第107話 沼の主の業
意識が模糊とする中、デレオは首都が火の海に包まれ、空には無数の悪魔が旋回しているのを見た。
彼は仲間たちが廃墟の中で戦い、自分の手の中の武器が砕け散るのを見た……
彼がハッと目覚めた時、護胸甲が微かな警告の光を放っていた。
地面に倒れ伏しているにもかかわらず、彼は力を感じていた。
護胸甲の中に封印された沼の主の魂が彼の力と共鳴し、彼はかつてないほどの強大さを感じることができた。
デレオは護胸甲の中から「ヒスッ」という低い唸り声を聞いた。
『君たちは非常に能力があり、その意志は団結している。
そして、私を封印した——面白い!』
それは実際の声ではなく、テレパシーのような、直接彼の脳裏に響く声だった。
『君の口調からは、どうして憎しみを感じないんだ?』
デレオは心の中で彼と対話した。
『憎しみ?なぜ?』
『なぜ憎まない?僕たちは君を殺したんだぞ!』
『ふむ——君たち三善道に生まれた者たちには理解できないかもしれない。
だが、我々のような畜生道に囚われた知性ある衆生にとって、捕食されることは—これは業を転ずる絶好の機会なのだ。
特に高次の捕食者によって。
私はこの瞬間を二千年以上も待っていた。』
『つまり……君は僕たちに恨みはないのか?』
『感謝もない。
なにせ、私は君によってこの装甲に閉じ込められている。
苦痛とまでは言えないが、完全に自由でもないからな。』
『わかった……では、どうすれば君を自由にしてやれる?』
『誠意があるな!実は、この護胸甲がその天命を全うしさえすれば、私は再び輪廻に入ることができる。
だが、心配無用だ。
急いではいない。ここにいると、たくさんの面白い芝居が見られそうでな。』
『芝居を見る、か……』
『心配するな、私は君に料金代を払おう。
君がこの装甲を着ている限り、いつでも「潜行」と「巨力」という、あア亻テム士がいかに昇進しても習得できないスキルを発動できる。
俊敏、防御、攻撃の三つの基本能力は、さらに戦士レベルまで引き上げられるだろう。
割に合うだろう?』
『どう考えても僕に完全に有利だ。』
『ふふ……業の代償を、寿命の短い君たち種族に理解させるほど、私は暇ではない——』
『業って、どういう意味だ?』
『もう暇ではないと言っただろう、君自身でゆっくりと体験するといい……』
ドミヌス・パルーディスの声は、デレオの意識の中でゆっくりと薄れていった。
沼の主との対話は、力の引き潮と共に終わりを迎えた。
危険な予感は徐々に消え去った。
それに伴って感じたのは虚弱感だった。
デレオは自分がどれだけ気絶していたのか分からなかったが、体の周りには胸の微かな熱と四肢の麻痺感が残っていた。
耳には階下から食器がぶつかる音、囁き声、そして笑い声が微かに聞こえてくる。
彼はもがきながら目を開けようとしたが、視界はぼやけており、頬が冷たい床に張り付いているのを感じた。
彼は辛うじて指を動かし、ゆっくりと上半身を起こし、微かに喘いだ。
魔力はまだ完全には戻っていないようだった。
すぐそばから、慌ただしい足音が聞こえてきた。
「どうして倒れてるのよ!」
カシアの声には心配がにじんでいた。
彼女は身をかがめてデレオを座らせ、さらに袖口でデレオの額の冷や汗を拭うのを忘れなかった。
デレオは目を瞬かせ、そこで初めて、服の裾にわずかに埃がついていることに気づいた。
護胸甲は、柔らかい光を放ちながら、静かに卓上に置かれていた。
彼は空気中に漂う濃厚な香りと新鮮な野菜の匂いを嗅ぎ、突然お腹が「グゥ」と鳴った。
カシアは小さく笑い、温かい水を差し出した。
デレオは椅子の背もたれにもたれかかりながらゆっくりと力を回復させた。
回復した頃合いを見て、カシアは彼を支えて一階へと向かった。
デレオが食卓を見ると、仲間たちが賑やかに夕食の準備をしている最中で、
鍋の蓋が「ドン」と音を立てて開けられ、温かい蒸気が瞬時にダイニングルームを満たした。
まさにこの瞬間、彼は、自分が温かい現実へと戻ってきたことを知った。




