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闇に蠢く影

 洞窟の中はそれ程深く無かった。薄暗い道を数分歩くと、直ぐに行き止まりになっていた。


「······コルカ。君はここで生活をしているのか?」


 床には手製の寝台があり、毛布も置かれている。食器や調理器具、壁にはこの大男が持つに相応しい大剣が掛けられていた。


「······余り人とは関わっていない。こんな身体だからな」


 コルカはそう言うと、まだ種火が残っていた薪を足で消した。昇っていた煙が天井の隙間に吸い込まれて行く。


 そうか。この洞窟には通気口もあるのか。薪の周りには小動物の骨と思われる物が散乱しており、野菜は欠片も無かった。


「コルカのおっさん。この壁の絵は何?」


 イバトは道の行き止まりに掛けられた大きなタペストリーを指差した。そのタペストリーには、白い竜のような生き物が描かれている。


「これは聖竜の絵だ。俺達四手一族は、遠い昔から聖竜の守護者だと言い伝えられている」


 イバトはコルカの説明を受けると、床にあった皿に注目する。皿にはスープのような液体が入っていた。


「すっげーいい匂い。俺匂いだけで美味い料理か分かるんだ。これコルカのおっさんが作ったの?」


 お前は犬か。と思いながらもコルカは親切に返答する。


「······四手一族は味覚が鋭敏でな。料理を得意とする者が多い」


「へえー。コルカのおっさん、男なのに器用なんだね。クレアなんか、女の癖に何も作れないんだよ」


 突然の不意打ちに、クレアは顔を真っ赤にして激昂する。


「う、うるさいわねイバト!!私は作れないんじゃなくて、作らないだけなの!」


 子供二人が舌戦を開始すると、コルカは無言で俺を見た。


「コルカ。協力に感謝する。君は畑荒らしとは無関係だ」


 俺達は洞窟から出ると、行路には戻らず再び洞窟の前の木々に身を隠した。


「エリクのおじさん。何をするの?早く街に帰りましょうよ」


 クレアの疑問に俺は答える。俺はまだ、コルカが畑荒らしの犯人では無いと断定していなかった。


「一晩ここでコルカは見張る。今晩動きが無かったら明日もだ。二晩コルカが怪しい動きを見せなかったら街に戻る」


 俺の説明にクレアが不平を漏らす。イバトはと言うと、真剣な表情で俺を見ていた。


「······エリクのおっさん。コルカのおっさんが四手一族だから疑ってんの?人を外見で判断するなんて良くないよ」


 イバトが意外にも真面目に言って来たので、俺も自分の考えを言う。 


「イバト。お前の言う事は正しい。俺もコルカからは悪い印象を感じていない。だがな。世の中には表の顔だけでは測れない連中が多くいる。俺達は正式に依頼を受けた身だ。疑いが消えるまで確実に見届ける義務がある。分かるか?」


 イバトは少々不服そうだったが、黙って頷いた。時間はたちまち過ぎて行き、森の中は闇に包まれた。


「······エリクのおじさん!洞窟から誰か出てきたわ」


 クレアが小声で洞窟の出口を指差した。暗くて良く見えないが、人影はコルカだろう。俺達はこらからコルカを尾行するつもりだった。


「······エリクのおっさん。あれ何?」


 イバトが人影を見て呟く。コルカと思われる人影の足元には、何かが地を這うように動いていた。



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