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悪役令嬢は執着されてハメられる  作者: ちょしゃなげ
第6章
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関連ターゲット6

読んでいただきありがとうございます。

ちょいちょい修正してます。すみません。

 シャルモン=セル=ルクス第二王子殿下


 エルバーラの政略的な(・・・・)婚約者。王家の次男で、2番目の王子様。


 僕はなぜか昔から、シャルモン殿下に苦手意識があった。接していても人間味が感じられない気がするからだ。


 出会った5歳の頃から、子供とは思えないほど落ち着いて理想的な王子様だった。優しく正しく、侍従の言うとおりに、幼いながらも一生懸命公務を行う、理性的な人物。


 7歳のパーティーの時、少しだけ印象が変った気がしたが、それも僅かな接触のみだったので、苦手意識がなくなることはなかった。


 学園に編入してからしばらくの間、第二王子と接触しなかったのは、王子とのセットでエルバーラを見たくなかったからだ。


 実際には、二人の登校自体が少ないという理由もあったため、僕が避けるまでもなく、遭遇率が低かったということもある。たぶん公務や王子・王子妃教育の兼ね合いで、登校が調整されていたのだろうと思う。


 学園を卒業すれば、本格的なデビュタントだ。それまでにマナーや儀式の段取り、爵位に見合う振る舞いや慣例など、社交にまつわる事柄を習得しておく事が重要になる。


 だからこそ主催である王族は、デビュタントを迎える貴族以上に習得範囲が広く深いんだろうと容易に想像できる。


 だが、これまで遭遇しなかった第二王子と、この食堂で、ドリィギアに絡まれている状況で、不意打ちの遭遇をしてしまった。


 第二王子は〈神の遊戯〉で1番重要な役どころのキャラクターである。

 色々、下準備や心構えをして接触したかったのに。


ーーこういう時こそ教えてよ!って、3妖精はいないんかいっ!


 3妖精に文句を付けるが、昼間は話しかけないように厳命してからというもの、彼女たちは側にいないことが多くなった。あちこち覗きに行っているらしい。


「ーードリィギア、駄目だよ」

 わずかに苛立ちのこもった声が、ドリィギア卿を止めた。


「で、殿下」

「暴力はいけない。君は僕の側近なのだから。それにーー久しぶりだな、ギーヴィスト卿。学園で君に会えるとは思ってもみなかった」

「ご無沙汰しております、シャルモン殿下」

 僕は首元のドリィギア卿の手を払い、第二王子に向かって正式な挨拶を示す。その上で、〈識る能力〉で第二王子を探った。


 これまでのように〈識る能力〉でインサートされるはずの情報ーーだが。


 僕は表情に出ないよう、顔の筋肉に力を込めた。



『名前 シャルモン=セル=ルクス


 属性 10歳 人間族 男性 〈王家〉


 弱点 封


 特記 封


 運命の轍 『〈乙女ゲーム〉の攻略され〈キャラその1ー1〉』


 解除前。エルバーラの光魔法による一部解除。自我のめばえ。


 詳細 封   』


ーー封!?


ーーいったい、どういうことだ!?唯一のまともな情報が〈エルバーラの光魔法による一部解除。自我のめばえ〉ってナニ!?そもそもエルバーラの属性は土か緑のはずだよね。だって7歳のパーティーで黒騎士に対峙した時、植物を魔法で操っているのを、僕は確かに見たんだから。


ーーそれなのに、珍しい光魔法も?


ーーしかも〈封〉されているって、いったいどういう状況なの!?〈神の遊戯〉はどう進むんだ?


 混乱する僕の内面とは反対に、第二王子との会話は淡々と進んでいく。


「ギーヴィスト卿、ドリィギアは剣術に並々ならぬこだわりを持っているがゆえ、卿の言葉が気に触ったのだろう。多少手荒な真似に出てしまったようだが、君の言葉に煽られたところもある。ここは引いてもらえまいか?」


「こだわりでございますか。ドリィギア卿は王軍の家系でございますね。それは失礼いたしました」


 僕が煽りに煽っていたことを、第二王子は気づいていたらしい。穏便に済ますよう言われたら、臣下として頭を下げるほかない。


「シャルモン殿下、こいつは剣術を『剣術なんか』と軽く扱いました。魔術師の家門のくせに、軽々しく剣術でトップを取れると簡単に考える愚者を許せません。俺は騎士の家門の誇りをかけて、勝ち抜き戦でこいつと戦いたいと思います!ーー逃げるなよっ」

 血圧高めに喚く駄犬が煩わしい。


「ドリィギアは彼と戦いたいのかい?」

「戦って勝って、剣術の奥深さを思い知らしめてやります」

「こう言っているが?」

 こちらに話をふってくる第二王子は、どこかで楽しんでいる雰囲気がある。


ーーこんな人物(タイプ)だったけ?


 僕の興味は、吠えて絡んできた野犬よりも、その飼い主の方に移っていた。それでも、エルバーラに危害を加えるかもしれない駄犬を()ちのめす機会を逃すつもりはないが。


「僕もクラス対抗の、勝ち抜き戦を楽しみにしておきます」

 穏便に答えてこの場は幕を引く。


 その間も〈識る能力〉の発動がどうにかならないかと切り替えてみるものの、第二王子の『封』という文字からは、特に情報を得ることができなかった。




 そして、この食堂での〈駄犬絡まれ事件〉は学年末のイベントに華を添えたようだ。面白おかしく噂され、注目されてしまう。


 一緒にクラス対抗の勝ち抜き戦に参加するクラスメイトには、騎士候補であるドリィギアに目の敵にされて「どうしよう」と相談される。原因である僕も責任を負うことにして、放課後にみんなで自主訓練をすることになってしまった。これぞ青春?


「・・・ギーヴィスト様らしくない煽りでした。ドリィギア卿と第二王子との間に何かわだかまりをお持ちですか?」

 アレクやレインには不審がられてしまったが、〈神の遊戯〉や〈識る能力〉について説明する訳にはいかない。誤魔化しつつも、僕は毒を吐く。


「僕ねぇ〜なんだかドリィギア卿も第二王子も気に入らないみたい。勝ち抜き戦、本気でいってみようかなぁって。この気持ちを晴らせる機会をもらえるなんて、青い春は素敵だなぁって思うよ?」


 訳のわからない事を言い出したと、イタイ主人を見守るアレクとレインの視線を受け流しながら、僕はイベントに参加して、実力を隠すことなく簡単に勝ち上がり、ドリィギアを手数多めに打ち倒した。


 残念ながら、第二王子は不参加の不在で、溜まった不満を解消することはできなかったが、無事ドリィギア卿からの重いヘイトを頂いたのだった。


 そんなこんなをする内に、ジェムの学年が卒園していく。


 学年が変わり、僕はある意味、予知していたエルバーラの〈律違反〉に直面することになってしまったのだった。


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