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クロン〜チートすぎる生物〜  作者: 黒白灰色
3章 とある勇者編
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部外者との邂逅

「こんっの阿呆師匠め!殺す気なの?実は俺を殺す気だったんですか?!いきなりこんな高い所に放り出すとか殺意マシマシじゃん!」

「いやーすまんすまん。、誰かと一緒に転移なんて久しぶりでなあ、転移先ミスっちゃったよ。いや普段は地中に埋まるとかがないように結構高い所に転移してんのよ、ほら俺って空飛べるし」

「今そんな解説とかどうでもいいんで助けてもらえませんかねえ?こんなバカみたいな理由で死にたくないですよ俺、死因師匠のうっかりって!」

何かというか、誰か二人が妙にハイテンションで落ちてきている。一人は焦っているがもう一人はぼんやりしていてまるで危機感を感じていないようだ。

なんて冷静に情報分析している場合じゃない!二人はざっくりだが百メートルより上から落ちてきている、このままだと確実に死んでしまう。とっさに風属性魔法で上から押し上げるが所詮は風、大した効果があるようには見えない。

「『空足』」

どうしようもないと諦めて静かに冥福を祈ろうと考えた瞬間、片方の体がいきなり空中で静止しもう片方もそれにつられて急停止する。その時「グエッ」とヒキガエルのような声を上げていたが少なくとも外傷は見当たらない。

あの状況からほとんどノーダメージって、この二人っていうかこっちの白髪の人とんでもないな。見たところ種族は普通の人間みたいだけど何者だ?この人。

「そこの金髪の少年、さっきの風君の魔法でしょ?いや~助かったよ。おかげで『空足』の負担が減ったよ」

からあしってのはよく分からないけど、まあ少しでも助けになれたのなら良かった。と一息ついたのも束の間、地面がビリビリと震えた。

いや、正確に言えば今それを思い出しただ。さっきからずーっと震えていたが、いきなり現れた二人のせいですっかり頭から抜けていた。ゴーレムに感情なんてものはないからあんな光景を見ても一切歩みを止めることはなかったようだ、既に俺達との距離は十五メートル程までに縮められている。

「う~ん、今回俺は特に手を出す気はないしなあ。久しぶりの実戦ってことでレッツゴーだミカ」

仕方ないので戦おうと覚悟を決めようとしていたちょうどその時、白髪の人が銀髪の人にそう言い出した。何を言っているのか理解できなかったが、銀髪の人にはそれで充分だったようだ。

「倒してもいいんですか?そりゃ殺されそうになるのを黙ってみている気はありませんけど、今この人達を助けても大丈夫なんですか?」

「安心しろ、今回は一応ハッピーエンドを目指してあるからな、お前の前で露骨にえげつない事をする気はないよ。寧ろお前が彼らに協力することでバッドエンドを捻じ曲げられるかも」

何の話をしているのかさっぱり分からないが銀髪の人はその言葉でどこか安心した様子を浮かべた。

「『氷器創製ひょうきそうせい』」

銀髪の人がそう唱えるとその手に脇に刺してあるものと同じぐらいの長さの氷の刀が生み出される。何でわざわざ?と思ったが、俺はこの人の事を何も知らないんだ。不思議ではあるがそれも当然か。

というかもしかしてこの人ゴーレムと戦ってくれるつもりなのか?だったらぼんやりとしている場合じゃない、加勢しないと……。と思ったら白髪の人から止められた。

「ここはあいつに任せてもらって大丈夫だよ、寧ろあいつの強さをしっかり見極めてくれるとありがたい。まあさっきの魔法のお礼だと思って受け取ってくれ」

余裕綽々と言った感じで語る彼につい気後れしてしまった、その瞬間銀髪の人がゴーレムに向かって走り出した。って早っ、俺足の速さで負けたことなかったんだが彼は俺よりも遥かに早い。

おまけにどうやら腕力も相当のもののようだ、ゴーレムの拳と彼の氷の刀がぶつかるとゴーレムの方が砕ける始末だ。更には技術スキルもかなりのものだ、絶妙に囲まれないように立ち回ったり数百キロはあるはずのゴーレムを華麗に一本背負いしたりと高い身体能力だけでなくそれを制御するだけの武術を収めている事を示していた。

