関連ターゲット2
お読みいただきありがとうございます。
「隣、座ってもいいかな?」
僕は声をかけつつも、返事の前にさっさと隣の席に座ってしまう。先生が来ちゃうからね、と急いで来たように。
距離を詰める時に、フリーな座席は便利だよね。
しかもこれからの授業は、クラスみんな同時に進む、一斉授業の魔法基礎学だった。
「はじめまして。僕はーー」
なんでもない自然な形で、隣の少年に自己紹介状しようとすれば、意外にもジルベルトの方から挨拶を返してくれた。
「ギーヴィスト=フィン=モーグ卿ですよね。俺はジルベルト=イジルです。学園では慣例通り、ジルベルトで呼んでください」
「イジル侯爵家の?じゃあ僕もギーヴィストで呼んでね。僕、編入してきたばかりなんだ。分からないことばっかりで・・・魔法基礎学の先生って厳しい?」
「厳しいですね。魔法構文の暗記を完璧にしないと、居残りさせられますから」
「ぇ~・・・ちなみにいまはどの辺?」
「第4魔法のウォータージェットとライトニングボムの詠唱からです。口唱文のテストと魔導具への刻印陣です」
「・・・ウォータージェットとライトニングボムの詠唱文・・・うわぁ、14ページある。えっとウォータージェットの詠唱は『・・・神聖なる湖に宿りしネスカに賜わる聖なる水よ 求めし我の呼びかけに答えその深遠なる力の一端をーー』えぇぇ、なにこれっ!?」
ーー必要?この詠唱必要!?詠唱してる間に魔物にぱっくり喰われちゃうよぉ〜!
教科書のページをめくりつつ、僕は驚きを隠しきれない。
「覚えないと駄目なの、これ・・・」
モーグの詠唱が短い事は知っていたけど。
なんなら無詠唱も多いオリジナル魔法にどっぷり浸かった僕は、正式な詠唱文言がこんなに長いとは想像すらしていなかった。
ーーいや・・・昔、少しだけ調べたっけ。でもこんなに長い詠唱じゃなかったはず。
「実践では意味ないですよね。でも学園の基礎では正式構文で詠唱できないと、魔法の使用は許可されないんです」
「うわぁ〜うわぁ〜しか言葉が出ないや」
多分、子供の短気やイタズラでの使用を防ぐ目的があるのだろう。さすがにこんな長い詠唱を語り尽くしてまで、しょぼい魔法を試す気にはなれないだろうからね。
「モーグ家は魔力量が多いって聞きますから、短縮構文を使っているんですか?」
「たぶん。ジルベルト卿は違うの?」
「俺はそんなに魔力が多い家門じゃないので、魔法を使うことも少ないですし。それに・・・短縮構文だと、魔法陣が起動しないんですよ」
「短縮構文は魔法陣の正確性が必要になってくるから。確か、学院に行ってから習うんだよね?」
「そうだと思います。学園の間はひたすら構文を覚えるはずですから」
ひたすら覚える、と言われて僕はふっと思いつく。
「ねぇ・・・まさかの初級魔法、ウォーターやライトニングも長文暗記?」
気づいてしまった、チートがゆえにピープルが通ってきた普通の道を歩く困難さ。
無詠唱で、想像するより早く起動できる僕のウォーターやライトニングの魔法を、ながなが構文を詠唱して改めて起動しろと?
むしろ気が散って失敗する自分が容易に想像できた。
「そうですね。ウォーターは4ページくらい、ライトニングは2ページちょっとですね。今日の第4魔法の詠唱部分とかぶる文言もあります」
「・・・僕、魔法基礎学、大丈夫じゃないかも」
本気で頭に入ってこない詠唱文を、もごもご口の中で繰り返してみる。
ーー意味ないじゃん、無駄骨じゃん、無用の労力じゃん!ほんと意味ないこと覚えるのツラいって!
「これ、もう物語だよ。詠唱じゃなくて朗読だよ・・・魔法を使う時は教科書持ち歩くから、もう朗読で許してほしい・・・」
本気でそうボヤいた僕に、ジルベルトは堪えきれないように吹き出した。
「はは、ギーヴィスト卿でも、難しいことがあるんですね・・・」
思わず出ただろう言葉に、大げさに驚いてみる。
「えぇ、僕どんな風に見られてるの?」
「すみません!変な意味じゃなくてーー」
すぐに不安そうに謝るジルベルトは、非難される事を極端に恐れるタイプらしい。
ーー朝から晩、通学の馬車の中でまで、会うたび会うたび、あの兄に説教ばかりされていたら、自己肯定感が低くなるよねぇ〜お気の毒だ。
「僕、途中編入だから授業を受けてない部分ができるのか、本気で心配になってきた」
ため息まじりに弱味を見せてみる。すると、ジルベルトの表情が緩む。
「ギーヴィスト卿でもできないことがあるんですねーー分からないことがあればいつでも聞いてください」
「えぇ・・・僕ってほんとにどんなイメージなの!?分からないことがいっぱいばっかりだから、教えてくれると嬉しいよ〜仲良くしてね」
絶妙の距離を取って、僕はジルベルトと顔見知りになった。
◆◇◇◆
『名前 ジルベルト=イジル
属性 9歳(〈間もなく10歳〉) 人間族 男性 〈侯爵家〉
弱点 〈妹シファン〉と〈兄ソルベルト〉、〈父ワグベルト〉、〈自己非難〉、〈怒り持続型〉、〈理想重視型〉
特記 『中途半端にしかできない自分』『〈妹〉を妬む心』
『〈兄〉から受けた〈心の傷〉』『理詰めの〈父〉から受けた〈心の傷〉』
運命の轍 『〈乙女ゲーム〉の攻略され〈キャラその2〉
〈第二王子〉の〈側近〉として〈完璧に〉〈サポート〉しようとするができず、〈鬱屈〉を抱える。学院で編入してきた〈主人公〉に出会い、その存在や言葉、明るさに救われて心惹かれる。だが第二王子と主人公が惹かれ合うのを悟り、苦しみながらも見守ることを決意。第二王子の〈婚約者〉から虐めを受けていることに最初に気づき、〈婚約者である悪役令嬢〉を非難して、排除を試み、敵意を向けて、最終的に第二王子と共に断罪する。 』
ーーふーん・・・自分に自信がない、短気で執念深い、恋に夢見る男。
ーーある意味、典型的な思春期の思考と行動をするタイプだよね。意図や動きが読みやすくていい。
僕は兄のソルベルトと親しくなりつつ、弟のジルベルトとも魔法基礎学の授業ではたまに隣に座り、言葉をかわす知り合い程度の間柄になっていった。
「モーグ卿、あなたの魔力こそ、魔導具の発展に必要なんです!」
そして同じ頃、僕は怪しい集団にクラブ活動の誘いを受けていた。
全体的に辻褄合ってません。すみません。
そのうち以下の部分を、全面修正すると思います。
5歳生存を公表。
7歳で(プレデビュー)跡継ぎ発表
学園が7〜12歳まで。13歳手前で卒園式。
13歳から1年間デビュタント(社交会デビュー期間)
学院14歳から16歳まで、17歳手前で卒業式。
17歳で成人(大人として仕事する)
※叙爵は16歳(成人までの準備期間で1年早め)
ギーヴは7歳なってすぐ家出→辺境3年半ぐらい過ごす
10歳手前で期間途中に7番目の王に遭遇
その後10歳になり半年準備して、学園編入です。←今ここ
分かりにくくてすみません。




