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悪役令嬢は執着されてハメられる  作者: ちょしゃなげ
第5章
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エルバーラの奮闘4〈友人候補〉

読んでいただきありがとうございます。

エルバーラ視点です。

◇◆◇◆


 シャルモン殿下を見送った後、チラチラこちらを見ては、顔を赤くして視線を逸らす少年に、お姉さんはちょっと笑ってしまう。


 って言っても、同じ歳設定で、ギーヴもこの歳にしては大人びているのだけれど、女の子の方が精神的にはお姉さんになりがちなのよね、と少し浮かれてしまうのは、やっぱり装いが綺麗になったせいかも。


「ねぇ、どう?侍女さんが可愛くしてくださったの。モーグ家の侍女ってすごいのね」


 くるん、と回って、私は髪に編み込まれたレースのリボンを見せる。そしてドレスの裾をふわりと揺らせた。ドレープが広がり、隠れていた腰下の白のレースが四方に見える。


「うん・・・似合ってる」

「それだけ?殿下は、髪飾りと合っていて綺麗だねって、髪もドレスも褒めてくれたのに」


ーー綺麗とまでは言われてないけれど、素敵なドレスを着ると言ってほしくなるわよね。・・・言ってくれないかな?


 顔を覗き込めば、そっと視線を逸らされる。


ーーやっぱり照れてる!


「髪飾りはーー」

「ほら、壊れてなかったわ。殿下に贈って頂いたものだから、付けているところを見ていただけて良かったし、気にしないでね」


 王家からではなく殿下個人の贈り物なので、公式リストに載せられていないものだ。


ーーそれでも気にしてるのかしら?


「殿下の贈り物、ねぇ」

「そうよ。合うでしょ?」

 気にしないように、髪の真珠のを触って見せる。傷一つついてないのは確認済みだ。


 すると、ギーヴは予想外に考え込んで、じっと私を見た。


「ーーあれ、エルバーラ手袋汚れてるよ」

「え?」

 突然そう言われて、確認する前に手を取ってつるんと緑色の手袋を抜き取られた。


ーーびっくり。すごい早業ね。


「・・・」

「アンナ、エルバーラに新しい白い・・手袋を渡して」

 いつの間に側に控えていたのか、さっきの侍女さんがギーヴの背後で抜き取った手袋を受け取っている。


ーー忍者?


「お嬢様、お手を失礼いたします」

 これまたどこからともなく現れたメイドから新しい白い手袋を受け取って、すすっと私に近づいてくる。と、つるんと私の手にはめる。


 一切の戸惑いも無駄もない、流れる動き。私は感心するばかりだ。


ーー『モーグ家』の使用人のポテンシャル、違いすぎない?


