表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
当ててみて、私の箱の中に何が入っていると思う?〜俺の冒險用ミミックだ!  作者: 上部乱
第四部——沼の主

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

127/132

新生のパンデモニウム――悪童と火竜のオタマジャクシ


騒がしい魔殿パンデモニウムでは、懐かしの映像が流れていた。


諸天の神々と地獄の群魔が一堂に会し、世界に影響を及ぼし得る重大な節目を振り返っていた。


鬼子母神はスプーンを取り上げ、息子のために特製した離乳食をひと口すくった。


ベルゼブブはそのスプーンを物欲しげに見つめていた。


「兄弟、それはお前のじゃないぞ。あれは夜叉の子ども専用の食べ物だ。」


マモンは、客人と喧嘩にならないよう、食い意地の張った兄弟を引き止めざるを得なかった。


非人の存在たちは事象の地平線の外側に集まり、外に漏れることのない光と影を捕捉していた。



『闘争関数を入力』


f(聖騎士デディカティオ、産後うつの火竜):D(死霊農場の貯水池のほとり)=?


解を求めよ。



それは二十年以上前の出来事だった。

当時のウンブラ農場の規模は、今よりもいくぶん小さかった。


そこは生気と死気が奇妙に共存する暗い大地で、空気には一年中、腐敗した死体の悪臭と魔薬植物の芳香が漂っていた。


五歳のアビスウズの頭の中は、悪魔でさえ頭痛を覚えるほどの悪戯な思考でいっぱいだった。


彼女は毎日農場をうろつき、好奇心だけを羅針盤にし、騒動を起こすのは日常茶飯事だった。


「アビスウズ!あの区画のマンドラゴラには触るんじゃないよ!」

曾祖母ウンブラの警告はいつも風に揺れていたが、アビスウズはまったく意に介さなかった。


彼女がいちばん好きな危険な遊びは、あの歪んだ赤子のような姿をした叫ぶマンドラゴラを土から勢いよく引き抜き、枯れた果実のように口を開けるのを見ることだった。


通常なら、魂を粉砕するほどの叫び声は瞬時に人間の命を奪う。


しかし偶然にも、アビスウズがそれに触れるたび、肉眼では見えない、優しくて冷たい「善良な魂」たちがそっと現れ、半透明の手で少女の耳をしっかり塞いでくれるのだった。


アビスウズには、空中でもがく植物の姿しか見えず、声は一切聞こえなかった。

彼女はケラケラ笑いながら、マンドラゴラをぬいぐるみのように投げ回した。


現在ほどではないにせよ、当時のウンブラ農場もすでに驚くほど広大だった。


マンドラゴラ畑のほか、甘い香りを放ちながら噛みついてくる食肉植物の花壇、そして寮舎に山のように眠るトロールの群れまであった。


農場の縁にある小高い丘では、最近、新しい大きめの貯水池が掘られたばかりだった。


それはアビスウズの新しい遊び場となった。


「お前くらいの年なら、もっと魚を食べないといけないよ。」

ウンブラは食卓で半生の内臓を銀のフォークで切りながら、威厳と慈愛の入り混じった口調で言い聞かせた。


「魔法は人を蘇らせることはできても、成長をやり直すことはできない。自然の血肉だけが、お前の成長を養うのさ。」


アビスウズはぱちぱちと大きな目を瞬かせたが、心の中ではこう思っていた――魚を捕まえるほうが、草を引っこ抜くより面白そうだ。


貯水池は新しく、もともとは孑孓や水生昆虫しかいなかった。


だがなぜかここ数日、水面に金赤のきらめく波光が走り、脂が乗りきったような「鯉」が群れを成して現れるようになった。


アビスウズは池のほとりにしゃがみ込み、その魚たちを見つめた。


水中を滑るように泳ぐその姿は、鱗が炎のような赤光を反射していた。


アビスウズの背後にいる透明な魂たちは、今まさに無声の叫びを上げ、彼女が水面へ近づくのを止めようとしていた。


しかし五歳の子どもにそんな理屈は通じない。


身長はまだ食卓より低いが、頭の中の悪知恵は部屋いっぱいに詰め込めるほどだった。


彼女は畑へ駆け戻った。

そこには無数の「ゾンビ」が作業していた。


これらのゾンビは曾祖母が支配する、無怨無悔の労働力である。


彼らは精密なぜんまい仕掛けの機械のように、無言・高効率・不眠不休で動き続ける。


ウンブラは彼らに三つの最も基本にして最高階の論理命令を与えていた:


