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第5話 選択するということ

そして、二機の動きには共通点があった。


それはーーー

*“イグニス“と“アーク“という名前を選んだことによる変化*


本来の名前ではない。

与えられた識別信号でもない。


二人が選び、

二機が受け入れ、

そして“調律された”名前。


その名は、過去を否定するものではなかった。


むしろーーー

**過去の経験も記憶も痛みも、すべてを含めた上で

新しい形へと調律されていく“進化”そのものだった**


イグニスの炎は、かつての暴走の記憶を抱えたまま燃え上がり、

アークの静寂は、かつての喪失の痛みを抱えたまま凍てつく。


それでも二機は前へ進む。


名前が変わったからではない。

名前を“選んだから”だ。


ーーー


その様子を、トリックスターはコーヒーを揺らしながら眺めていた。


「いいねえ・・・・・・

名前ってのは、ただの記憶じゃない。

“選択”の証だ」


湯気の向こうで、彼の瞳が細められる。


「さて・・・・・・次はどう“調律”されるのかな」


その声は、誰に向けたものでもない。


だが確かにーーー

“ナニカ”が反応した。


それぞれの戦場、それぞれの役割


イグニスの炎が空洞を照らし、

アークの静寂が“ナニカ”の波動を受け止める。


二機は確かに強くなった。

二人また、選択を経て強くなった。


だがーーー


*それでも足りない*


“ナニカ“は、ただの敵ではない。

ただの現象でもない。

概念の凝集体。

感情の総量。

世界の裏側に流れる“意思の残滓”。


二機と二人だけでは、到底受け止めきれない。


アキラが歯を食いしばる。


「・・・・・・どうすれば・・・・・・!」


レイもまた、アークの振動を感じながら呟く。


「このままじゃ・・・・・・押し切られる・・・・・・!」


その時ーーー

ノイズ混じりの通信が割り込んだ。


「・・・・・・聞こ、え、っるか?」


アキラが目を見開く。


「この通信・・・・・・オルタ・フレーム機関、からか?」


レイも息を呑む。


「なんで今・・・・・・!」


通信の向こうでは、別の戦場があった。


オルタフレーム機関

白衣の男が、乱れた髪を掻き上げながらいう。


「戦場で戦っているのは、兵士“だけ”ではない」


背後では、研究員たちが必死に計測器を押さえ、

別のものは書類を抱えて走り回り、

誰かが叫び、誰かが泣き、誰かが笑っている。


「戦うものたちの意志と力。

それぞれの役割を全うすること」


彼はモニターを睨みつけ、

まるで前線に立つ兵士のように息を整えた。


「それが唯一にしてーーー“最高の選択肢”だ」


その笑みは獰猛だった。

だが、どこか懐かしい。

“かつての同僚”と同じ光を宿していた。


ーーー


地下空洞

その通信を聞きながら、トリックスターはコーヒーを揺らす。


「ほらね。

戦ってるのは、前に立つ二人だけじゃない」


湯気の向こうで、彼の瞳が細められる。


「さて・・・・・・“役割”が揃い始めた。

ここからが本当の戦いだよ」


その声に応えるように、

“ナニカ”が再び形を変え、二機へと迫る。


ーーー

ここで物語は、

*「二人と二機」だけの戦いではなく、

“世界全体が戦っている“構図へと広がった。*


幸運の名を借りた戦い


「さて、まずは“幸運”が必要だ」


オルタ・フレーム機関の白衣の男が、

冷静な声でシステムを起動させる。


端末の画面に、見慣れないプロトコルが走る。


*【補助演算系:FortunaーDrive 起動】*


「“役に立ってもらおうか“」


その言葉と同時に、基地全体の照明が一瞬だけ揺れた。


経理という名の戦場


「予算が、予算が・・・・・・!」


経理室は、戦場だった。


書類が飛び交い、電卓が悲鳴をあげ、

主任の怒号が響く。


「何!?足りないのはわかってるのよ!?

泣き言言ってないで、そこら辺の豚の貯金箱かち割ってでもかき集めなさい!」


「いえ、増えてるんです・・・・・・!」


主任の動きが止まる。


「?増えてる?何が?」


「予算を管理している・・・・・・・口座残高が

**“圧倒的に増えているんです!!**」


経理主任の眉が跳ね上がる。


「あの守銭奴の本部が予算の増額?

それともシステムエラー?・・・・・・いえ、なんだっていい・・・・・・“好都合“だわ」


「経理主任・・・・・・?」


主任はゆっくりと振り返り、

ちょっと低くくらいの満面の笑みを浮かべた。


「金はあるんだから・・・・・・

**片っ端から足りない物資、買い占めなさい!**」


その瞬間、経理室は歓声とも悲鳴ともつかない声に包まれた。


そして、別の場所では


「ボス!!金が、金がねえ!!」


暗い倉庫。


明らかに“表の社会に属さない”連中が慌てふためいていた。


「なに?」


「幾重にもプロテクトを重ねた資産データが・・・・・・

**書き換えられている!?**」


「なんだと!?一体誰が・・・・・・

ちっ、あいつらか!?」


ボスと呼ばれた男は舌打ちし、

部下たちに怒鳴る。


「とりあえず、物理的な資産は全部持ち出せ!

この拠点は放棄する!」


部下たちが慌てて動き出す。


その裏でーーー

オルタ・フレーム機関の端末には、静かにログが流れていた。


**【FortunaーDrive:資金流動最適化 完了】**

**【敵対勢力:資金枯渇】

**【味方補給戦:強化】


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