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捜鷹記  作者: 檻の熊さん
16章

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庭にひしめく背高泡立草

雑草という名前の植物は無いそうな。

 その昔、菊池としを作品で読みましたが、セイタカアワダチソウの「セイタカ」とは「背高」ではなく「制多迦童子」のセイタカで「勢多迦」でもないのだそうです。意味するところは「たくましい」。ところがこの話、俗説の一つくらいの位置付けになるみたいです。真実はどの辺にあるのでしょうか。手入れをしなくなった庭が、鷹を繋留している場所以外、この植物でビッシリ埋まっております。筋力が足りない上に紫外線を浴びたらいけない私は、日没の頃、庭に除草剤を散布してこの植物を枯らしています。もうちょっと体力があった時は、防草シートも良かったのですが、冬の風で飛んでしまう上に筋力不足で飛散防止の為の諸々が実行出来なくて、除草剤に落ち付きました。何ごとも「出来ること」をやらなかったら、実現しません。


 「猛禽類の寿命」には誤解が多いのですが、ネットで調べると見つかる何十年も生きる個体は明らかなマイノリティです。人間でいう「110歳」が()()()というだけで、死亡のピークはもっと若い年齢に集中します。私は、「まずは3年飼ってみせろ」という事を言っておりましたが、年齢もそうですが、飼育開始後の、1年目、2年目、3年目、あるいは3年間といった()()()「3年」くらいの間に、購入したタカ・ハヤブサ・フクロウが死んでしまっているのです。つまり、「3歳を迎える前に死ぬ」か「3年くらい飼っていると、その頃になる前までに死ぬ」くらいの違いしかありません。この期間を超えて飼育されている個体が、「長寿組」という事になります。意外なくらい、そういう鳥たちは少ないのです。

 鳥たちの死亡の原因は、餓死(がし)、事故死、逸失(いっしつ)が主です。逃げた鳥、すなわち「かご()け」は、生存の可能性はありますが、普通は死にます。わんわん(わんわん)の事例の(よう)に、長年に渡って実猟の実績のあった鷹であってなお、餌のある季節のロストなのに、回復に月余(げつよ)の時間がかかる飢餓体験(きがたいけん)をしてしまうのです。「普通は死にます」というのはべつに(おど)してはなく、逸失(いっしつ)は事実上の「死亡原因」なのです。()()は、それも飼い主に落ち度の無い本当の病死は、()()()()()です。ちょっとありえないくらい、マイノリティです。

 

 まだ1年経っておりませんが、1年ほど前に受診した循環器内科の医師は「来なかったら死んだと思っておく」と言って1()()()に定期検診の予約を入れました。とにかく、皮膚筋炎の関連で掛かる事になった診療科の()()()()()が、私を死ぬ患者(もの)として扱ったのです。体調が(うわ)向いている気がして、レントゲン関連の再導入を検討したものの、具体的なタイムスケジュールをシミュレーションしてみると、「半年間くらいに渡って、再燃しない見込みのある()()()()医学的根拠が欲しい」と、思い(いた)りました。いえ、私の方で理解が進み、医師たちが何を言っているのかが理解出来る様になったので、()()()()()考えられる様に成ったのです。言ってしまえば、「やるなら今しかねえ」欲するままに欲しい物を買い(あさ)るのだ――――――でも、いいはずなのです。レントゲンも()()ですし、鷹の購入も()()。検査の数値が何を意味しているのか、すっかり理解出来る様に成ってきたからこそ、新たな悩みを(かか)える様に成りました。

 真砂(まさご)の居なくなった()を埋めるべく、オオタカをもう1羽購入する事を考え、オオタカは()()()()()()短い世代サイクルで次の鷹に変わる事がある一方で、()()()()()()長生きする事を考えたら飛梟(とび)止め(やめ)にしておくべきかと悩んでおります。つまり、「これくらいの数値以下でなければ、ちっとも安全じゃない」とか、そういう事が自分から()()()様に成ってしまい、治癒した訳でもなければ寛解(かんかい)を迎えた訳でもない「いつ死ぬかも分からんけれど、体感上はいつまで経っても死ぬ気がしない自分」に悩んでおります。入院した時も()()だったのですが、つくづく、この病気は頭で理解する病気だと思います。


 オオタカにせよレントゲンにせよ、買っちゃえば()()のか()()()のか、実に悩ましい。はたして「()()抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎の患者」というものがあって良いのか存じませんが、「それくらいの値でも死ぬ患者がいくらでも居る(だから注意しろと書物に書かれている)」ところまで、私の検査関係のパラメーターの数値は下がってこないのです。常人の域にない。いえ、それでも順調に日量12mgまでステロイドの量が減りました。調べたテキストにもよるみたいですが、10mg未満か7.5mg未満になると、()()()副作用から()解放され始めるらしい。いえ,現在の担当医は,現在私の飲んでいるステロイドの量ならば,ステロイド筋症(ステロイドミオパチー)からは解放されているはずだという考えでいる。

 そんなに生きているのが珍しいのか?あからさまに医者に「ほっ」とした顔されるのも、地味に傷つくものだと知る今日この頃です。有名な「Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate.(この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ)」は、ここで使う台詞(せりふ)なのだろうか?

挿絵(By みてみん)

傷病鳥のフクロウ雛です。これで巣立ちしているのですが、「雛が落ちている」と勘違いして連れて来る人がいます。それは「誘拐」です。

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