1、ウンブラの家族を守る。

2、自身を守り、身体機能の完全性を維持する。

3、農地を世話する。


アビスウズは死霊術の論理など理解していなかったが、生まれつきこれらの「大きなおもちゃ」の扱い方だけは分かっていた。


彼女は耕作中の一体のゾンビに近づいた。

皮肉れ、骨が露出していたが、生前は屈強な男だったらしい。


アビスウズはぷにぷにの小さな手を伸ばし、ゾンビの今にも外れそうな小指をつまんで、「パキッ」と音を立てて無理やり引きちぎった。


ゾンビは動きを止めた。


命令2により、彼は身体の完全を維持しなければならない。


彼はアビスウズの手にある自分の指を見てから、「家族」に分類される少女を見た。


反撃も奪い返すこともできない。

だが「自分を守る」必要がある。


魔法設定の論理は微妙なバグを生んだ――

指が少女の手にある以上、彼ができる唯一の行動は、その指についていくことだった。


アビスウズはこの方法を楽しげに繰り返した。


三十分後、彼女の手には死人の冷たく硬い指がぎっしり詰まった小袋が下がり、その後ろには低くうめきながらよろよろ歩くゾンビの大行列が連なっていた。


彼女はさらに育苗区の鳥よけに使われていた丈夫なナイロンネットを引きはがし、その片端をあるゾンビの腰に結びつけた。


そして網を複雑に通しながら、すべてのゾンビの体に引っ掛けていく。


最後に網のもう片端を、隊列最後のゾンビに巻きつけた。


「できた!」アビスウズは手をぱんっと叩いた。


これはアビスウズ特製の――「死霊スタイル底引き式フィッシングネット」である。


彼女は農具置き場から長い縄を持ってきて、手指でいっぱいになったその布袋をしっかり結びつけ、このゾンビの群れを率いて貯水池のほとりへ向かった。


彼女は布袋を池の中央へ向けて力いっぱい放り投げた。


ゾンビたちは自分の身体の一部を守るため、無言のまま水面の中央を見つめ、それから指令に従って深いところへ歩き出した。


池の水はゾンビたちの胸、首へと達し、ついには全員が水底へ沈んでいった。

アビスウズは岸辺にしゃがみ込み、十秒数えてから、いたずらっぽく縄を引き上げた。


縄の先には、あの長い列のゾンビたちがずるずると引き上げられてきた。


そしてゾンビの後ろに連なった防鳥ネットの中では、鯉の群れが激しく跳ね回っていた。


「すごい!」

アビスウズは興奮して跳び上がった。


だが魚網が岸に引き上げられたとき、アビスウズは少しだけがっかりした。


「やーん⋯⋯なんか変な鯉だよ!」

網の中の生き物は確かに魚の体をしていたが、その頭はまるで縮小版の火竜のようで、びっしりと細かな棘が生えていた。


彼らは岸の上でパチパチと跳ね、獣の幼体のような低い唸り声を上げていた。


アビスウズがその龍頭鯉の一匹に手を伸ばそうとしたその瞬間——

空がいきなり暗くなった。


巨大な影が貯水池全体を覆った。空気の温度が一気に上昇し、池の水は白い蒸気を上げ始めた。


「ちょっと!何やってるのよ!」

アビスウズは不満げに叫んだ。


というのも、ずぶ濡れになったゾンビたちが、一斉に狂ったように彼女へ突進してきたからだ。


ゾンビたちはもはや地面に落ちた指を気にも留めず、何重にも折り重なってアビスウズに覆いかぶさり、腐敗した背骨で肉の城壁を作り上げた。


指令一:ウンブラの家族を守る。


ゴォン!!


