妹
あれから5年後、俺達は特に何の問題もなく学園を卒業した。
残念ながら友達はほとんど増えなかったがその分フリエさんとシルド君との仲はかなり深まったので良しとしよう。
はっきり言っちゃうと浮きまくってたからな俺、寧ろまぁよくも2人も友達ができたものである。
現在は卒業式が終わり孤児院で卒業パーティーでもやろうか、と言う話になり3人で孤児院に向かっている途中である。
「いや〜〜、終わってみれば早いものでしたねぇ5年なんて。」
「流石ですねぇミカ君は。私には中々大変で、毎日が長かったですよ、と。」
「まぁ課題はどれもキツかったですけどぶっちゃけ師匠のに比べたら全然簡単でしたよ、ハハッ!」
「あ、なんかすみません。」
今までのキツイ特訓を思い出したらつい白い目になってしまい、シルド君が謝ってきた。
「フリエさんはどうでした?この5年間。やっぱり長かったですか?それとも楽でした?」
「ふぇっ!あ、ううんやっぱり大変だったかな?うん。」
この5年でフリエさんはたまにこういう事がある。ずっと上の空で全然話を聞いてなくて俺が話しかけたらすっごくびっくりするんだ。
顔真っ赤っかにして、俺何かしたっけ?後たまに授業中とかで視線を感じる。
「ん?何ニヤニヤしてるんですか?シルド君。何か面白い事でもありました。」
「いえ〜?強いて言えばフリエさんと貴方の関係がとっても面白いですよ、と。」
??意味が分からん、関係が面白いなんて初めて聞いた……いや師匠によく言われたな、キャラ似てる?シルド君と師匠。嫌な類似点だなぁおい。
「ご、ごめん。ちょっと考え事があってさ。何の話だったっけ?」
「この5年間が大変だったなぁと言うお話ですよ、フリエさん、と。
しかし、何を考えていたんですかねぇ?」
シルド君がそう言うとまるでリンゴの様にフリエさんの首から上が真っ赤になる。
シルド君は何考えてたのか分かってるのかな?
「フリエさん、何考えてたんですか?」
「ししししし、知らない!教えない!分かんない!!」
「?シルド君?」
「いや〜〜、これに関しては自分自身で気づかなきゃいけない事だと思いますよ、と。」
意味が分からん、何の話だ?後で師匠に聞けば分かるかな?
そんな事を考えながら歩いていたら1つの声が俺の耳に届いた。
「ミカお兄ちゃん?」
声のした方を向くと黒髪黒目の少女がいた。
「もしかして、シア?」
「お兄ちゃん!」
思った事を呟くとその少女は俺の胸に飛び込んで来た。
「久しぶり、ずっとずっと探してたよお兄ちゃん。」
余談だがそれを見たフリエさんが石像の様に固まっていたのが少し気になった。
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「改めて、この娘はシア・セイヤ。14年前まで村に暮らしてた時のご近所さんで友達です。」
「シアです。18歳です。いつもお兄ちゃんがお世話になっています。これからよろしくお願いします。」
よくよく考えて見るとあのシアが18か、早いもんだな時の流れって言うのは。
いつもお兄ちゃんお兄ちゃん言って俺の後ろをついて来たシアが今じゃこんなに大きくなって……
「お兄ちゃん!?どうして泣いてるの?!何かあった!?」
「いや、ちょっと14年と言う時の長さを感じて……」
「と言うか、よく分かったねお兄ちゃん。14年も経って私結構成長したのになんで分かったの?」
「それ言ったら何でシアも俺の事分かったの?」
「お兄ちゃんは目と髪が特徴的過ぎるから……」
あっ、そうだったすっかり忘れてた。俺って見た目相当珍しい方だった。そりゃ分かるわ。
「う〜ん、と言ってもなぁ〜。明確な理由がある訳じゃないよ?目って言うか雰囲気って言うか声って言うか匂いって言うか……」
