶしっ……!」

ユウ。

「目がぁぁ!」

二人とも雪焼けしそうになりながら、ようやく安心する。

ウインドとサンダーも嬉しそうに鳴いた。

ひひーん!

その時。

遠くから叫び声。

「寝るなぁぁぁ!!」

「死ぬぞぉぉぉ!!」

「ロックを忘れるなぁぁ!!」

アクア。

「なんだ?」

馬車を進める。

すると。

雪の中。

四人組が転がっていた。

ボロボロ。

雪まみれ。

完全遭難。

一人は半分埋まっている。

「た、助けてください……」

土下座。

ユウ。

「うわぁ……」

アクア。

「何してんだお前ら」

リーダーっぽい長髪男。

「俺たちはロックンロールパーティ!!」

胸を張る。

アクア。

「名前がもう不安」

聞けば。

北の街シイロを目指していたらしい。

アクアは地図を見る。

確かに進行ルート上。

ダンジョンまで九割地点の街だった。

「まぁ、どっちにしろ寄る予定だったしな」

そう言って、仕方なく馬車に乗せる。

ふかふかソファ。

暖かい空間。

ロックンロールパーティ。

「天国だ……」

「生き返る……」

「高級な匂いがする……」

アクア。

「お前ら、このまま夜になったら死んでたぞ」

リーダー。

「あぁ死んでたわ」

当然みたいに言うな。

ユウ。

「食料あるの?」

「ない!」

「水は?」

「雪!」

「すごいね逆に!」

女魔法使い。

「ロックは勢いだから」

アクア。

「冒険は勢いじゃねぇ!」

その日の夕方。

天気も回復したため野営する事になった。

焚き火。

肉を焼く。

じゅぅぅぅ……。

香りが漂う。

ロックンロールパーティ。

涙目。

「肉……」

「本物の肉だ……」

「幻覚じゃないよな?」

アクア。

「どんな生活してたんだよ」

すると。

四人が周囲を見回す。

豪華馬車。

巨大な荷台。

白銀のユニコーン。

そして。

ミーちゃん。

宝石ネックレス付き。

岩の上で優雅に座っている。

完全に高貴。

ロックンロールパーティ。

ヒソヒソ。

「なぁ……」

「絶対金持ちだよな」

「金づるじゃね?」

「聞こえてるぞ」

全員硬直。

「悪気はない!!」

「悪気しかねぇよ!!」

ユウ。

腹を抱えて笑う。

「この人たち面白い!」

すると女魔法使いが聞いてきた。

「ちなみに、お二人って何ランクなんです?」

アクア。

「S」

静寂。

焚き火の音だけ。

パチッ。

「……え?」

「え?」

「ええええええええ!?」

四人まとめて転倒。

アクア。

「なんだその反応」

リーダー。

「子供じゃん!!」

ユウ。

「よく言われる!」

ミーちゃん。

ニャー。

まるで。

“当然だろ”

と言っているようだった。



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