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クロン〜チートすぎる生物〜  作者: 黒白灰色
3章 とある勇者編
77/81

根深い恨みつらみ

現在俺たちは魔王さんの作ったゴーレムに乗せられて荒野を疾走中だ。俺たちは修行とか隠密とか含めてかなりゆっくり進んでいたとはいえ、それを考慮に入れてもかなり早いな。ゴーレムに疲れはないし、あの再生し続けるやつと同じサイズだから足も馬鹿みたいに長いしで長距離走は俺ですら比べ物にならねえな。

人間の領地までどれぐらいかかるのかは分かんないけど、休憩含めても三日もあればいけるなこれは。やっぱ魔力量が多いのは便利だわ、戦闘じゃ術式が間に合わない可能性があっても別に普通に使うには十分に術式を考える時間があるわけだからな。消費と回復のサイクルが間に合う範囲が広いからこそたった一人で戦力差を覆せたのか。

「念のため確認するけど、前線をスルーして中心部まで行ける裏道とかあるんだよね?流石に前線を突っ切る無茶はできんよ?どっちの陣営も止めようとして、蹴散らす羽目になると思うよ」

「ああうん、それは大丈夫。魔王とジオは隠さないといけないけどそこら辺を潜り抜ければ、問題はないよ」

なら良かった。そもそも初対面でレイ君達とは魔族側の領地で会ってるからそこら辺は大丈夫だとは思ったけど、まあ一応確認ね。これで実は正面突破してましたーとかそういうアレが後出しされるのとか本当いらないからね。

「あ、そういえば言うの忘れてたけど、できるだけ俺の存在は隠して報告してね?マジで面倒くさいことになるから」

「あー、確かにミカ君ってどこから来たのか証明できるものがないもんね。確かにちょっとややこしいことになっちゃうか、うん分かった」

実際のところは俺の出自ってのはこの星のどこにも存在しないからね、最悪師匠対人間みたいな構造になりかねん。俺たちの使える技術ってのはこの星、っていうか大体のところでは完全に未知のものだ。何千何万年以上の時間をかけて体系化されたものだからね、そりゃあ追いつくのはどうやったって無理だわな。

長めに見積もってもこの星に滞在するのはあと一週間かそこらだろうけど、それでも余計な火種は作らないに越したことはない。それに俺がいなかったらジオさんと魔王さんの二人掛かりでレイ君達を拘束できたってのは現実味を帯びる。

ぶっちゃけ彼らが俺の事を隠し通せるとは思ってもいないが、ボロが出る前に早めに帰れることを祈るか。


*************

というわけで現在レイ君達が偉い人たちとお話ししている最中、俺は街の中をウロウロしている。通貨なんて持ってないし買い物すらできないが、それでも散歩程度はできる。もう少し時間があれば日雇いの仕事でもやるところだが、わざわざ結論がほとんど決まってる話し合いに何時間もかけないでしょ。

大して文明は進んでいないが賑わってはいるか、魔族の方とはうってかわって活気に満ち溢れている。魔族側を見て思ったが、防御能力はともかく基本魔族側の有利は単騎戦力の高さ以外何もない。

数も地の利も持久力も人間側が上回っていて、かつ今まで勇者が魔王に勝ってきた歴史的な裏打ちがある。他ならぬ魔王さん自身が負けるって思ってるんだもん、そりゃ人間としては楽勝ムードだろうね。

が、まさかレイ君達がそれを認識していないのはちょっと驚いたな。確かに魔族と人間では見た目に違いがあるし、あの荒野を突破するだけで一苦労だから諜報戦はどうやったって人間側は勝てないけど、それでも今まで彼の前にも勇者がいたんだろうからそこから情報は漏れてただろうに。

どーせ上が情報制限していたからだろうけど、勇者にまでそれが行きわたっていたのはな。戦争で文明は大きく進化する、それはどこの場所でも同じことらしい。まして今回の場合数の差と地の利で防衛に徹すれば堅実に勝てるもん、明らかにリターンの方が大きいよね。

でも魔王さん側から降伏を申し出たらなら話は別だ、今後ほぼ確実に全滅する魔族を手札に加えられるのはメリットが大きいだろうし忘れられてるだろうけど今魔王さんに何の拘束もしていないんだよね。

