第三話 終
また鷹宮がNSL学校の男子生徒の捕獲に失敗したらしい。
しかも、以前と同じくNSL学校付近の川で敵NSLと交戦し、敗れてたとのこと。加えて鷹宮はこの前の帰還時以上に機嫌が悪く、かなり荒れていた。
頭首室でモリスからそう報告を受け、蒼一はただならぬ事態の急変を感じた。
「そうか、またしても鷹宮が……」
鷹宮は組織の中で第三位の実力を誇る強者だ。この前は初の出撃ということもあり、一度ならば油断や何かの間違いで敗れることもあるだろうと、軽く捉えていたが、二度も返り討ちにあったとなれば看過してはおけない。
さすがに懸念を抱き、蒼一は覇気のない表情を神妙な色に染めた。
モリスは報告を続ける。
「はい。機体には水に濡れた以外に目立った外傷はありませんでしたが」
「よほどの手練れが敵にいるということか」
「そのようです」
「しかし妙だな。諜報員からは今の学校にいるのはせいぜいがレベル3だと報告を受けていたが?」
「隠れた実力者がいた、ということでしょうか」
「ふむ……さすがに見過ごしてはおけないな」
蒼一はアゴに手を置き、思考する。
鷹宮で敵わないなら、第二位の実力者であるモリスならどうか? ――いや、ここはより確実に、トップの実力者である自分が仕留めるべきだろう。その方が事は早く済む。
蒼一はそう決断し、意思を伝える。
「わかった。次は私が出よう」
「蒼一様自らが、ですか?」
「ああ、危惧すべき問題は確実に排除しておく必要がある。しかし私も忙しい身だ。出撃の日時は追って知らせよう。私の特機を準備しておけ」
「はっ」
モリスは短く了解を告げ、頭首室を後にする。
蒼一は「ふん」と鼻を鳴らす。
どの程度の手練れか知らぬが、レベル5の自分の敵ではない。
まったく、つまらないことに懸念を抱いたものだと、蒼一は落ち着きを取り戻し、また電子書類に目を通す作業に直った。




