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畑荒らしの犯人

「えねエリクのおっさん。ちょっと聞いてんの?」


 イバトの不機嫌そうな声で俺は我に返った。俺は今、仕事の最中だった事を思い出す。


 俺は激しく自分を恥じた。仕事中に他の事を考えるなど以ての外だ。俺は先日、街でモナコに言われた事を思い出していた。


 それは、イバト、クレアと早く別れないと俺に大きな災厄が訪れると言う神託だ。俺はそれ程迷信深くは無いが、全くの無神論者でも無かった。


 特に冒険者などと言う仕事をしていると、ジンクスやつきが落ちる事に無関心では居られない。


 街頭でモナコが開いた占い業は、住民達に当たるとたちまち評判になった。すると突然占い料金が倍に跳ね上がった。


 それは間違いなく意地汚いクロシードの仕業と思われた。そのモナコの占いの高い的中率が、俺の不安を否が応でも募らせた。


 俺とイバト、クレアの三人は、森の中のある洞窟入口前にいた。木々に身を隠し、洞窟を伺っていた。


 この洞窟の近くの村が、最近畑が荒らされると冒険者職業安定所に調査依頼をして来た。


 その依頼を俺達が請け負い、周辺調査をしている内にこの洞窟に辿り着いたのだ。


「······畑を荒らすって。魔物かしら?」


 クレアが不安そうな表情で洞窟を眺めている。確かに畑は荒らされているが、無秩序な荒らし方では無い。


 俺は実際その畑を見たが、あれは間違いなく人の仕業だ。


「じゃあ犯人はクロシード達みたいな食い詰めた奴だね」


 イバトは柔軟体操をしながら、今にでも洞窟に突入しそうな勢いだった。そう。問題は相手が何人いるかだ。


 それによって、俺達の手に負えるか判断しなくてはならない。最悪犯人の住処だけでも突き止めければ、依頼の報酬は得られない。


「もし洞窟に何者かが潜んでいるのなら、必ず食料の調達に外に出る。そこを押さえるんだ。だが良く聞けよ。その出て来た者が犯人とは限らない······」


 俺が言い終える前に、イバトが落ち葉を散らして飛び出して行く。


「······あの馬鹿!」


 俺は瞬時に洞窟の入口に視線を向ける。その入口からは人影が見えた。無駄に反射神経が良いイバトは瞬時にその人影に反応したのだ。


 俺はクレアに呼び掛け、単細胞馬鹿を直ぐ様追った。イバトは入口から出てきた者と対峙していた。


 イバトに追い付いた俺は、相手を見て驚愕した。腰まであるボサボサの黒髪。長い前髪に見え隠れする鋭い両目。魔族を証明するかのような長い耳。


 ······そして、両肩の下から伸びている三本目と四本目の腕。


「······四手一族?」


 その異形な姿に、隣に立つクレアが驚きの声を漏らしていた。


 

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