第108話 雪山ソリ大会
「第7回! 氷雪山ダウンヒル大会ぃぃぃ!」
広場に響く大声。
アクアとユウ。
振り返る。
雪で作られた特設会場。
人だかり。
巨大な旗。
そして長い雪山コース。
ユウ。
「あれ面白そう!」
目がキラキラ。
アクア。
「絶対言うと思った」
司会者が叫ぶ。
「優勝賞金! 金貨五十枚!」
アクア。
「出るか」
即答。
ユウ。
「はやっ!」
受付へ行く。
木製ソリを渡された。
番号札。
12番。
参加者は屈強な男たちばかり。
雪山育ちなのだろう。
毛皮装備。
巨大なソリ。
中には鉄製の改造ソリまである。
アクア。
「ガチ勢しかいねぇ」
ユウ。
「楽しそう!」
周囲。
ヒソヒソ。
「あの子供参加するのか?」
「死ぬぞ」
「途中で崖コースあるぞ」
スタート地点へ。
ものすごい急斜面。
下が見えない。
アクア。
「これ絶対事故るやつ」
ユウ。
「わくわくする!」
開始の鐘。
ゴォォォォ!!
一斉スタート。
ソリが猛スピードで滑り出す。
「ひゃっほぉぉぉ!!」
ユウ。
大はしゃぎ。
アクア。
「速ぇぇぇぇ!!」
風圧。
涙が出る。
しかも氷面。
ツルツル。
前の男がカーブで吹っ飛んだ。
「ぎゃぁぁぁ!」
雪に突き刺さる。
アクア。
「危なっ!」
ソリを傾ける。
ギリギリ回避。
さらにジャンプ台。
「飛ぶぞぉぉ!」
「なんであるんだよぉぉ!」
ふわっ。
空中へ。
景色が一望できた。
白銀世界。
美しい。
そして。
着地失敗。
ぐるんっ。
ソリ横転。
アクアとユウ。
転がる。
「ぎゃぁぁぁ!」
だが。
ユウが途中でアクアを抱えて回転。
着地。
ズドン!
普通に立つ。
アクア。
「助かった……」
周囲。
ドン引き。
「なんだあの子供」
すると前方。
先頭集団。
ものすごい速度。
アクア。
「追うぞ!」
ユウ。
「うん!」
二人。
ソリを抱えて。
まさかの徒歩ダッシュ。
参加者を次々抜いていく。
「待てぇぇぇ!」
「足で走るなぁぁ!」
最終コーナー。
先頭の大男。
ニヤリ。
体当たりしてくる。
アクア。
「おっと」
避ける。
大男。
そのまま崖下へ。
「ぬぉぉぉぉ!」
ユウ。
「怖っ」
そして。
最後の直線。
ユウ。
「アクア!」
「ん?」
「押して!」
「おう!」
アクア。
全力でソリを押す。
ロケットみたいに加速。
ユウ。
「速ぃぃぃぃ!!」
ゴォォォ!!
ゴール。
優勝。
会場。
沈黙。
司会者。
「ゆ、優勝は……徒歩で追い抜いた12番ー!!」
歓声。
金貨五十枚ゲット。
ユウ。
「またお金増えた」
アクア。
「金銭感覚壊れるなこれ」
翌日。
湖。
全面凍結。
中央に小屋が並んでいる。
アクア。
「なんだこれ」
おじさん。
「氷上釣りだよ」
床に穴。
そこから魚を釣るらしい。
ユウ。
「やる!」
即決。
小屋を借りる。
中は意外と暖かい。
中央に小さなストーブ。
ミーちゃん。
即座にその前で丸くなる。
アクア。
「完全に猫」
釣り糸を垂らす。
静か。
しん……
ユウ。
「こういうの眠くなるね」
アクア。
「わかる」
すると。
ピクッ。
アクア。
「来た!」
引っ張る。
小魚。
ユウ。
「ちっちゃ!」
おじさん。
「それエサ」
「え?」
そのまま餌になるらしい。
さらに。
ユウの竿。
グググッ!!
「おぉ?」
ものすごい力。
二人で引っ張る。
バキッ。
竿が折れた。
「え?」
次の瞬間。
氷の穴から巨大魚。
ドバァァァ!!
「でかぁぁ!!」
全長二メートル。
牙。
怖い。
魚が暴れる。
小屋壊れる。
ミーちゃん。
シャーッ!
アクア。
魚を蹴る。
ユウ。
刀で氷に突き刺して固定。
大暴れの末。
討伐成功。
周囲の釣り人。
ポカーン。
おじさん。
「ぬ、沼主じゃねぇか……」
伝説級の巨大魚だった。
食堂へ持っていく。
料理人。
大興奮。
刺身。
鍋。
焼き。
フルコース。
ユウ。
「うまぁぁぁ!」
アクア。
「脂やばいなこれ」
ミーちゃん。
魚をもぐもぐ。
幸せそう。
雪国の夜は。
とても温かかった。