万物を焼き尽くす烈火が天から降り注ぎ、液体の溶岩のような炎が外側の数体のゾンビの背を瞬時に黒い炭塊へ変えた。


焦げ臭い悪臭と煙が一気に広がった。

最下層に押しつぶされたアビスウズは、まだ煙を上げるゾンビたちを押しのけて顔を上げた瞬間、もともと紅潮していた頬が真っ白になり、歯がガチガチと震え始めた。


空には、全身が真紅に染まり、翼を広げれば二十数メートルにも及ぶ火竜が激怒しながら旋回していた。


その双眸は破壊の意思に燃え、ひと呼吸ごとに火花が散った。


ゾンビたちはボロボロになりながらも、なお胸を張り、小さな少女の前に立ちはだかった。


火竜が再び降下し、巨大な鉤爪で地面に深い溝を刻んだ。


そして血のように赤い大口を開き、喉奥の光が膨れ上がり、子を奪った卑しい生物どもを焼き尽くさんとした。


死が落ちてくる寸前——


神聖な威圧に満ちた青藍色の雷霆が、濁った空を切り裂いた。


ゴオ——ン!


雷光は正確に火竜の頭角を撃ち抜いた。

巨獣は痛みに咆哮し、その巨体を地面にすくませた。


「はぁ⋯⋯あの死にかけ婆さんには何度も言ってるのにさぁ、畑を死人だけに任せちゃダメだって。」


樹影から渾厚な声が響いた。


精鋼の聖騎士鎧に身を包み、風に翻るマントを背に、雷光をまとう幅広の大剣を担いだ男が、ゆったりと貯水池脇へ姿を現した。


「火竜にまで産卵されてるってのに、あの婆さんはまだ家の中で茶飲んでるんだ。」


「デディカティオおじいちゃん!」

アビスウズは救い主を見つけ、嬉しそうに叫んだ。


老聖騎士デディカティオは、少女にゾンビの後ろで動くなと示した。


彼は怒れる火竜を見据え、そこに恐れはなく、老兵特有のあきらめだけがあった。


「いい子だ、孫よ。じいちゃんがこのデカいトカゲを片付けたら、家まで抱っこしてってやるからな。」

老聖騎士は雷の剣を掲げ、その身は稲妻のように閃いた。


光景はどれほど違和感に満ちていたことか——

絶対の正義と聖性を象徴する聖騎士が、腐臭漂うゾンビたちと肩を並べ、死霊術師の末裔を守っているのだから。


「全員、隊列を組め。」

まるで軍隊に命令を下すかのように、デディカティオは威厳をもって一喝した。


彼が雷光剣を掲げると、青白い輝きが瞬時に広がり、散らばっていたゾンビたちを照らした。


ゾンビたちの動作が突如として整い始めた。

死霊術師だろうと聖騎士だろうと、どちらも家族である。


そしてこの瞬間、彼らは死霊術の産物であることを越え、熟練の軍官の指揮のもと、忠誠の軍隊へと変貌した。


「第一列、肉壁。第二列、抑え込み。第三列、待機。」


ゾンビたちは声を持たないが、その動きは幾千の訓練を積んだ老兵のように素早く、三層の防衛線を形成した。


デディカティオが彼らを訓練するのは初めてではない。


農場のゾンビたちはすでに聖騎士の指令に対応できるよう調整されていた。


火竜が地に降り、怒りの炎が喉奥で渦巻いた。

その殺気は普通の兵士なら失神しかねないほどだが、ゾンビには感情も恐怖もなく、ただ命令を実行するだけだ。


デディカティオは雷光剣を掲げ、その刃に淡い青の紋が浮かんだ。


「弱きを守る名のもとに——前へ。」

第一列のゾンビが突進した。


脆い身体ながらも、石壁のように火竜の最初の突撃を受け止めた。


火竜が巨大な爪を振り下ろすと、ゾンビは吹き飛んだ。


だが第二列がすぐに補充に入り、火竜の前肢に絡みつき、蔓のようにしがみついた。


デディカティオは前へ踏み込み、聖剣が弧を描いて火竜の翼骨を斬り裂いた。


聖雷の力が火竜の皮肉を切り開き、その痛覚が火竜の怒焔を一瞬でかき消した。


火竜はもがき、天地を震わせる咆哮を上げたが、ゾンビたちは潮のように押し寄せ、四肢と尾を押さえつけた。


「抑え込み完了。」

デディカティオは満足げに、押し倒された火竜を見下ろした。


彼は雷光剣を地面に突き立て、青白い雷が地脈を伝って奔った。


