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当ててみて、私の箱の中に何が入っていると思う?〜俺の冒險用ミミックだ!  作者: 上部乱
第三部——召喚塔林

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第88話 メジェドのゲーム


儀式の神聖な光が少しずつ薄れていき、デレオの体内を、言いようのない温かい流れが巡っていくのを感じた。

その手に持った作業マニュアルが、ふっと光を帯び始める。


祝福の声が満ちる中で、なじみ深くもあり、どこか他人のようでもある声が、彼の心の内側で柔らかく響いた。


『やあ、久しぶりだね!』


その声は、男とも女ともつかない。


周囲のざわめきが突然すっと消え、時間そのものが止まってしまったかのような静寂が広がる。

白い帳が四方から降りてきて、デレオは自分が大きなローブの中にすっぽり包まれてしまったような感覚を覚えた。


「ここは……?」


半空に、不思議な両の眼がぱちりと開く。

謎かけを出し終えた子どもが、正解を待ちきれずにこちらを見つめているような、期待に満ちた眼差し。


「あなたはメジェド……俺は、あなたのローブの中にいるんだな。」


『正解! 1ポイントあげよう!』


空中に正四面体がひとつ現れ、その一面の正三角形がぽっと光る。


「じゃあ、あと三つ謎かけがあるってこと?」


『謎じゃなくて、三つのゲームだよ?』


「そっちの方が性に合ってるな。よし、付き合ってやるよ。」


デレオの方も、半ば遊び心を刺激されていた。


だが、いくら待ってもメジェドは何もしてこない。


「えっと……ゲームをやるんじゃなかったのか?」


『そうだよ?』


「じゃあ、そろそろ始めてくれない?」


『もう始まってるんだけどなあ。』


「え……でも、何も起きてないけど?」


『そんなことないよ?』


上の大きな眼がにやりと笑う。

自分の仕掛けた謎に相手が戸惑っているのを見て、純粋に喜んでいる顔だった。


「じゃあ……ここには何がある?」


デレオはぶつぶつつぶやきながら、周囲を見回す。

見えるのは、周りを囲む白い帳と、足元に広がる固い地面だけ。


帳に向かって歩き出してみるが、どれだけ歩いても境目にはたどり着かない。


デレオは考え込む。

(ここでむやみに体力を消耗するわけにはいかない。メジェドは信者の信仰を試すのは好きではありません。)


