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不審な三人

 ささやかな昼食を摂る俺達の前に、物欲しそうに食料を覗き込む三人がいた。一人は黒いコートを着た長身の男だ。


 肩までの黒髪。耳の形状を見ると魔族だと言う事が分かる。歳は俺と同い年位か?身なりもそれなりに整えており、良家の者に見えるが、両足に履いている靴がボロボロなのを俺は見逃さなかった。


 二人目は少女だ。クレアよりニ、三歳年上に見える。黄色い長髪に水色の長衣を着ており、何か祭事を行う格好に見える。この少女も魔族だった。


 三人目は人間の子供だ。歳は十ニ歳前後だろうか?茶色い髪に大人しそうな顔をしていた。


 ともかく、この妙な三人は飢えた餓狼のような表情で俺達の食料を睨んでいた。イバトを見ると、この三人を完全無視し、チーズを挟んだパンを勢い良く食べていた。


 ······いや、別にいいんだが。イバトよ。お前、仮にも勇者を目指すって奴が、困っている者を前に知らんふりでいいのか?


「え?何言ってんのエリクのおっさん。何で赤の他人を助ける必要があんの?」


 イバトが心外そうな表情で答える。いや、個人的には俺も似たような考えだが、勇者は善行を積んでなんぼじゃないのか?


「俺は偽善者の勇者なんて興味無いんだ。ただ強い勇者だけでいい。それで有名になればいいんだ」


 ······やはりこのガキはどこか冷めた所がある。とにかく自分の名を売る事に固執しているような気がする。


「お、おじさん達何?もしかして物乞いの人達?」


 クレアがいつもの空気を読まない発言をした。いや待て少女よ。まだ相手はこちらの食料を無心する発言をしていないぞ。


 その言葉が無い以上、物乞い発言は流石に失礼だぞ。案の定、黒いコートの男が怒りの表情に変わる。


「物乞いとは失礼な!貴族の出である私を誰と心得る!クロシードフェリペスの名を聞いた事が無いのか!!」


 ······いな無いな。全く。するとクロシードと名乗った男が、突然隣に立つ黄色い髪の少女を手に持つ杖で叩き始めた。


「この役立たずめが!お前の神託通りにここに来たらこのザマだ!食料など、どこにも無いぞ!!」


「ひぃぃっ!お、お許しを!クロシード様!この無能なモナコをお許し下さい」


 モナコと名乗った少女が平身低頭し許しを乞う。ん?ちょっと待て。このモナコと言う少女、叩かれているのに顔がニヤついているぞ?


「······クロシード。モナコ。僕お腹空いたよ」


 茶色い髪の子供が、叩く者と叩かれる者にお腹を触りながら呟いた。それを聞いたクロシードとやらは、怒りの矛先を子供に向ける。


「うるさいぞこの穀潰し!何が伝説の勇者だ!苦労して誘拐したのに、唯のガキじゃないか!!」


「知らないよそんなの。僕を勝手に誘拐したのは、クロシードとモナコでしょ」


 子供がうんざりした口調で答える。クロシードの発言に無視出来ない箇所があった。この子供は誘拐されたのか?


 クロシードは再びモナコとやらを叩き始めた。


「モナコ!このガキが勇者だと、神託のお告げがあったとお前は言ったな!?全くお前は使えん奴だな!!」


「ひぃぃ!クロシード様!お許しを!お許しを!」


 ······このモナコと言う少女。やはり叩かれながら喜んでいないか?俺が疑惑の目を黄色い髪の少女に向けた時、クレアの大声が響いた。


「止めなさい!!」


 クロシードの叩く手は止まり、折檻が中断された。モナコはどこか不満気な顔に見えた。



 

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