 比べてフランチャスカ侯爵家の侍女は怯えるか、お義母さまに怒られているか、侯爵やジェムニールお兄様から逃げようとこそこそしているか、だものね。


 それに、フランチャスカ侯爵家では用心棒的な侍従や従僕の方が、侍女やメイドより圧倒的に多い。だからこういう本物の侍女の気遣いには、大いに感心してしまう。


「ありがとう」

「とんでもございません」


 すっと下がるタイミングも完璧だ。

 フランチャスカ侯爵家にも、こんな侍女さんがいたらとても心強いのに。


ーーいいなぁ。


 私の手袋を見て満足そうに頷く少年を、私は羨ましく見つめ返した。




◆◇◆◇


 パーティ会場に戻って、お義母さまには先に嫌味を言われておこうと身構えていた私は、私の姿を一瞥して小さく鼻を鳴らしただけのお義母さまに、拍子抜けする。


 どうやら、モーグ家の方で話をつけてくれていたらしい。


「ギーヴに面倒かけるんじゃねぇぞ。隅でじっとしてろっ」

 ジェムニールお兄様には定例通り凄まれて、私は二人から離れ、念願の壁の花ならぬ壁際のソファーで大人しくじっとしていることにした。


 精力的に動くお義母さまとジェムニールを遠目に、ほっと息を抜いていたところだった。


「ドレープが綺麗」

「ええ、萎まないように裾の内側に自然なボリュームを付けているんですわ。とてもユニークで素敵」


「・・・?」

 横を見ると、リボンを胸元につけた梅色ドレスの女の子と、袖が斜めに開いた暗黄色のドレスを着た女の子二人が、私のドレスをじっくり見ていた。


「ドレープの襞の間に縫い付けた縦の白ラインが美しいですわ。細見え効果ですわね」

「腰のリボン、細いリボンを重ねているわ」

 あまりに見られているので、思わず声をかけてしまった。


「装飾に詳しくていらっしゃるの?」

 二人は慌てた様子で、挨拶を繰り出す。こちらに聞かせるつもりはなかったようだ。


「私はフランチャスカ侯爵家長女、エルバーラ=フランチャスカですわ」

「失礼いたしました。トリット伯爵家長女ブリジットです」

「ヨハン子爵家の次女イリーナです」


「お二人の領地は離れていらっしゃるわよね?」

 トリット伯爵家はイジル侯爵家の親戚筋で領地は東、トリット子爵家はアロワナ公爵家の家臣筋で領地は南西だ。


 派閥も爵位も違うが、顔見知り以上に親しげだ。


「はい。私は変わった物とか綺麗な小物などが好きで、通っている店で何度か顔を合わせているうちに、イリーナと親しく交流するようになったんです」


「ええ。うちはあまり裕福な家ではないので、少ない装飾でどうすれば効果的に美しく見えるか、日々研究してまして。ブリジット様には色々教えて頂いてますの」


 明るくはっきり話をするブリジット嬢と考え考え慎重に話すイリーナ嬢。


 話を聞くうちに二人が私と同年で、もうすぐ学園に入学予定だと聞く。


「ぜひ仲良くしていただけると嬉しいわ」

 本気で私はそうお願いしていた。


 というのも、フランチャスカ侯爵家傘下の令嬢令息は例外なく、ジェムニールお兄様の子分だったからだ。


「もちろんですわ」

「光栄です」

 思った以上に3人で話題が盛り上がった時、会場にモーグ家筆頭家令の声が響きわたった。


「皆さま、ご歓談のところ失礼いたします。モーグ家家令のマッシュ=ブルガンでございます。本日の祝の趣向として、迷宮庭園を準備させていただきました

 ご覧ください。眼下に見えます迷宮庭園を、ぜひ堪能いただきたく思います。季節の花を楽しみながら30分程の迷路脱出を楽しんでいただくことも、迷路の出口であります東屋で先にお寛ぎ頂きつつ、迷路の様子や景色を愛でて頂くことも可能でございます」


「迷路庭園って、なに?」

「面白そうよ」

 会場の人々がざわめく。魔導具が起動されるとその声は驚愕で大きくなった。

 そのさなか、ジェムニールとその取り巻き数人、そしてジェムニールに引っ張られたギーヴが、中央階段を駆け下りていく。


 ビルの7階や8階の高さがあるんじゃないの、と思うほどの高さから下にまっすぐ伸びる巨大階段を駆け下りる少年達の元気さに圧倒されてしまう。


「庭園では珍しい花々も咲いております。是非見に行かれてはいかがでしょう?」

 いつの間にか側にいたギーヴの侍女さんに勧められ、私達女子3人は魔導具のエスカレーターの方へ向かった。



〈ぷち設定〉

エルバーラのフルネームですが

エルバーラ=フランチャスカ(現侯爵の時)

エルバーラ=ラズロ(元男爵の時)

杏(前世の名)になります。名字はいらないかな〜と(いい加減(笑))


ミドルネームがあるのは、王家(他国含め)や旧王家(世継ぎがなくて親戚が王位を継いだ場合家名が変更しているので)などの受け継ぐ家名がある場合のみです。


ギーヴィスト=フィン=モーグのフィンは隣国から嫁いできた王家の家名をミドルネームとして引き継いだ感じです。

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