「ツール製作:スコップ。」


「もし、あなたが帳には近づかせないくせに、その向こう側に答えを隠しているんだとしたら、それはフェアなゲームじゃないよな。

だから、秘密を隠せる場所はもうここしかない。」


デレオは足元を指さした。


メジェドは何も言わない。けれど、その眼差しはさっきよりもずっと熱を帯びていく。


「とはいえ、どこに埋めたんだろうな……」


見渡す限り、この場所には地形の変化というものがまったくない。

どこを見ても、同じ。


「全部が同じなら──唯一違うのは、『今、俺が立っている場所』だ。」


デレオはスコップを振り上げ、その場の地面に力いっぱい突き立てた。


『ここまで成長してくれて、本当にうれしいよ。』


「どうして、こんなゲームをさせるんだ?」


デレオは土を掘り返しながら問いかける。


『いくつかのものは、君の阿頼耶識の中に眠っている。

自分の悟りによってしか掘り出せないものを、私たちが勝手に抜き取るわけにはいかない。

だから一度、ここに隠しておいたんだ。』


メジェドは根気よく説明してくれる。


やがて、スコップの先が何かものに当たった。


この感触は──


「……作業マニュアル?」


そこにあったのは、あの遺跡で見つけたはずの作業マニュアルだった。


「どうして、これをここに隠したんだ?」


『君に思い出してほしかったんだ。

昔の「君」を呼び起こしたものが何だったか。

そして、もう一度選び直すチャンスをあげたかった。』


メジェドがそう言うと、空中の正四面体の、別の一面がふっと光った。


「俺に、どんな選択をしろって?」


『それが三つ目のゲームさ。もっとも、これはサービス問題だけどね。』


メジェドは、デレオの手にある作業マニュアルを見つめる。


『さあ、開いてごらん。』


デレオがページをめくると、そこには何かの操作手順でも技術ノウハウでもなく、

一人の人間の一生の細部が、びっしりと書き込まれていた。


薄っぺらな冊子のはずなのに、いくらめくっても終わりが見えない。


「これは……?」


『君が生ききれなかった、もう一つの人生だよ。』


『でも、今ならまだ間に合う。──さあ、選びなさい。』


デレオは一瞬も迷わなかった。


マニュアルを、そのままさっき掘り起こした穴に放り込み、スコップを握り直して、土をざくざくと戻していく。


まるで、何もなかったかのように。


「これがなかったことになるはずはない、ってことぐらい分かってるさ。

けど、軽々しく掘り返すつもりもない。」


『その答えでいこう。』


正四面体の三つ目の三角形が、ぱっと明るく輝く。


デレオは、遊び心に満ちたその両眼を真正面から見上げた。


「最後の謎は、あれなんだろ?」


彼は空中に浮かぶ、きらめく正四面体を指さす。

これ以上、余計なもののない、極限までそぎ落とされた立体。


『ほらね、やっぱり気づいちゃうんだ。』


「なんか、お前が俺に気づいてほしがってるように見えるんだけど?」


『謎かけをする子どもって、最初はね、「絶対当てさせないぞ!」って思ってるんだ。

でも、本当にいつまでも当ててもらえないと、今度はさみしくなる。

最後にちゃんと答えにたどり着いてくれたときこそ、出題者が一番うれしい瞬間なんだよ。』


「ってことは──俺はこれで試練を乗り越えた、ってことでいいのか?」


『まだだよ。あれを、君の手で“受け取らない”とね。』


「それなら簡単そうだ。独占アイテム──」


『ちょっと待って。その子に名前をつけてあげて。』


「名前?」


『うん。』


「じゃあ……『心の器』ってのはどうだ?」


『いいね。機能ともかなり近い。』


「で、その機能っていうのは?」


『魂を封じる。』


「魂の封印……それって、アバドンのあれと同じじゃ──」


『全然違うよ!』


メジェドは、ぷんすかとでも言いたげな調子で遮る。


『君のそれは、肉体を失った魂がこの世に留まるための入れ物だ。

君に封じられた魂は、自由意志を保ったままでいられる。』


デレオは、ようやく安心して手を伸ばした。


「なら、ありがたくもらっておくよ。独占アイテム:心の器!」


正四面体は彼の掌の中で実体を得て、四つの面すべてが明るく光り出す。


「つまり、今日の用件は、俺とこのゲームで遊ぶためだけにあったってわけ?」


『そうだよ。それとついでに、アバドンとの決闘のことを思い出してほしかった。

あれの勝敗はね、ずっと前からもう決まっているんだ。

あとは君が、自分の一番得意なものを忘れないかどうかだけ。』


「そこまで言うなら、具体的にどうすればいいか教えてくれてもよくない?」


『私が何の神か、忘れた? 私は秘密を隠しているときが、一番ご機嫌なんだよ。』


―――――

付録


デレオは料理人の道を捨て、整備士の道を選んだ。

ここで一度、デレオのこれまでのクラスアップルートと取得済みスキルを整理しておく。


アイテム士


初始スキル: ドロップ数増加

Lv2 節約

Lv3 アイテム効果倍増

Lv5 メンテナンス

Lv7 熟練

Lv11 簡易アイテムの製作

Lv13 ツール製作

Lv17 消耗品コスト軽減

Lv19 リサイクル

Lv23 大量生産 

Lv29 アイテム複製

Lv31 生産品質向上

Lv37 アイテム性能強化

Lv41 アイテム性能結合

Lv43 ツール性能結合

Lv47 独占アイテム


整備士

初始スキル: 基礎防具製作

Lv2 足防具製作

Lv3 中級防具製作

Lv5 盾製作

Lv7 手防具製作

Lv11 体防具製作

Lv13 首防具製作

Lv17 防具修復

Lv19 防具強化



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