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クロン〜チートすぎる生物〜  作者: 黒白灰色
2.5章 不老長寿の星
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新しい環境

扉をくぐるとそこは摩天楼だった、

な~んてことはなく今まで見てきた光景と大差なかった。

だいたい三メートルぐらいの家、青い空、白い雲、眩しい太陽。

逆にビックリするほどに代わり映えしない景色。今までと少しだけ違うところといったらそこにいる種族の違いだろうか……

獣人やエルフなんかの数がとっても多いし、今まで見たことがないような種族もたくさんいる。どう見たって十メートルはありそうな巨人も明らかに人類じゃない魔物とかも当たり前のようにいる。

それもそこまで驚くようなことでもなく元々いた孤児院でも種族なんて些末なことだった。その延長線上だと考えればそこまで不思議ではない。本棚にある小説のようなとんでも技術が溢れたような世界や逆に地獄のような魔境なのでは、と身構えていた俺としては拍子抜けする。

「何というか、その……結構普通ですね。今まで見てきた光景とあんまり変わらない」

「まあお前の目からしてみたら普通と映るのかもしれないが、見る奴が違えば卒倒ものの異常な光景なんだよなあ」

「?そうなんですか?」

「そりゃまあね、いわゆる伝説上の生き物がゴロゴロいるしハーフやクオーターも数え切れないほどいる。たまにいる差別をなくそうとか言ってる甘ちゃんが見たら号泣するぞ」

さりげなく無差別平等主義者を酷い呼び方をしてるのはおいていて、そっか考えてみれば俺も孤児院以外で獣人やエルフが集まっているのを見たことがない。

種族の差なんてどうでもいいって考えるのが当たり前のような事だと思い込んでいたが、うちがイレギュラーだったんだな。まあそういう考えになったのは師匠の教育のせいだが……


「パパ~~~!!お帰り~~~!!」

そんな事を考えていると何か、いや誰かがとんでもないスピードで師匠の下に飛び込んできた。

あまりのスピードに俺は全く反応出来なかった。師匠の方は多分避けようと思えばできたのだろうが害意はないと判断したんだろう。のんびりとした目で迫って来る者を見ていた。


グキィ!

余裕そうな態度で突進を受けた瞬間、目を背けたくなる鈍い音が師匠の腰から鳴り響いた。

あ~あ、構えもせずにぼ~っと突っ立ってるから……それでも当たり所が良ければノーダメージの自信はあったんだろうけど見事に腰をやってしまったようだ。

「おかえりなさい、パパ♪このひとがあたらしいおにいちゃん?」

師匠の腰を破壊した張本人は銀髪犬系獣人の幼女だった。師匠に向ける無邪気な笑顔がえぐい、自分が何をしたのか理解できていないまま腰を震わせる師匠に笑顔を向けているのは中々にえげつないな。

「ただいまウル、前から言ってた新しい家族ってのがこいつだ。仲良くしてね」

強張ってはいるものの笑顔のままこの子と話すのはいっそ感動的な何かがあった。


まあ冗談は置いておいて。そもそもギックリ腰になったからといって死ぬわけでもあるまいし、少し安静にしていたらまた動けるようになるだろ。

「初めまして、俺はミカ。君は?」

「ウルです!十八さいです。よろしくね、おにいちゃん♪」

うん?十八?ってああエルフ理論ね。種族としての寿命が長いからその分成長・発達が遅いってやつ。

……あれ?獣人にそんな長命の種族っていたっけ?気にしちゃ負けか。

「とりあえずミカ、ウルと過ごしといて。色々と説明は明日するから」

「はあ、別にいいですけど……師匠はどうするんです?」

「ちょーっと今は無理かなあ?少なくとも今日は動けないな」

「あ、はい」

腰を抑えてプルプル震える師匠、流石に一瞬で動けるようになるほど軽くなかったか。

まああれだ、ざまあとしか言えないね、だって師匠やったことがやったことだしな。ついでにやられたの昨日だし少しぐらい痛い目見てほしい。


「じゃあ行こ、おにいちゃん」

「はいはいわかったから引っ張らないで」


****************************************

(クロン視点)

いやあ、どの技術をいつ使うかなんてわからないもんだ。整体のための技術をわざわざこんな所で使うなんて思わなかったよ。

つーかミカ普通に馬鹿で怖いわ、俺は不老だって説明したはずなんだが……

老いによる衰えとかないから早々ギックリ腰とかにならないんだが、なんでその事気づかないかなあいつ。

まいっか、流石にあと数十年もすれば多少は成長するでしょ。

それにしてもミカにウルが懐いたか、まあ予想通りだな。

ウルは獣的野生の勘と存在としての格が高いからな、ミカの持ってる『加護』を何となく感じて惹きつけられたのかもしれないな。

後でウルには感謝しないとな、ここに来た瞬間に家族ができたおかげでフリエちゃん達への未練が少し弱まった。

いつでも帰れるとは言ったがそうそう頻繁に戻ってほしくはない、そもそも普段は十代行くか行かないかの時に連れ帰ってたのに今回は二十歳だ。ある程度愛着も沸いてしまっただろうしこんな風に別れたから未練だってあるだろう。

そんな時にまた会ったらあの子達が死んだ時に受ける心のダメージは更に増してしまう。ぶっちゃけそれも経験だから仕方ないが、むやみに大ダメージは与えたくない。

普通の人間とかなら七十年ぐらい生きていれば『死』に対して慣れが出るんだろうが長命者は違う。発育が遅いから死に対しての抵抗も価値観の発達もなにかもが遅い。

ミカ自身は気づいてないかもしれないが、あいつも不老長寿、二十代にしてはかなり幼さや青さが残ってる。まあこれに関しては一生治らないかもしれないけど……

他の子はともかくミカは失うわけにはいかないんだよなあ。ノアにはこの年で命属性魔法を使えるのは異常だ、とか生温い表現をしたがそんなもんじゃすまない。

なんせ俺の長い人生のなかでも十代で使えるのなんて三人ぐらいだっけ?そんぐらいだ。

とにかくウル。頼んだよ、ミカに帰ろうという考えなんか起こさせないぐらい愛着を沸かせてやってくれよ。


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