第104話「棒多っ!」
隣の村落。
大騒ぎ。
「白い魔物が空を飛んだ!」
「山を越えたぞ!」
「落ちたぁ!!」
村人たち。
恐る恐る。
山へ向かう。
そして。
発見。
イエティ。
無残な死体。
地面に半分埋まっていた。
村人。
震える。
「討伐した……?」
「誰が……?」
その場にいた。
若い村人。
勢いで叫ぶ。
「お、俺だ!!」
周囲。
「おぉぉぉ!!」
英雄誕生。
二日後。
ギルド。
その若者。
金貨三百枚。
受け取っていた。
アクア。
遠目に見る。
ユウ。
クスクス。
「手柄とられたね」
アクア。
「いいよ別に」
「喜んでるだろ」
若者。
泣きそう。
「母ちゃんに家買ってやれる……!」
アクア。
「ほらな」
ユウ。
笑う。
「アクアって」
「変なところ優しいよね」
アクア。
「俺もう金持ちだし」
「金貨三百枚で人生変わるなら」
「そっちの方が面白い」
ミーちゃん。
膝の上。
ニャー。
そして。
二日後。
いよいよ。
武器完成。
宿をチェックアウト。
ユニコーン馬車。
雪道を進む。
ミーちゃん。
アクアの膝で熟睡。
グルガの鍛冶屋。
到着。
扉。
開ける。
その瞬間。
ゴォッ!!
ハンマー。
飛んできた。
アクア。
反射でキャッチ。
そのまま投げ返す。
グルガ。
ギリギリ受け止める。
アクア。
「普通の客死ぬぞ!」
グルガ。
「はっはっは!」
「おーみーちゃん!」
猫にだけ優しい。
ミーちゃん。
ニャー。
グルガ。
「ちょっと待ってろ」
奥へ。
ゴソゴソ。
持ってきた。
二本。
皮の鞘。
漆。
金細工。
和風。
渋い。
めちゃくちゃかっこいい。
アクア。
「おぉ……」
抜く。
左。
短刀。
美しい湾曲。
青白く光る。
グルガ。
「ミスリル混ぜた」
刃。
鋭い。
そして。
根元。
ヒゲとサングラスの親父マーク。
アクア。
「これ親父さんか?」
グルガ。
「おう」
「宣伝だ」
アクア。
「この店」
「宣伝必要か?」
「客死ぬだろ」
ユウ。
笑う。
さらに見る。
裏側。
注文通り。
ノコギリ刃。
ギザギザ。
完璧。
次。
右。
抜く。
アクア。
「ん?」
裏側。
ゴチャゴチャ。
いっぱいついてる。
「なんだこれ」
グルガ。
ドヤ顔。
「十徳ナイフだ」
アクア。
嫌な予感。
グルガ。
「一番上」
「コルク抜き」
「酒飲む時便利」
アクア。
「まぁわかる」
「二番目」
「火打ち鉄」
「石に擦れば火が出る」
「おぉ」
「三番目」
「果物ナイフ」
アクア。
出す。
小さい。
「使いにくっ!」
「四番目」
「爪切り」
「切りにくっ!」
「五番目」
「ハサミ」
「……」
「六番目」
「カッター」
「もう別で持てよ!」
「七番目」
「爪楊枝だ」
アクア。
細い棒見る。
「棒!?」
「八番目は棒だ」
「……」
「九番目と十番目は」
グルガ。
ドヤァ。
「棒だ」
アクア。
「棒多っ!!」
「何に使うんだ!?」
グルガ。
「いざという時だ」
「何の!?」
ユウ。
目キラキラ。
「便利ね~」
アクア。
「どこが!?」
ミーちゃん。
刀の上に乗る。
満足そう。
グルガ。
笑う。
「壊れたらまた来い」
アクア。
刀を腰に差す。
しっくり来る。
ユウ。
「似合う!」
アクア。
少し嬉しそう。
そして。
店を出る。
雪道。
ユニコーン馬車。
再び旅へ。
新たな武器と共に。




