関連ターゲット3
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ちょっと短いです。
「モーグ卿、あなたの魔力こそ、魔導具の発展に必要なんです!」
そして同じ頃、僕は怪しい集団にクラブ活動の誘いを受けていた。
ローブを被った怪しい集団が、半円でぐるりと通せんぼしている。
アレクが前に出てくれようとするが、僕は軽く手を振って静止した。
「教室の移動で急いでます。のけていただけませんか・・・先輩方?でいいのかな?」
「気が逸ってしまった、5年のルイースだ」
「同じくチェレンだ。モーグ卿、君を勧誘に来た」
「ぜひ君の魔力を魔導具の発展のために活かしてくれ!」
「君の魔力をっ!」
「〈魔導具研究会〉へ入会してくれ」
「「「ぜひっっっっ!〈魔導具研究会〉に魔力をくれっっ」」」
ルイース先輩とチェレン先輩を除いて5,6人はいそうだ。
いっせいにねだられて、周囲の生徒がぎょっとした顔で遠巻きにしている。
「勧誘ありがとうございます。検討しておきますね」
僕はさらりと返答して、正面突破を試みる。
〈神の遊戯〉の仕込みに忙しい僕は、本格的な部活動に加わるつもりはなかった。
「いや、ここで入ると明言して、入会届にサインしてくれっ」
「頼むっ!ちょっと書いてくれるだけでいいんだ」
「王国の発展のために君の潤沢な魔力が必要なんだよっ」
「我々の研究のために入会してくれっ」
入会届を目の前に突きつけられて、僕はうんざりしつつ、穏便に返答する。
ーー欲望だだ漏れです、皆さま。
「僕急いでますし、クラブはもう少し落着いて学園に馴染んでから検討させてもらいますね。では」
あくまで印象良く、でも断る意志は見せる、貴族らしい態度を通すが、彼らには通じないようだ。
ーー平民の特待生?でも、ルイース先輩とチェレン先輩は子爵か男爵の振る舞いだよね?
「いま画期的な、世紀の発明が完成寸前なんだっ!君の魔力が必要なんだよぉ!」
駄々っ子のように手を伸ばしてくる彼ら。
どうしようかな、と思案していた一瞬に、レインが僕の前に出て閉じた扇で、伸びてきた腕を次々叩き落としていく。
「女性の身体に触れようとするのは野蛮ですわよ!お退けなさいっ」
大きい声ではないが、叩かれた腕の痛みと可憐な女性の見た目に反する低い声に、変人たちーーじゃない〈魔導具研究会〉の面々は気おされたらしく、左右に逃げる。
「さぁ、ギーヴ卿、遅れますわ。行きましょう」
「そうだね〜皆さん失礼しまーす」
それでも諦めずに僕を掴もうとすると、レインの身体に触れそうになり、慌てて手を引っ込める怪しい集団の中を素早く突破して、さっさとサヨナラすることした。
のだがーー。
「あぁぁぁ・・・あと少しで〈録音の魔導具〉が完成するはずが・・・」
「潤沢な魔力があれば、世紀の発明なのにぃぃぃ」
「魔力くれぇぇぇっ」
ーー〈録音魔導具〉
僕は足を止める。
ーー録音魔導具。あれば便利だし、なんなら録画もできれば〈神の遊戯〉に使えるね。
ーー元の設計図に仕掛けを仕込めば、それこそ僕の優位になるかも。
僕は振り返り、うなだれるルイース先輩に近づく。
「センパイ、放課後見学に行ってもいいですよ。だからその世紀の発明品〈録音の魔導具〉を見せてくださいねっ」
うぉぉぉまりょくぅぅぅ、と雄叫びを上げる変人集団を残し、僕はささっとその場を離れた。
「よろしいのですか?」
「うん。あの集団の端に、仲良くなりたい人がいたんだ」
「仲良くなりたい人、ですか?」
アレクが確認してくる。
ーーハリス=メイソン。〈攻略されキャラその3〉だ。
ーー近づいて、もっと詳しく識らないとね!
順調にターゲットを見つけられて、僕はご機嫌になった。