数分後全てのゴーレムはただの岩塊と化した、しかも彼は一切無傷でだ。付け加えて言うなら彼が俺たちの所に戻ってくる時息切れもせずスキップまでする始末である、少なくとも近接戦では俺なんかとは比べ物にならないだろう事はよく理解できた。

そしてそんな彼に師匠と呼ばれているこの白髪の人、明らかに俺たちよりも数段強い。仮にここで戦闘になったら全滅もあり得るだろう、一応ゴーレムを倒してくれたことから敵ではないだろうけど油断はできない……。


「ちょっとタイミングが悪くなっちゃったけど、改めて初めまして。俺はクロン、こっちは弟子のミカ。俺達は、その~武者修行の旅の最中でね。新魔法を試していたら暴発しちゃってぶっ飛んじゃったんだよ」

どう考えても嘘にしか聞こえないが、まあ事情を説明したくないのならしょうがない。少なくとも敵意は感じないし、それが真実ってことにしておいていいだろう。

「俺はレイ・エルイア、一応勇者です。こちらの金髪美少女がフィラ・セイス王女、こちらの茶髪の渋い人がマグル・ドーナさん、俺の魔法の師匠です」

こっち側も最低限の自己紹介を済ませると銀髪の人、ミカ君が俺を驚いた顔で見ていた。

「はえ~、俺勇者って生で初めて見ましたよ。やっぱ凄いんですか、勇者って」

「んまあ大抵の国じゃ勇者ってトップシークレットだからな、こうやって本人が自己紹介しない限り国の上層部しか知らされてないしな。そのほとんどが人類の希望としてかなり厚遇されている、サインでも貰っておけば?」

ミカ君は見た目通り純粋な少年って感じだが、クロンさんは何を考えているのかさっぱり読めないな。何人もの勇者を見てきたような口ぶりだし、ひょっとすると人間じゃない別の長命種か何かなのかもな。

まあそんな事はどうでもいい、ミカ君、できればクロンさんも一緒に魔王討伐のメンバーに加わってほしい。ただでさえ近接に不安しかない時にこんな達人が目の前に現れたのはいっそ運命的な何かを感じてしまう。何としてでも仲間になってほしい。

「あの、お二方、我々の仲間に入っていただけませんか?その、うちは今近接できる人が俺しかいなくて……。お二方が手伝って頂ければかなり戦闘が安定すると思っているんです、どうかお願いします」

自分で言っておいてあれだが、俺ってクズだなと思う。なんせ今会ったばかりの見ず知らずの他人に助けて、命をかけてってお願いしているんだから。

一応魔王討伐のためのものだから、彼らと無関係とまではいかないけどそもそも彼らはその事を一切意識せずに旅していた様子だった。デメリットに対して明らかにメリットが釣り合っていない。

勿論死ぬかもしれない状態になったら俺が殿になるぐらいはするつもりではあるが、そもそも魔王がどれぐらいの強さか全く知らないのだ、逃げ切る前に殺されてしまう可能性は十分考えられる。

と、若干自己嫌悪に陥りながら返答を待っていると返ってきた答えは意外なものだった。

「うん?全然オッケー、寧ろこっちから頼みたいくらい。俺はダメだけど、ミカならいくらでも貸すよ、良い修行になるだろうしね」

サラッと許可が出た、しかもなんて言った今?寧ろこっちから頼みたいくらい?魔王討伐を完全にただの修行としか見てないあたりとんでもないな……。それぐらい強いのならぜひとも助けてほしいがまあ仕方ない。

「別に手伝ってあげてもいいじゃないですか師匠、特に苦労なんてしないでしょうし別にいいでしょ」

「まあそうなんだけど、俺が動いたら積み重ねがどうとかそういう類のもの一切無視しちゃうからねえ。ドヤ顔で悪役倒したらその時成長していたら倒せていた次の悪役を倒せなくて全滅したとか良くある話だし、俺レベルになっちゃうと干渉も最低限にしなくちゃダメなんだよね」

「ああ、なるほど。理解はできましたけど、こうして思いっきり遊びに来ている時点で説得力皆無ですね」

何言ってんだろうこの人達、小説か何かのお話だろうか?多分俺達には理解できないであろう事のような気がするので気にしないことにした。

何はともあれ待望の接近戦に強い人材を確保することができた。

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