「えっ!匂い?私昔からそんな特徴的な匂いしてた?」
「いやホントよく分かんないんだけど、なんとなくよなんとなく。」
理由は上手く説明できないんだが、なんとな〜く一目みたらシアって分かったんだよなぁ。なんかこうピキーンと。
「あ、そうだ。お兄ちゃん、約束を守ってよ!」
「?何か約束してたってけ?」
「約束してくれたじゃん!私をお嫁さんにしてくれるって!」
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「うん?そんな約束してたっけ?」
「したよ!私が大きくなったらお嫁さんにして、って言ったら良いよって言ってくれたじゃん。」
う〜ん、残念ながらさっぱり思い出せん。んな約束したっけ?俺ってそういう事は結構覚えてる方だと思っていたんだけどなぁ、自信なくなってきた。
「ま、いっか。じゃあ師匠に確認取りに行こっか。」
「うん♪ところで師匠って誰?」
「ああ、俺を拾ってくれた人で親代わりかな?」
「へ〜〜、お義父さんか〜。」
ってな訳で改めて孤児院に向かう。
「ってちょっと待って〜〜!!」
と、思いきやフリエさんが待ったをかけてきた。
うん?何かあったっけ?
「いやいや、ミカ君!軽いよ!そんな簡単にお嫁さんって決めちゃだめだよ!人生の中でとっても大切な事なんだからそんな簡単に……」
「お姉さん、誰?お兄ちゃんの何?」
うおう、シアの周りの空気がとっても冷たい。
「え、えとわたしはフリエ・アイズ。ミカ君の、友達ですけど。」
「ふ〜ん、ただの友達ですか。私はお兄ちゃんのお嫁さんになるの、口出ししないでもらえます。」
「こ〜らシア、フリエさんは俺の大切な友達です。そんな言い方はだめでしょ。」
「えへへ、ごめんなさいお兄ちゃん。」
ちょっと言い過ぎと感じた俺はシアにチョップしながら叱ると寧ろ嬉しそうに頭を抑えながら謝るシア。さっきまでの冷たい雰囲気が嘘の様だ。
「とにかく、邪魔される言われはありません。お兄ちゃんも受け入れてくれてるんです。」
「ご、ごめんなさい。」
あっさり折れた、早え。3歳下の威圧に簡単に負けて大丈夫か?
「クロンさん、ミカお兄ちゃんをください!」
ってな訳で早速シアが師匠に土下座して頼み込んでいる。
それをフリエさんはハラハラしながら、シルド君はニヤニヤしながら、他の子はわくわくしながら見ている。
いや何だこの状況、どうしてこうなった。
「う〜ん、勿論オッケー、と言いたいんだがミカだからなぁ。色々と理由があるんだけど、とりあえずノーで。」
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14年前、とある辺境の村にて。
「ミカお兄ちゃ〜〜ん。」
「ん?どしたの?シア。」
「おままごとしよう!」
2人はとても仲睦まじくまるで本物の兄妹のようだった。その関係が崩れたのはおままごとの間。
「イテッ」
「!大丈夫!?シア。」
「えへへ、大丈夫♪とがった石でちょっと指切っちゃっただけだよ♪」
「そう?ホントに?泣いちゃわない?」
「も〜う大げさだなぁお兄ちゃんは、つばでもつけとけば治るって。」
「じゃあハプッ。」
「ひゃっ?!」
男の子は特に悪気も何も無いのだろうが女の子の指を口に咥えて舐める。
4歳と言っても女の子、流石にそういう事をされれば思う所ができちゃう訳で……
男の子が指を口から話した時、女の子の顔は赤かった。
「お兄ちゃん、その、私が大人になったらお嫁さんにしてくれる?」
「?別に良いよ?」
「ありがとう!約束だからね!」
尚男の子の方は何の事を言ってるのかさっぱり分からず現在まで続くため周りが死ぬ程苦労するのだが、それはまた後々。




