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クロン〜チートすぎる生物〜  作者: 黒白灰色
2章 とある純粋過ぎる少年編
48/81

説明してあげるよ

目が覚めたら見慣れた天井が目に入ってきた。なんかデジャヴを感じる。

えっと、何してたっけ?つつ……、肩がすっごい痛い、体はだるいし吐き気がする。魔力もすっからかんだ。

う~ん、少しずつ思い出してきた。確かノアさんに会って、なんか師匠がヤバくて、戦って腕を切り落とされて……

「そうだ、フリエさん!?」

「きゃ!?」

やっとこさ現状確認がし終わり、焦って動きだそうとするとベッドで誰かが眠っているのに気付いた。

俺が動いたせいで起きてしまった人の顔を見てみたらそれは俺が心配していたフリエさんだった。

「ってえ?フリエさん、どうして?ごべっ!」

「どうしてってのはこっちのセリフだよ!なんでわたしなんかの為に……腕を切られちゃったとか無茶して倒れたとかどうしてそんなことするの?ミカ君が死んじゃったらわたしはどうしたらいいの?」

思った疑問をそのまま口に出したら泣きながら抱き着かれた。

嗚咽を零しながら無茶苦茶に叫ばれきつく抱きしめられる。

はっきり言って何を言っているのか半分以上分からない。論理性とか、んなもん何処にもない。

ただ心の中で思ったことを叫んでるだけだ、多分何も考えて喋っていない。

でも凄く俺を心配していてくれた事は分かる。だからこそ凄く申し訳なく感じる。だけどそれ以上に、

「フリエさん、締まってます。首」

キッツイ、そもそも今、生命力ほぼない状態なんだよね。あ、ダメだ落ちる。

フリエさんの焦る声を聞きながら目の前が真っ暗になっていった。

****************************************

「まさかフリエさんが助けられないってのが嘘だとは思いもしなかったですよ」

「シルド君にも言ったが俺はどんな狂人だと思われてるの?」

数時間後、目を覚まして師匠の下に向かった。

事後説明を聞いたところ、どうやら俺は1日中寝てたらしい。というか師匠の嘘がたちが悪い。マジで腕とか痛くて泣きわめく寸前だったのにどうしてそんな事をしたんだ、とキレたところ、

「修業になったでしょ☆」

ときれいな笑顔で返され怒る気も失せた、というより怒っても無駄だと理解した。

「ハア」

「お、どうしたミカ。テンション低いぜ?」

「あんたのせいです」

疲れて溜息をつくと即座に師匠は煽ってきてイライラする。ぴしゃりと言っても一切気にしていない所が更に腹立つ。

そもそも師匠が丁寧に説明して素直にノアさん達を手伝っていれば俺は戦わずに済んだし、フリエさんに怒られることもなかった。修業だけなら他のことでもいいだろうし、わざわざ人命がかかっている場面で嘘をつくのはやめて欲しい、いやマジで。

「なんだよもう~、眉間に皺寄せちゃって。スマイルスマイル☆」

ブチッ

怒りが限界を迎えこのにやけ面をぶん殴ってやろうと拳を振りかぶったところ見事に避けられ首筋に手刀を決められまた気絶する。

****************************************

(クロン視点)

ふう、ミッションコンプリートってところか。これからミカの恋愛感情について話すからな、眠ってた方が都合がいい。

さてさて、シアちゃん達の所に行きますかね。


おやおや?丁度3人がそろっていたのはラッキーだったが、な~んかめっちゃ睨まれてるなぁ。

「どうしたの、三人共?そんな親友をボコボコにした怨敵を見るような顔をして」

「分かってるじゃないですか。本当に馬鹿にしてるんですか?」

ウ~ン、オレシアチャンノイッテルコトガヨクワカラナイナァ。

「お兄ちゃんを危険な目に合わせないって約束したのにどうして。それもあなたが手伝えば全て起こらなかった問題でしょう?!」

あ~、そんなことか。

「そもそも言ったじゃん、俺がいればミカは絶対に死なないって。死んでないんだからいいじゃん別に」

まああの刀を抜いたら死ぬかもしれなかったけど、それでも何とかなる術はいくつもあったし全然問題ないじゃん。約束は何一つ破ってないし、責められる言われなんてありませ~ん。

「そうじゃないです!あなたがどうにかできるだけの状況と力があるにも関わらずわざわざお兄ちゃんを戦わせたのが責めているんです」

そっち?ハア、めんどくさい。今回の件に関しては俺の方の事情を教えないと色々と説明しきれないんだよね。

いやまあぶっちゃけこの子たちにどう思われようが死ぬほどどうでもいいんだが、ミカに恨まれかねないな。そうするとこの数兆年の努力がマジで無駄になりかねん。

だから話した方がいいんだろうけど、秘密はできるだけ話したくない。いや別に今回話すべき『秘密』は俺自身の『秘密』にはほとんど喋る必要はない。だからそこまで躊躇する必要はないんだが……

しかたない、話すか。秘密は誰かに教えてこそ秘密だ、この子たちに教えるのもまた一興。面白いでしょ。


「まあ色々と理由があるから、一先ず順を追って話していくが……最初に俺が宇宙人、他の星から来たことを話さなくちゃいけない」

少々真面目オーラ出してそんな事を言うと三人の怒りはどこへやら、ポカンと口を開いてぼんやりとしている。

狂人扱いされたのもそうだし、ちょっと真面目に返答したらこうなるのもそうだし、ちょっと適当過ぎたかな今回の人間関係。

「ミカが寝てた一日、まさか誰も考えなかったの?ノア達デリュージがこの星にきたのは前の星から逃げて偶然ここに着いたから。なら俺はどうしてここに来たのか」

流石にそこまでポンコツじゃないと信じたいけど、まあミカが心配だったからっていうならしょうがないか?

