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クロン〜チートすぎる生物〜  作者: 黒白灰色
3章 とある勇者編
70/81

侵入、魔王城

いやーやばいな、治らなかったよ足。一晩寝れば元通りにならないかなーとか思っていたが、流石にそこまで上手い話はなかったか。何もしなけりゃ完治に二週間はかかるダメージだ、歩けるだけ上等か。

魔力はほとんど戻ったし命属性を使えばパフォーマンスは八割がた戻るだろうけど、レイ君達の目の前で使うのは避けなきゃならない。あくまで筋肉の問題だし外見に変化はないから使うのもありな気がするけど、昨日の段階で立てなかったのにいきなり治っているのは違和感を持たせてしまうだろうな。

しくったなー、多少なりとも強がっておけば問題はなかったのに。いや、俺の演技なんて速攻でバレるだろうし結局意味のない話か。せめてきっかけが欲しいな、突然回復してもおかしくないハプニングが。

「大丈夫ミカ君?走ったりできそう?」

「ちょっときついですね、あと一日待ってもらえれば大丈夫でしょうけど……」

言外にそれは無理だというニュアンスを込める。今一番やばいのは相手に時間を与えることだ、昨日は最低限の疲労回復のために仕方なく休んだがこれ以上無駄に時間は潰せない。

ただでさえ魔王はレイ君達が倒したギャンさんって人よりも強いと考えられる、そこに回復したジオさんに近接を固められると弱点がなくなって策がかなり絞られる。そもそも俺もレイ君達も純粋な実力じゃなくて隠してた札で不意を突いたから勝てただけだ、次やって勝てる保証は何もない。

それもこれも昨日ジオさんが逃げなかったら必要のない心配だった。人の効率的な縛り方なんて知らないけど、ぎっちぎちに縛っておけばどうにかなるかなーと思ったのに、まさかあんなあっさり抜け出されるとは思ってもみなかった。

魔王との戦いに茶々はいれないなんては言っていたけど、その言葉がどれほど信じられるか……。だまし討ちをするようなタイプとは思わないけど、これは戦争だ、信条を曲げてでも勝つためには何でもするってのが普通らしい。

「ちょっと失礼『健康の思い込み(ヘルスビリーフ)』」

レイ君が俺の足に触れると白い光が包み込む。光が収まると何というか、痛みがあることを苦しいと感じなくなった。いや別にマゾに目覚めたとかそういう話じゃなく、こう楽しい時に痛みが麻痺したみたいな感覚。

「気休め程度だけど、少しは良くなった?光属性の回復魔法なんて効果は微々たるものだけどないよりはマシなはず……」

これが特殊六属性の一つ、闇属性と対をなす光属性か。勇者が特別だとされる最後の所以、それがこれらしい。本来習得に何百年と掛かる光属性魔法をたった十数年で身に付けられる、まあ実質俺と同じだな。

なんでも闇と反対に精神にプラスの影響を与えるだとかなんとか。今のは要するに痛みに伴った精神的苦痛を打ち消した、とかそんなところだろう。ついでにあの、えーとたしかプラシーボ効果とかいうやつで回復力が増してたりするのかな。

本当に気休めって感じだな。実際のところダメージはほとんど消えていないんだろうけど、それを痛み止めとかで誤魔化している気分だ。回復力が増したとは言っても短期的に見ると無いに等しいだろう。

とはいえ都合よく回復できる言い訳の材料が現れたんだ、利用しない手はない。立ち上がる直前に限界まで魔力を使って足を治しておく、命属性魔法は魔力を直接生命力に変換するものなので回復に関しては全ての属性の中でも最高効率らしい。

そもそも命属性と光属性じゃ求めているものもできることも何もかも違うのでそんな所で勝った気になってもしょうがないのだが、なんとなーく自分の出来ることが優れていると感じて内心ほくそ笑む。

「うん、かなり良い感じ。これなら十分戦えると思う、ありがとね」

「なら良かった。使いどころが難しいものなんだけど役に立てられて良かったよ、対魔族用のものとしてすら活躍の機会は少ないからねこれ」


魔力は完全にすっからかんだがここから魔王のところまで一切妨害も道に迷うこともないと考えて、ざっくり三時間ぐらいか。それだけあれば氷器創成ぐらいは使えるようになるか、あれって師匠に教わった魔法だけあって魔力の効率はかなり良いんだよな。

俺に配慮してくれて気持ちゆっくりのペースで歩いていくが、途中特に何かしら罠があるわけでもなくあっさりと城の前に着いた。

全体的に黒い素材で組み立てられているが、絵本で見るような禍々しい雰囲気をまとっているわけでもなく非常にシンプル、ともすれば地味とすらいえる造りだった。そもそもこの荒野にポツンと城だけがある時点で防備という面ではハッキリ言ってクソだし、城というには防御力はかなり低く感じる。

敢えて表現するなら城っぽい見た目の豪邸って感じだな、もはや城下町すらない城なんてあって大した意味ないでしょこれ。今までの道中でも幾度となく感じたけどここの土地終わってない?いや城を超えてさらに進んだらまともなのかもしれないけど、少なくとも見えてる範囲では三日で飢え死ぬレベルで何もないよ。

特に城門とか橋とかあるわけでもなし、中を見たわけじゃないし魔法的な要素を俺は理解しきれないけどそれでもどう考えたってスカスカすぎる。軍隊の一つでも使って城攻めでもすれば容易に落とせそうな気がする。

逆に攻めてくださいと誘う罠じゃないかとビクビクしながら正門を開けるとそこそこ広めのエントランスにいくつか階段が伸びている。いやもうこれ誘ってるでしょ、絵物語のような典型的な魔王の城って感じにぶっちゃけ引いた。

これは真正面から戦っても倒される事などない、という慢心からなのかそれとも何かしらの策なのか……。分かんないけど、流石にここまで露骨なのはないわー。と思ったのはどうやら俺だけのようで、レイ君達も絵本の勇者のように勇気りんりんで盛り上がっている。

え、これ俺がおかしいのかな?魔王の本心なんて知らないから何とも言えないけど、これが普通なの?こんな合理性なんてどっかやっちまったようなロマンの塊みたいな城の構造とかここでの流行ってやつなのか?見た目とかを気にして負けたら元も子もないだろうに、流行の波というやつはよく分からんね。

とりあえず正面の階段を上っているが、ジオさんの言った通りマジで罠の一つもない。いや罠があって欲しいとは言わないけど、ないならないで不安になるのは師匠の特訓で毒されすぎているんだろうかなあ?

いや、それだけじゃない。ただその手のものがないだけならば、まあ何かしら事情がある、程度のことで軽く流しただろう。俺がここまで気にしている理由は城内には数百もの気配があることだ。

三人は気づいていないみたいだけど確かに感じる。彼らがどれほど強いのかはまだ未熟だから判断できないけど、それでもこれだけの数がいればいくらでも不意打ちはできると思うと気が抜けない。

敵意や殺意などは感じないから気にしすぎかもしれないけど、ジオさんという例がある以上暗部っぽいものは確かに存在しているんだ。多分そういう人たちって気配遮断や殺気を隠したりとかが得意って話だしなー。

そうやって神経をすり減らしながらとにかく上へ上へと向かっていくと、気づいたらこれまた何とも分かりやすい王の間、って感じのデカい扉が目の前にあった。

「はあ」

しゃーない、ここまで来た以上変に気にしすぎて剣を鈍らせれば大問題だ。不安要素は多すぎるが何とかするしかない、なんせ俺は師匠に鍛えられたんだから。

「ほんじゃ開けるよー」

これで全てが決まると信じたいもんだ。

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