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クロン〜チートすぎる生物〜  作者: 黒白灰色
2章 とある純粋過ぎる少年編
45/81

ハチャメチャな結論

遅くなってしまい大変申し訳ございません。コロナによる追加の宿題が忙しく投稿できませんでした。

「と、そんな風にいきり立っても意味ないからしないんだけどね」

「「「「え?」」」」

血が流れるかとびくびくしていた師匠以外の四人は、師匠が身がすくむような圧をあっさり引っ込めたので豹変からの豹変に状況を全く飲み込めない。

「何、その変な顔?もしかして俺が激情に任せて今までの過程を全部ぶち壊すと思ってたの?それは心外だな。いくら気分屋の俺でも流石にそんな馬鹿なことはしないよ」

おどけたように言う師匠だったが先ほど出していた圧は俺たちを芯から恐怖させるには充分過ぎた。それを簡単に出し入れできる辺り改めて師匠と俺たちの実力差がとてつもないものだと実感させられる。

「と、とりあえず先代が敵対しないっていうんなら一先ず安心なんですけど……でもどうしてそこまで『シヴァ』を使うことを拒否するんですか?あれってかなり便利そうなのに」

「なんか勘違いしてるみたいだから一応言っておくが『シヴァ』は兵器だぞ?究極破壊兵器。そんな『物だけぶっ壊す』、なんて生易しいものでも威力でもないぞ」

師匠のその言葉にポカンと口を開けるノアさん。

「あれは俺が貴族だった時だから三千年ぐらい前かな?一年ぐらいずっと束縛された生活を送らさせられて嫌になってね。全部吹き飛ばしてやる~とか考えて低コストで絶大な破壊がコンセプトで作ったのがあの『シヴァ』だ」

師匠の話を聞きながらチラリとノアさんの方を見ると唖然として口をパクパクとさせていた。今まで余裕を持てた安心の理由が実は自分達が忌み嫌う兵器だったんだ、無理もない。信じていたものにいきなり裏切られた気分だろうな。

「エネルギーは生命力と魔力で、本来なら人ひとりの命を生贄にして使う。その分威力はお墨付きだ。なんせ隕石を一つ跡形もなく消し飛ばせる。だがそれ以外には何もできなくてね、消し飛ばしたらそれまで。特に何もない」

チャンチャンと手を叩いて話が終わったことを示す師匠。俺達は何も喋れずシンと静まり返っていた。

なるほどこりゃ止めるわ。死人が出るとかそういうレベルじゃない、下手したらこの星ごと全部まとめて吹っ飛ぶ。寧ろ止めない方がおかしい。


「と、とりあえず『シヴァ』の危険性に関しては分かりました。破壊するのも異論はありません。ですが代わりの案を頂けませんか?流石にこの時期に無策はマズ過ぎるのですが……」

戸惑いながらもおずおずと話すノアさん。恐らく何世代もかけてきた計画がパアになったわけだ、そりゃ不安にもなる。

つっても俺はそもそもどうやってやるのかの基礎も何も知らないわけなので特に何も口出せないわけなのだが……


「あの、ちょっといいですか?」

「うん?どうしたの、シルド君」

そんなことを考えていたらここに来てからずっと黙っていたシルド君が挙手をして発言を求めてきた。

「すっごく単純な解決策としてクロンさんが手伝えば全て解決なんじゃないんですか?」

「「「あ」」」

そりゃそうだ、そんな星ごとぶっ壊せるような兵器を簡単に作れる師匠だ。実力もさっきので俺やノアさん達よりも遥かに高いことが分かってる。そんな師匠なら文明の破壊の一つや二つどうとでもできるだろう。