「そもそも俺が何故孤児院を開いているのか、それは特別な条件を満たした子を自らの星に連れて帰るためだ。特殊な者は得てして嫌悪され、捨てられ孤児になりやすい。だから俺は孤児院なんてやってるんだ、ぶっちゃけ目的の子以外はおまけかな。正体不明のやつが特定の子だけ集めてるとか笑えるぐらい怪しいし」

実はまあ他の子を助けるのには他にも理由があるんだけど、まあそれはいっか。普通は聞いても理解できないし……

「それで、その特別な条件って何ですか?」

「永遠の寿命、不老長寿さ」

うんうん、いい顔だ。理想でこそあるが決して人が得られるはずのない永遠の寿命を集めている?そんなことできるわけ……って顔だ。

こういう顔を見れるのは秘密を話した時だけのご褒美みたいなもんだよな。

「ミカ君がそれって言いたいんですか?」

「ソダヨ、ミカはかなり特別な事情があってね。詳細は面倒くさいから省くが、あいつは生まれつきとある奴から加護を受けてる。不老長寿、あとあいつが気や命属性魔法を気軽に使えるのもそれが理由だ」

あの加護はマジで貴重だからねえ、この広大世界の中でも数少ない不老長寿の生き物。その中でもごくわずかしかいないあいつらからの加護持ち。是非とも欲しいんだよね。

「話が少しそれたね、まあそんな訳でミカは特別なんだ。だから俺としては是非とも自分の星に呼びたいんだ、そしていずれ側近にまで成長させたい。だから今のうちに数多くの困難にぶつからせておきたいんだよ」

「そもそもどうしてミカ君があなたについていくという確信があるんですか?自惚れているわけじゃ無いですがわたし達もミカ君とは仲いいです、とどまってくれるかもしれないじゃないですか」

「それは十中八九ないね、流石に絶対とは言えないけど。」

まあでも大丈夫でしょ、きっとミカは俺について来る道を選ぶだろ。

「よく勘違いされるんだけどね、不老長寿ってのは一歩間違えればただの呪いだよ。本来最も幸せな死に方である老衰が出来ず、何かに殺されない限り永遠に生きていかなければならない。それが自分なのか他人なのか、災害なのか病気なのかは知らんがね。更には周りはいつかは寿命で死ぬ、孤独に耐え切れず自殺を選ぶ不老長寿の奴は別に珍しくないぞ」

実際、うちの星でも数千年に何人かは自殺するしな。自分で言うのもなんだけど不老長寿だろうと数億年生きてるのは結構イレギュラーでレアなんだよな。

「その点うちなら少なくとも周りとの寿命の差は解消される、長くなったがこれはミカのためでもある。上手くやれば永遠に一緒にいられる家族と、いずれは絶対に失う友達。どっちを選べばいいかは自明の理でしょ」

ゆっくり丁寧に説明していけばいくほど、三人の顔が歪んでいく。どうあがいてもミカを連れて行かせないようにするのは難しいってことが分かったみたいだね。

「そ、そもそもミカ君が本当に不老長寿だって証拠があるんですか?あなたのただの勘違いなんじゃ……」

「証拠を出せと言われて、はいポン、と出せはしないけどね。なんならあと二十年位一緒に過ごしてみる?現実を突きつけられるだけだと思うけどね」

「で、でも15歳の頃から背は伸びてるし多少大人びてきてますよ?不老じゃないじゃないですか」

「それは老化じゃなくて成長だよ。説明がめんどくさいから省くが老化ってのは要するにある程度成長した肉体が年とともに衰えていくことだ、今フリエちゃんが言ったのは成長。老化の前に起きる現象だ」

よく間違われるけどね、老化と成長は。説明するには細胞がうんたらとか話さなきゃいけないからやらないが。

その後もいくつか疑問をぶつけられたがもうほとんど何とかしてミカを連れて行かせないために粗を探しているように見えた。俺の性格やミカの実力とか今の話題ではあんまり意味のないこと言っても時間の無駄だろうに……

もういっか、さっさとミカを起こして星に帰ろ。


「おっとっと、そういえば忘れてた。シアちゃんとの結婚をどうして認めないのかの理由を話すまでが約束だったね」

あ~あ、あからさまに反応しちゃって、フリエちゃんもシアちゃんも。まあ乙女らしくていいことかな。

「そもそもミカがあの歳であれぐらい強い理由が今まで娯楽をほとんど取らなかったからなんだよね」

「「「はい?」」」

「あいつがコミュ力あって友達も欲しい欲しい言ってるのに全然出来ないのはそもそも一日中ずっと何かを努力していたせいで友達の作り方とかよくわかってないんだ、その分技術(スキル)や 身体能力は二十歳にしてはかなり高いけどね。だけどそのせいで色んな常識、特に恋愛面に関して致命的に抜けててね、もはや付き合ってくださいって言われて何にですか?っていうレベル」

まあそんな奴に結婚なんて早すぎるわな。


さ!説明も終わって義理も果たした。早く帰ろ。

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