大蟒蛇の牙を落とせ!
(ミカ視点)
「作戦は単純で、『シールド』の使える私が囮になり食べようと油断して襲って来たところをフリエさんが魔法を当てて怯ませ、その隙にミカ君が牙を落としその後全力で逃げる、というので異論はないでしょうか?」
「ないですけど、シルド君が囮役でいいんですか?なんなら俺が……」
「その心配は不要ですよ、囮役に一番向いているのはこの中なら私なんですから。」
そう言われ渋々ながら囮役はシルド君になってしまった。大丈夫かな、何にも起きない様に頑張らなきゃ……
そう考えていたんだが……その大きさが洒落になってね〜よ。
まさか胴の太さが人一人分ぐらい大きいとは……しかも周りの穴のある木が多少溶けているから恐らく毒もある。
こりゃムズくね、学園側何考えてんだ最悪死ぬぞ。
と、まぁ木の上で俺はドキドキハラハラしながら隙を伺う。だがその不安はまだ俺が二人の実力を知らなかったが故の杞憂だった。
大蟒蛇が大口を開けてシルド君に襲いかかろうとした瞬間にシルド君は大蟒蛇の近くに魔法で『盾』を作った。
加速が充分に生まれず威力が足りないため『盾』は当然の様に耐えきり大蟒蛇は弾かれる。
そのスキにフリエさんが魔法を叩き込んで怯ませる、のだが……あれ?魔力多くね?念の為フリエさんには離れてもらっているのだが、まるですぐ側にいるかの様にヒシヒシと魔力を感じる。
明らかに怯ませるには充分過ぎるような、っていうかここら一帯吹き飛ぶような……
そこまで考えがたどり着いた瞬間俺は飛び出しシルド君を抱えてその場を全力で離れる。
「ちょっ!どうしました!?私一人で走れますよ、降ろしてください!と。」
「やばいやばいやばいやばい〜〜〜!!」
フリエさんから溢れ出る膨大な魔力を感じて俺はパニックになっていて、シルド君の声なんか全く聞こえず全力で逃げる事だけを考えていた。
「『雷の神槍』!」
そう聞こえた瞬間、バリバリバリバリィ!、という凄まじい轟音とともに後ろに失明するかと思う程の一面真っ白な雷が通り過ぎた。
しかもそれは一瞬では終わらず数秒間続き、止まった後も空気中に放電が残っていた。
当然の事だが大蟒蛇の身体は跡形も残っておらず、最後まで俺たちを食おうと追いかけていた頭だけが奇跡的に残っていた。
入学して初めての実戦授業、俺の出番は一切なかった。
別に不満とかそういうのがあるわけじゃあない、ただなんか影が薄くなっている気がして不安なだけだ。うわ〜〜〜ん!
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「お前らは馬鹿なのか?」
牙を切り落として持ち帰ったらまずとんでもなく驚かれ、その後怒られ今3人揃って正座させられていた。何故だ何故なんだ。
「単純に考えて入学して一週間しかたっていないお前らに危険な事させる訳無いだろ、『大蟒蛇の牙』っていうのは水晶の事だぞ、これみたいな……」
と言って見せてくれたのは確かに大蟒蛇の牙の様に白い水晶だったが、白い事以外は似ても似つかない様な美しいものだった。
「先生なんでそんなややこしい名前がついてるんですか、これは間違えても仕方ないです。」
「知るか、命名者に言え。
と言うか平民のツクヨはともかくリモアやアイズはなんで知らないんだ?貴族の間じゃ最近流行りのアクセサリーなんだが……」
そう言われると2人は気まずそうに目を逸らし、
「その、わたしはあんまりオシャレには興味なくて。魔法のコントロールが第一優先だったから……」
「ああ、うんあれは凄かったもんね。」
「私は男ですし、アクセサリーなどにはあまり、と。」
「うんなんとなく分かる。」
結論うちのグループは洒落っ気が無さ過ぎた。
「まあいい、本物の大蟒蛇を倒せたのはお前らの年なら本来ありえない事だからな。特別に評価は100点をつけといてやる。」
「「「ありがとうございます!」」」
そんなこんなでなんとか一週間のグループ授業は終わった。(実際は5日で終わったが)
色々ハチャメチャだった気がしないでもないがこれぐらいなら見慣れているし、大丈夫だろう。
「じゃあ約束通りうち寄っていきます?」
「うんぜひぜひ♪楽しみだな〜、ミカ君の弟妹。」
「フフ、確かに、と。」
2人はうちに来る気満々な様だ、嫌がってるとかそういうのが無そうで安心だ。
あれ?そういえば俺何も連絡してないような……
まっいっか、どうにかなるでしょ。




