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第6話 地下空洞

イグニスとアークが“ナニカ”と対峙するその瞬間、

アキラとレイの通信に、オルタ・フレーム機関の声が届く。


「・・・・・・聞こえるか?」


「この通信・・・・・・・オルタ・フレーム機関、からか?」


「戦場で戦っているのは、兵士“だけ”ではない。

我々は我々の戦いをしている。

お前たちはーーー前を向け」


その言葉は、二人の背中を押すように響いた。


幸運・希望・拒絶・そして信頼


イグニスの炎が揺らぎ、アークの静寂が震える。

数値上の変化はない。

出力も、反応速度も、耐久も、何一つ変わっていない。


だがーーー


*戦いやすくなっている。*


アキラが息を呑む。


「?なんだ・・・・・・・なんか戦いやすくなってる?

オルタ・フレーム機関の援護か?」


通信が返ってくる。


「“我々”は“直接は”何もしていない」


その声は、どこか楽しげで、どこか獰猛だった。


「さて、これで“希望”は生まれた。

では、“拒絶”させてもらおうか」


裏社会の拠点


「ボス!!金が、金がねえ!!」


「今度はなんだ!?」


「幾重にもプロテクトを重ねた資産データが・・・・・・

**書き換えられている!!**」


「なんだと!?一体誰が・・・・・・

ちっ、あいつらか!?」


ボスは怒鳴り、部下に命じる。


「とりあえず、物理的な資産は全部持ち出せ!

この拠点は放棄する!」


だがーー遅かった。


輸送トラックの運転席から悲鳴が上がる。


「ボス!!

詰めるだけ積んだトラックが・・・・・・

**操作を受け付けねえ!!**」


「ハッキングか!?」


全員が後部ハッチに集まり、荷物を降ろそうとするがーーー


**【護送システムーオルタ式ー起動シーケンスに入ります】**


トラックは、まるで意思を持ったかのように動き出した。


物資集積拠点


「全く、経理主任のやつ、どんな魔法を使いやがった・・・・・・

控えめに言って、最高だな!

今度酒でも奢ってやるか」


「蹴られて財布だけ巻き上げられるのが落ちですよ。

それより・・・・・・・」


調達部隊長は、積み上がる物資を見てため息をつく。


「・・・・・・わかってる。これでも足りないか・・・・・・

輜重隊の奴らに渡すしかねえ」


その時ーー


「調達部隊長!?

所属不明の武装トラックが突っ込んできます!!」


「なんだと!?ゲートを封鎖しろ!!」


「それが・・・・・・勝手に開いていきます!!」


「「!?」」


緊張が走る中、

武装トラックは行儀良く停車した。


そしてーーー

その荷台から溢れ出したのは、


**あり余るほどの物資。**

一部、表に出すとマズいものまで含まれている。


調達部隊長は、呆けたように、しかし笑って言った。


「・・・・・・全く、本当にどんな魔法を使いやがった。

ええ?“オルタ・フレーム機関“」


その声には、

確かな“信頼”と、

そこそこ大きな“敬意”が宿っていた。


地下空洞


イグニスとアークは、まだ劣勢だ。

だがーーー戦場の天秤は、確実に傾き始めている。


アキラが呟く。


「・・・・・・なんだよこれ・・・・・・

みんなが・・・・・・支えてくれてるのか・・・・・・?」


レイも静かに応える。


「戦ってるのは、俺たちだけじゃない。

“全員”が戦ってるんだ」


その瞬間、イグニスの炎が強まり、

アークの静寂が深くなる。


“ナニカ”が揺らいだ。


ーーー


そして、湯気の向こうでトリックスターが笑う。


「いいねえ・・・・・・・

これが“戦場”ってやつだよ」


その笑みは、いつも通りでーーー

いつも通りではなかった。


ーーー


恐れの行方


トリックスターは、湯気の向こうで軽く笑った。


「まあ、恐れは“勝手に”生まれるだろうから・・・・・・・・

届けやすくしといてやるか」


その言葉が、どこへ向けられたものなのか。

誰にもわからない。

だが確かに、世界のどこかが“震えた”。


輜重隊ーー恐れを捨てる者たち


「輜重隊、このままでは脱落者が出ます!!」


「いいからアクセルを踏み込め!!

間に合わなかったら意味がない!!

恐怖なんざ、そこら辺のゴミ箱にでも捨てておけ!!」


砂煙を巻き上げながら、トラックは走る。

彼らは兵士ではない。

だが、前線の命を支える“命綱”だった。


恐れはある。

だが、それを抱えたまま走る覚悟がある。


裏社会の拠点ーー恐れに飲まれる者たち


一方で、覚悟を持たない者は恐れを捨てられない。


「・・・・・・ボス」

「・・・・・・なんだ」

「・・・・・・もう、何も起こりませんよね?」


そこにいたのは、

いかつい顔をしていながら、

見えない敵に怯え、

恐れを駄々漏れにしている情けない集団だった。


彼らは“恐れ”を処理できない。

だから、飲まれる。


その差が、戦場の明暗を分けていた。


そして、すべてのピースが揃い始める


輜重隊は恐れを捨てて走り、

調達部隊は希望を抱えて物資を集め、

経理は幸運を引き寄せ、

経理は幸運を引き寄せ、

裏社会は拒絶され、

オルタ・フレーム機関は静かに戦場を整えた。


そしてーー


イグニスとアークは、

その全てを背負って戦っている。


“ナニカ”は揺らぎ始めた。

概念の塊が、世界の意思に押されて形を変える。


トリックスターは、コーヒーを啜りながら呟く。


「さて・・・・・・・

そろそろ“揃った”かな」


その声は、まるで舞台の幕が上がる直前の合図のようだった。

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