第96話 暴れのドラゴンタートル——潜伏
「見てて!」
アビスウズは
口元に自信を滲ませ、
指で空中に
印を結んだ。
「大錬金術師メンデレーフよ、
我に必要な元素を与え、
悪魔の軀を
この世に形作らしめたまえ。
生命の伝道師メンデルよ、
遺伝子の配列を書き換え、
異界の霊を
次元を超えて、
我らの眼前に
降臨させよ。
この呪文をもって、
人間界に属さぬ存在を召喚し、
ここに姿を現させよ!」
淡い紫色の魔光が
瞬く間に、
小柄で皮膚が
暗い赤色をした小悪魔が、
アビスウズの影から
ゆっくりと
浮かび上がってきた。
その双眸は
きょろきょろと動き、
明らかに召喚されたことに
不満げだった。
「あの砂洲を
一周してきなさい。
動きは
大きくね。」
アビスウズが
命令した。
小悪魔は
何かぶつぶつと
文句を言いながら、
細い尻尾を
引きずって
灘地を
きょろきょろと見回し、
いくつかの貝殻を
蹴り上げ、
わざと
砂洲の端の枯れ木を
踏み砕いた。
小さな爪を
振り回しながら、
大声で
吠えたて、
海鳥たちは
羽ばたきながら
四方へ
飛び散った。
遠く離れた場所には、
まばらに村人たちが立っており、
指をさして、
相当な見物人気分で
いるのが見て取れた。
カシアは、
これから残忍な光景を
目にすると分かっていたが、
やはり思わず
手で目を覆い、
小さな隙間から
覗き見るようにした。
「実は、
そんなに心配する必要はないのよ。」
シミリスは
優しく彼女を慰めた。
「これらの悪魔、
召喚獣、
アンデッドの従僕たちは、
実は召喚者の魔力によって
形作られているだけなの。
たとえ破壊されても、
魔力が霧散するだけで、
本当に死ぬわけではないわ。」
数分が
経過した。
湿地の雰囲気は
小悪魔の騒動と共に、
微妙な緊張感に
包まれた。
遠くの泥の干潟の下から、
かすかにくぐもった音が響き、
巨大な何かが
ゆっくりと
目覚めつつあるようだった。
暴躁のドラゴンタートルは
稲妻のように猛然と
口を開き、
一瞬で
小悪魔に
噛みついた。
小悪魔は
最後の瞬間に
逃げ出そうとしたが、
ドラゴンタートルに
片足を
しっかりと
噛みつかまれた。
ドラゴンタートルは
小悪魔を
自分の方へ
引き寄せると、
口を開けて
そのまま
腹の中に
飲み込んだ。
「見つけた、
あそこだ!」
デレオが
低い声で叫んだ。
彼はバッグから
狼煙弾を取り出し、
スリングショットで
暴躁のドラゴンタートルの方向めがけて
撃ち放った。
爆裂音が
湿地の空に
黒い煙を
咲かせ、
空気の流れを
乱した。
泥の地面にいる
巨亀は驚かされ、
苔に覆われた首を
持ち上げた。
双眼は
幽かに緑の光を放ち、
明らかに
怒っている。
巨亀は
ゆっくりと
体の向きを
変え始めた。
分厚い甲羅が
泥の地面を摩擦し、
低いシューという音を
立てた。
巨大な前爪が
柔らかい泥の中を
掘り進み、
地中に
潜り戻ろうとしている。
一歩踏み出すごとに、
地面が
微かに振動した。
「そんなに簡単に
逃がしてたまるか!」
アレカが
大声で叫び、
びっくり箱の中から
重そうな
魔導キャノンを
担ぎ出した。
砲口が
火花を放つ。
ドカンという轟音と共に、
砲弾は
ドラゴンタートルの甲羅の縁に
命中し、
砕けた泥と
青苔を
爆発させた。
アレカは
反動で
バランスを崩し、
弾き飛ばされ、
泥の上を
何回転も
転がった。
硬い甲羅の表面に
微細なひび割れが生じ、
これが
ドラゴンタートルを
さらに
激怒させた。
ドラゴンタートルは
怒り心頭に発し、
甲羅のひび割れが
かすかに血の色を帯びて
光り、
泥にまみれた巨躯が
立ち上がり始めた。
巨亀は
耳をつんざくような咆哮を上げ、
巨大な爪で
地面を
力強く叩きつけた。
泥漿が
荒れ狂う波のように
四散し、
巻き上げられた泥の波が
壁となって
一同に向かって
押し寄せてきた。
周囲の村人たちは
慌てて荷物をまとめ、
遠くの高台へと
散り散りに
避難した。
デレオは
急いで
先ほど作った
蟹の甲羅の盾を
取り出し、
『防具強化!』を
発動した。
盾の表面が
幽かな青い光を放ち、
他の仲間は
それを見ると、
すぐに
彼の後ろに集まり、
皆でその
押し寄せる泥の波を
避けた。
————大したことではないこと————
格闘家のスキルリスト
初期スキル: 受身強化
Lv2: 雑念の払拭
Lv3: 拳撃
Lv5: 蹴撃
Lv7: 戦闘リズム
Lv11: 体当たり
Lv13: 関節技
Lv17: 硬気功
Lv19: 投擲
Lv23: 掌打
Lv29: 化勁反打
Lv31: 浸透打撃
Lv37: 気功弾
Lv41: 弱点看破
Lv43: 経穴
Lv47: コンボアタック




