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洞窟の住人

「おいオッサン。あんたが村の畑を荒らしている犯人?」


 思慮深さを微塵も知らぬが如く、イバトは目の前の男に失礼極まり無い事を言った。イバトに追い付いた俺は握った拳を単細胞馬鹿の頭上に振り降ろす。


「痛いなエリクのおっさん!!何すんだよ!」


 イバトの不平を無視し、俺は目の前の魔族の男を素早く観察する。薄汚れた衣服に防具は身に着けておらず、武器も所持していない。


 だが、この長身体躯の魔族は素手でも十分に手練のように俺には感じられた。俺は相手を刺激しないように冷静な声色で語りかける。


「この先走った子供が失礼な事を言った。俺達は冒険者だ。近くの村から畑を荒らす犯人を探す依頼を受けて調査中なんだ」


 俺は最低限の事だけを魔族の男に説明する。男は前髪の下の鋭い両目をこちらに向ける。


「······だったら他を探せ。俺は何の関係も無い」


 魔族の男の声が掠れている事に俺は気付いた。まるで久し振りに声を発する時の声だ。この魔族の男は単独で、外界との接触を断っていると俺は予測した。


「······あ、貴方、四手一族よね?驚いたわ。魔族の私でも見るの初めて」


 空気を読まないクレアが自分が思った事を言葉にする。


「この四本の腕が珍しいか小娘?無理も無い。四手一族など今は希少な一族だからな」


 以外にも男はクレアの言葉に反応した。魔族同士からの気安さか。それとも人との会話に飢えていたのか。


「俺の名はエリク。君の名を聞いてもいいかな?」


 俺は思い切って踏み込んだ質問をする。


「······コルカだ」


「コルカ。俺達は村にこの洞窟が畑を荒らす犯人とは関係無いと報告しなければならない。その為に君に協力して貰いたい事があるんだが」


 コルカは俺の質問の意図を直ぐ様理解した様子だった。


「······洞窟の中を改める。そう言う事か?」


「君の了解が得られれば。また調査がこの洞窟に及ばない為にも」


 俺はコルカとの会話の中で確信した。この四手一族は理性的だと。


「······いいだろう。また誰かが調べに来るのは厄介だ。付いて来い」


 コルカは洞窟の中へ入って行く。その後を俺達は付いて行く事になった。

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