第94話 火力を上げすぎないよう注意
「Lv8、Lv9、Lv10、Lv11、……Lv20!」
皆のレベルアップの速度が速すぎて、
アレカは数えることすら追いつかないほどだった。
烈火が退散するとともに、
泥の干潟にいた巨大ムツゴロウは
全て丸焼きになっていた。
空気中には
焦げた魚の鱗の匂いと
泥土の湿潤な香りが混ざり合っている。
全員が一度に何レベルも上がり、
経験値が波のように押し寄せた。
「わあ、こんなに早くレベルが上がるなんて、
シミリス、それじゃまるで大虐殺じゃないか!」
アレカは目を丸くし、
驚きと感心に満ちた口調で言った。
「こら、アレカ!言い過ぎよ。」
カシアは眉をひそめ、
やや不満そうな口調で叱責した。
彼女はアレカを叱りつけながら、
音楽のスピリッツたちを呼び出した。
スピリッツたちは軽やかに弦を弾き、
優雅なメロディが空気中を流れ、
戦闘で疲れた皆の精神を
優しく癒やしていく。
シミリスは顔色がやや青白く、
少し弱っている様子だった。
「いいえ、アレカの言う通りよ。
真名師のスキルは暴走しやすく、制御が難しいの。
私は本当に不注意だったわ。
幸いなことに、ここは召喚塔林ではないから
魔法力に限界があったけど、
そうでなければ、うっかり巨大ムツゴロウを
絶滅させてしまうところだった。」
彼女は手のひらを見つめた。
銀白色の微光は徐々に消え、
指先にはわずかな灼熱感が残っていた。
「ふう、だから原初の偉大なスピリッツは
君にそんなにも困難な試練を与えたんだろうね。
真名師の力は本当に強大すぎる。」
アビスウズの眼差しには畏敬の念が満ちており、
低い声で言った。
彼女はいくつか中級の悪魔を召喚し、
付近にいる焼死したムツゴロウを
運び戻させた。
ムツゴロウの体には
装備製作に使える素材は少ないが、
その魚肉は食用になるうえ、
その肝臓は魔力回復ポーションの調合に
非常に適している。
実際、全ての肝臓は
魔力回復に適しているのだが。
チェラーレは刀で
ムツゴロウの一匹の腹を切り裂き、
その肝臓を掘り出してデレオに投げ渡した。
デレオは空の瓶を作り出すと、
手を伸ばしてその肝臓を受け取った。
「回復アイテム製作」
彼の手に、
青く光る魔力回復ドリンクが出現した。
彼はそのドリンクを
シミリスに手渡した。
「飲んでくれ。
君の魔力を完全に回復させることはできないが、
少なくとも弱々しい状態からは
抜け出せるはずだ。」
シミリスは瓶を受け取り、
微かに微笑んで小声で礼を言った。
瓶の感触はわずかに冷たく、
ドリンクが口に入ると、
体内で瞬時に清流となり、
彼女の精神をわずかに奮い立たせた。
「よーし、それじゃあ戦闘結果を発表するぞ!」
アレカは再び鈴を取り出し、
皆の成果を集計し始めた。
一行は次々と周りに集まる。
カーンカーンカーン!
「戦闘終了!
今回はみんなレベルが跳ね上がって、
それぞれ全く新しいスキルを獲得したぞ!」
『デレオ Lv20
新規スキル:体防具製作、頭防具製作、防具修理、防具強化を習得。
やったぜ、リーダー!
これで全身の防具が作れるようになったし、
修理も強化もできるようになったぞ!』
『アビスウズ Lv9
新規スキル:屍毒を習得。
どうやら死体を利用して毒属性の魔法を拡散できるようになるみたいだ。』
『シミリス Lv8
新規スキル:凍結の印記、命名を習得。
シミリスは本当に気を付けてね。
また一つ印記魔法が増えたよ。
そして君は今、名無しの魔物に名前を付けられるようになった。
これで無差別な大虐殺は起きなくなるね。』
『チェラーレ Lv15
新規スキル:先手、内臓刺突を習得。
ふむ、これらのスキルは何も人を殺す時だけに役立つわけじゃない!
先手を取りやすくなるだけでなく、内臓を正確に攻撃して、ほぼ一撃必殺の効果を達成できるぞ。』
『アペス Lv13
新規スキル:体当たり、関節技、戦闘リズムを習得。
アペスの格闘技術が全面的にアップグレードし、近接戦闘能力が大幅に向上したぞ。
今回増えた関節技で、君のレスリング技術にボーナス効果が乗るようになるぞ。』
『カシアLv15
前回の戦闘には参加できなかったけど、今回はかなりレベルが上がったぞ!
新規スキル:戦争檄文、困惑の詩歌、隠蔽、感謝の詩歌を習得。
詩歌のスキルについては多くを語らないが、
今回隠蔽という技術を得たことで、
戦闘離脱したかどうかを気にしなくて済むようになったぞ。』
デレオは
カシアとシミリスのレベル上昇速度が
ほぼ倍近く違うのを見て、
クラスアップが高くなるほど
レベルが難しくなるのではないかと
推測した。
その後、皆はアレカを手伝い、
シオマネキと十数匹のムツゴロウの死体を
片付け始めた。
死体が砂浜に敷き詰められ、
かすかな生臭さが
潮風に乗って流れてくる。
皆は豊作の喜びに満たされつつも、
少々目眩を覚えていた。
「みんなはこれらの海産物を分解する必要はないよ。
僕には事前の処理機能があるんだ。
ただ中に回収するだけで、分解して、分類して、パッキングまでできるんだ。」
アレカはそう説明しながら、
びっくり箱の蓋を開けた。
その中はまるで底なし沼のように、
全ての獲物を収納することができた。




