第3話 そして、地下空洞では。
トリックスターが、コーヒーをすすりながら呟く。
「さて・・・・・・上も下も、そろそろ限界かな。
臨界点って、綺麗だよねぇ」
彼の視線の先には、イグニスとアークのコアが脈動していた。
アキラがレイの選択が、世界の構造そのものに波紋を広げていく。
「Phase 3、もうすぐだよ」
その声は、誰に向けたものでもない。
だが確かにーーー‘何か’が答えた。
侵食の始まり
「さて、先手はどちらが・・・・・・おっと。
向こうのほうが‘せっかち’だったか」
トリックスターは、湯気の立つコーヒー越しに視線を向ける。
その先でーーー‘ナニカ’が目覚め始めていた。
それは形を持たない。だが、確かに‘存在’している。
イグニスのコアが一瞬だけ震え、アークの外装に走る青いラインが波打つ。
アキラとレイの視界にも、警告表示が走った。
**【未定義反応体:接近】**
「なんだ・・・・・・・これ・・・・・・?」
アキラが息を呑む。
「敵性反応・・・・・・じゃない。
でも、これは・・・・・・‘生きてる‘?」
レイの声が震える。
次の瞬間、空洞の壁が波紋のように揺れた。
‘ナニカ‘が、二人と二機に向かって襲いかかる。
それは音もなく、影もなく、ただ‘世界の構造そのもの‘を歪ませながら迫ってくる。
イグニスの装甲が軋み、アークのセンサーが一瞬だけ白く飛ぶ。
「来るぞ、レイ」
「わかってる!」
二人は同時に操縦桿を握りしめた。
ーーー
その様子を、トリックスターはコーヒーを一口すすりながら眺めていた。
まるで、舞台の幕が上がる瞬間を楽しむ観客のように。
「さあ・・・・・・‘選ばれた二人‘がどう動くか。
ここからが本番だよ」
彼の言葉に応えるように、空洞全体が低く唸りを上げた。




