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24.真面目にダンジョン

投稿間違えました

「ついたぜ!」

「バ……騒ぐな。人が少ないとはいえ、百人くらいはいるんだぞ」


 魔王軍のアジトのどこかに転移していた。

 どこかと表現したのは、この場所に見覚えがないからだ。

 周辺にちらほらと魔王軍の人間がいることから、俺はここが魔王軍のアジトだということを推察する。


「おかしいな。予定してた場所じゃねえ」

 母親と対面し、おっかない武器が置かれてあったあの場所に転移する予定だったのだが、少し計画が狂ってしまった。


 そこへ転移して、俺がどこかに身を潜ませながらコントローラーで四人を操作し、各自散らばさせるという計画だったのだが、いきなりこんな計画外の展開が来てしまった。もうその計画は放棄するしかない。


 これ以外にもイレギュラーな展開があるかもしれない。予想外の事態が起きても、俺が華麗に四人の安全を守って操作する自信がなかった。


 レドワールと話した部屋に転移してから、四人を操作してその部屋と周辺を調べるのと、全く見覚えのないところから四人を操作して、目的の部屋と周辺を調べるのじゃ、あまりにも難易度が違う。


 転移先が予期しない場所になったのは、俺がまだこの魔法を使いこなせていないのか、それとも予め転移を禁止させるような魔法をレドワールが発動させていたのか。どちらにせよ、面倒だな。


「よーし……さっそく復元だ」

 完全武装オールウェポンで、現在地を特定できる、ゲームには欠かせない武器。【マップ】を復元させる。


 復元させたのは、五千作のゲームの中で最も事細かく道の詳細を記していた【ブレインファンタジー】のゲームマップだ。


「なるほど……俺達は一階にいるのか。武器倉庫は四回。国を滅ぼすレベルの危険な武器は最上階の五階に保管してるんだな」


 赤い五つの粒が一階の最奥に乗っていた。この赤い粒はプレイヤーを示すものだ。


 ちなみに、敵は青色で、武器は銀色。トラップや隠されたセキュリティの報知は黄色で表されてる。見たところ、俺達の周りには青色の粒は皆無だ。

「てことは……一階には敵はいないってことか……」


 そうと決まれば話ははやい。敵がいない時に一気に階段を上ってしまおう。

「ここから真っ直ぐ行ったところに階段があるから、登ってしまおう。トラップも一階にはないから余裕だ」


 俺の言葉に四人は首肯し、速足で進む。なるべく足音を立てぬようつま先に全神経を注ぎ、二十秒ほどの時間をかけて階段を上り終えた。


「よし……ここは研究室か。人は各部屋に十人くらいいるな……面倒だ」

 人がいる分、二階は一本道だ。このまま突っ切れば直ぐに三階につながる階段が見えてくる。


 しかし、右側に五部屋、左側に六部屋と、両側合わせて十一部屋もあるこの空間を突っ切っていく度胸はない。


 研究に没頭しているのか、ここはとても静かだ。一人ならまだしも、五人が全力疾走で駆けていたら勘付かれてしまうかもしれない。


 だからといってこっそり歩いても、途中でトイレ休憩などで部屋を出た敵に見つかってしまえばお終いだ。この狭い空間で何十人もの人間に囲まれて逃げ切れるはずがない。

「もう一回転移魔法は使えないか?」


 フォウズが言ってくるが、それは無理だ。転移魔法は知人の魂の流れを感知してその人のもとへ行くか、一度見た場所を思い浮かべていくかの方法しかない。


 三階には知った顔の魂は感じられないし、行ったこともないから転移は出来ない。

「……一気に駆けるしかねえな」


 ゴクリと生唾をのみ、俺達は一か八かの勝負に出る。奴らが研究に気を取られていることを願いつつ、五人は一斉に走り出した。


 気付かれる前に三階を登り切れ!

 ダッ! と駆けていく。このまま三階に繋がる階段に辿り着き、その一段に足を密着させたとこで、大きな声が背後から聞こえた。


「誰だ! お前ら!」

 マズい。気付かれた。

「くっそ逃げ切れ!」


「逃げ切っても無駄だ。このまま三階までついてくるに決まってる。そしたら三階の人間と同時にあいつらの相手もしないといけなくなる。不利になるだけだ」


 そういって、俺は氷連丸アイスガトリングというこの世界で初めて使った魔法を発動させた。

 氷の盾が階段から生えてきた。この盾で、あいつらの行き先を阻む。

「なんだよこれ!」


「魔法だ。平民は魔法を使えないはずなのに」

「くっそ、俺等じゃ壊せない」


 危ない。インテリなだけで魔法はからっきしな奴らなのか。これなら追ってこられることもなさそうだ。

「その手があったか。なるほど」


 アイルンは感心したように呟く。まあ、とっさの思い付きだったがな。

「ですがこの騒ぎで四階の人達も異常事態に気付いたんじゃないでしょうか? 四階の武器倉庫まで辿り着けるでしょうか」


 ウンケルの懸念は俺と全く同じだった。現在、三階にいる人間は三人だけだ。五階あるこのアジトで二番目に手薄な場所だが、さっきの騒ぎで一気に人が集まってくるかもしれない。


「念のため戦闘態勢を取った方がいいな。みんな、武器を取れ」


 コントローラーをすぐさま装備する。三階は少し複雑な構造で、迷路のように通路がバラバラに散らばっている。


 それだけならマップを参考にすれば問題ないのだが、三階の更に先にある四階の武器倉庫へ行くためには、三階の部屋のどこかに置かれている四つのマスターキーが必要なのだ。


 つまり、ただ単に三階を通ればいいというわけではない。眩暈のするような道を歩きながら、俺達は四つの鍵を各部屋から奪っていかないといけないのだ。

「鍵はどこにあるんだ?」


 マップをスクロールさせる。鍵のようなアイテムの類は確かオレンジ色で記されていたはずだ。

「あった!」


 一番近いところで、八百メートル先にある部屋だった。目前の通路を右側に渡ったあと、四つある分かれ道の真ん中を通り抜け、最後に左右に分かれている道を左に渡れば着く。


「くっそ! 複雑すぎるんだよ!」

 愚痴をこぼしながら俺は四人に道を示して歩を進める。

 マップがあるが迷いそうになる。


「ここか……」

 息を荒げながら、俺は扉に耳を近づける。人の有無を確認するためだ。


 不幸中の幸いなのか、四階の鍵がある扉には、鍵の類は設置されていなかった。マップにも四つ以上の鍵は記されていなかったし、間違いないだろう。

「人はいなさそうだ。いくか」


 キイッと扉を開ける。中は洒落た机に、書類が積み重ねられた革製の椅子? らしきものが置かれていた。


「鍵は机の引き出しにあるのか」

 できるだけ急いで取りだそうと中へ入った途端、机の引き出しが自動で開かれた。

「!」


 バアアアン! という轟音を乗せながら、引き出しから黒い物体が飛んできた。

 その黒い物体の頭部には、見慣れた角が生えていた。

 それだけで分かった。こいつは敵だと。

「鍵は俺が持っている。奪ってみろ。侵入者よ」

やっとバトルっぽくなったとおもいます

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