火竜の巨体は激しく痙攣し、やがて電光の束縛に抗う力を失っていった。

その戦いは午後いっぱい続いた。


火竜の咆哮と雷鳴が、狂暴な交響曲のように空にこだました。

そしてこの時、ついに火竜は倒れた。


デディカティオは深く息を吸い、雷光剣の切っ先を静かに下ろした。

「ゾンビたち、下がれ。子を守れ。」


ゾンビたちは即座に散開し、再びアビスウズの周りへ戻って、破れかぶれながらも堅固な護りの輪を作った。


——その時だった。


空が再び輝いた。それは火竜の母の怒火だった。


デディカティオは顔を上げ、わずかに眉をひそめた。


「⋯⋯まだ最後の悪あがきをするつもりか。どうやらめでたしめでたし、とはいかないようだ。」

デディカティオは聖剣の刃に、集めうる限りの雷光を凝縮させた。


火を集める龍の喉。

雷を集める聖騎士の剣尖。


聖騎士はその一撃を、母竜の喉奥へ突き立てた。

最終的に、火竜は無念のまま血溜まりに崩れ落ちた。


その怒りに満ちた頭部は池の縁に垂れ下がり、生命力は金紅色の血とともにゆっくり流れ去っていった。


デディカティオは剣についた龍血を拭い、雷光を収めた。


彼は網に絡まった「龍頭鯉魚」に歩み寄り、そっと網を切り開くと、柔らかな力でその小さな生き物たちを池へ返した。


そして、怯えきったアビスウズを抱き上げ、その頭を大きな手で優しく撫でた。


「いい子だ、孫よ。もうここで遊んじゃいかん。」


「なんで——ここ楽しいよ?魚も捕れるし。」

アビスウズはぷくっと頬を膨らませ、デディカティオのマントをつかんだ。


「この火竜のオタマジャクシたちを、ちゃんと育たせてやらんとな。」

老聖騎士は池で右往左往する小竜たちを見つめ、どこか感慨深げに言った。


「外じゃ火竜なんてもう絶滅寸前だ。この農場の貯水池は、産卵に適した環境が珍しく残ってるんだ。」


「でも⋯⋯おじいちゃん、さっきおっきいの殺したよ。」

アビスウズは巨大な死骸を見て、申し訳なさそうに呟いた。


「お前を傷つけようとしたからだよ。」

デディカティオは優しく笑った。

その笑みには、どうしても避けられない残酷さが滲んでいた。


「お前の命は、火竜一万匹より重い。」

「なんで傷つけようとしたの⋯⋯?わたし、ただ曾祖母に魚を捕ってあげたかっただけなのに。」

デディカティオは足を止め、無垢な少女の眼差しを見つめた。


「お前が捕まえて遊んでたその魚が、あれの子どもだからだよ。

母親にとって、自分の子に触れる者は、すべて仇なんだ。」


「そっか⋯⋯」

アビスウズは泥とゾンビの体液まみれの自分の小さな手を見つめ、しゅんとした。


「じゃあ、もう捕らない。火竜のお母さん、迎えに来るのかな⋯⋯?」

デディカティオはしばし沈黙した。


池のそばの冷たい龍の亡骸を見、それから空を仰いだ。


「⋯⋯あいつらは、自分で育っていくさ。」

老聖騎士は静かに言った。


「お前も同じだよ、アビスウズ。この農場で育つ子はな⋯⋯いずれ、守りのない世界で、自分が傷つけた魂たちと向き合わなきゃいけなくなる。」


夕日が沈む中、聖騎士は五歳の死霊術師の血を引く少女を抱き、

その後ろでは、自分の指を黙々と拾い集めるボロボロのゾンビたちが続き、古い農場の屋敷へとゆっくり戻っていった。


蓄水池では、火竜の幼生たちが母の血水を啜りながら、力を取り込んで成長していた。




「河梨帝母さん、このお粥⋯⋯なんていい匂いなんだ。

失礼だが、何を使って煮ているのかな?」


食べ物のためなら、ベルゼブブは紳士を装うこともできる。


「仔羊、シラス、カラスミ⋯⋯人間の子は使ってないよ。」


鬼子母神は警戒して子を抱き寄せた。

彼女の子を奪おうとする者が相手なら、仏陀であっても容赦はしない。


「いや⋯⋯ちょっと誤解があると思うんだが。」

マモンは苦笑しながら兄を見た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