「それ、俺にメリットある?」

話がまとまりかけてきた時、師匠がストップをかけてきた。

「なんか俺が手伝って当然みたいな流れになってきてるけどやらないよ?流石に。俺に得が一切ないじゃん」

「いやいや師匠、誰も死ななくて済むためには師匠の力が必要なんですって。協力してあげてくださいよ」

「俺そんな善人でもないしねえ。ノーリターンで手伝えって言われても、やる気しないよ。ちょっとした魔物の討伐ならともかく人を殺さず研究所とかだけを壊すとかめんどくさい」

「俺達孤児を拾うって育てるっていう善行してるじゃないですか。あなたは十分善人ですよ。だから手伝ってあげてください」

「いやいや、意味わかんないし。それにあれも善意100パーセントってわけじゃないんだよ、色々と打算込みでやってるから。別に俺善人ってわけじゃないから」


頑なに首を縦に振らない師匠、残念ながらリターンを求めることは別に悪い事じゃない。本人の言う通り100パーセントの善人でないなら別に不思議なことでもない。

ただ流石に人命が掛かっている状況でもリターンを優先する程だとは思いたくなかった。


「結局、どうすれば協力してくれるんですか師匠?あなたどうせ物やら金やらで動く性質じゃないでしょう?」

「そうだねぇ…そうだ!」

少し悩んだ素振りを見せた後、ポンと手を打って何か閃いた様子の師匠。


「ノア、お前ミカと戦え。お前が勝ったら手伝ってあげるよ」


****************************************


「いや待って待って!流石におかしいでしょ!なんで俺達が戦わなくちゃいけないんですか」

「お前の修行になるし、戦闘を見て俺は面白い。一石二鳥じゃん」

師匠の価値観がよく分からないのは今更だからわざわざ指摘する気はないが、


「それ俺が手を抜いてわざと負ければ済む話じゃないですか。師匠がノアさんを手伝えて、誰も死ななくて済むから皆ハッピーじゃないですか。人命かかってる時にそれでも勝とうとするほど俺そんな負けず嫌いじゃないですよ?」

「それもそっか。じゃあお前が負ければフリエちゃんを助けないっていう事でどうよ?」


え?

「さっき言った通り『シヴァ』は俺が作ったんだぞ?そんなのがただただ破壊するだけじゃないに決まってるじゃん。一度生贄をセットしたら最後まで一切何もできず、生贄も助けられない。装置を破壊するしか助ける事ができない。そして破壊するなんて俺以外この星でできる奴はいない。詰まる所俺以外だーれもフリエちゃんを助けられないってこったな」


何を言っているのかさっぱり分からなかった。フリエさんを助けられるのは師匠だけ、これは分かる。だがその前に言った事が分からない。

俺が負けたらフリエさんを助けてもらえない、どうしてそうなった?リターンがないから人命がかかっても助けないなら百歩譲って理解できる、けど俺が負ければ助けない?なら誰も死ななくて済むという結末はどこにも存在しなくなるじゃないか。


「どうして、そんな……」

「さっきも言ったでしょ?俺はリターンが欲しいんだよ。お前が手を抜いたら俺に何も得ないじゃん。だからお前に本気でやらなかった時のためにリスクをあげようと思って」

「だからって、それじゃあ必ず誰かは死んじゃう事になるじゃないですか!あんた命を何だと思って……」

「おいおい、ついさっきのことなのにもう忘れたの?」


「俺の価値観はお前らとは全く違う、狂ってるんだよ。無関係の人間が千人死のうが万人死のうがどうでもいいね」

唖然とする他できることがなかった傍若無人な性格してるとは思ってたがまさかここまで酷いとは……

だからといって逆らう事なんて出来るはずもない。だって、

「なんなら4人がかりで俺に無理矢理言う事聞かせてみる?無謀にも程があると思うけどねえ」

そう、さっきの威圧で俺達が何人いようが師匠には絶対に敵わないことを思い知らされた。何をどうしようと一切勝てるビジョンが浮かばない、師匠と戦うぐらいならノアさんと戦った方が犠牲者は減らせるだろう。


誰一人納得していないが、俺とノアさんが戦う事が決まった瞬間だった。

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