最悪の場合、魔王さんが大暴れして無理やり交渉を呑ませるっていう事態もあり得る。その場合本陣を叩かれるわけだからより一層条件は良くなるだろうね、俺の巧みな話術で誤魔化したとはいえどうしてレイ君達はそれに気づいてくれないかな~。

とはいえどうやったって魔族が負けたって形は崩れないだろうけど。もーね、魔族側はここからどういう手立てをもってしても人間には勝てない。俺が介入したとしても無理、師匠レベルのイレギュラーがないとどうしようもないだろう。

あの年齢でこの判断を下せた魔王さんはまさしく名君だな。次の世代でやったとしてもどうやったって足元を見られた条件になっただろうし、まだまともな戦争になれている今やれたのは本当に最高の判断と言っても過言じゃない。

にしてもこの星には人間と魔族以外の種族はいないのかな?小一時間ほど見て回ったが人間以外の種族が一切見えない。星によっては魔力や加護すらほとんどない星もあるらしいから別に驚くことじゃないのかもしれないけど、ってあん?

今のは、魔族か?別に角の飾り物をつければそれっぽく見えるだろうし、チラッと視界の端でコソコソしてたから気になっただけで確証はないが……。なーんか嫌な予感がする。

「しゃーない、ちょっと尾行でもしてみっか」


*************

(レイ視点)

「そういうわけで魔王自身が降伏の意志を持っています。今後戦い続けてもいずれ魔族が全滅することを考えると、今ここで降伏を受け入れた方が後の利益に繋がることが予想されると考えます」

王様とその他偉い人達の前でミカ君から教わったことを説明する。俺達が負けたってことや、俺達だけで魔王を倒したって嘘をついた時は怪しまれないか不安で顔に出ちゃった気もするけど、特に反応はないし大丈夫のはず……。

「ふむ、言いたいことは理解できる。しかしだな、仮に我々支配者層がそれを受け入れても民はそれを許さないだろう。人間としては勝者としての立場から受け入れられるだろうが、恐らく魔族はそれを受け入れられないだろう」

うん、確かに。魔族としては今まで血で血を洗う戦いをしてきたのに、いきなり負けたことにするって言われるんだからな。そりゃ戦いを止めたいってやつも大多数いるだろうけど、反発するやつだって当然いるだろう。

「ハッキリ言おうか、魔王殿。そちらがいずれ反乱を起こす可能性がある限り我らはあなた方と和解するなどありえない。勇者の言うようにここで受け入れた方が後の利益には繋がるだろうが、次の世代でそもそも反乱を起こす程の勢力すら無いほどに叩きのめしてから受け入れた方が結果穏便に終わる可能性があり、それを実行可能であるということを忘れない方がいい」

「ッ!それではどうしたら反乱を起こさないと証明できると……!?」

魔王が憤りどうにかして自分の要求を突き通そうしたその直後、部屋の窓が割られ何者かが侵入した。そうか、城内の警備兵は俺達がいなくなった分その大半が前線に回されてるんだった。それにしたって窓からって、ここは地上から二十メートルはあるんだぞ?!

ってマズい!完全に意表を突かれた、賊は王めがけて一直線に走っていく。このタイミング、割り込むには遅すぎる。能力は間に合うか?!


「待てゴラ、止まれやそこのスカポンタン!」

そう判断した瞬間、目の前に一筋の線が走り賊の足に吸い込まれるように命中する。そのおかげで賊は大転倒する。その隙に即座に押さえつけると、割れた窓から見慣れた銀髪の少年が入ってくる。

「ミカく、むぐ」

「王様、突然失礼しました。この者が街で怪しい動きをしていたため尾行していたところ城に襲撃を仕掛けたので止めに入った次第でございます」

見慣れた顔で聞き慣れない丁寧な言葉を使うミカ君。っと、そんなことに気を取られている場合じゃない。こんな時に王に特攻仕掛けてくるなんて、一体何者。確かめるために被っていたフードを剝ぎ取ると、まず真っ先に目についたのは魔族特有の黒い角だった。

「なんで、この人が。この人、ギャン爺直属の部下だ」

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