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こんにちは。

KURAです。

一応途中まで書いてたり、書き終わったけど添削終わってなかったりしてた期間あったんですが何もしてなかったり私事で忙しかったりしてながーくなったんですよね。

言い訳ですが。

脳裏の目に強い光が差し込まれる。

彼はあまりの光に目を薄め、手で遮ろうとする。

すると、今度は目の前にある机から大きな音が鳴った。

脳裏がそちらの方に目をやると机のど真ん中に握り拳が鎮座しており、目の前の男が机を叩いたのだと推測した。


「おいおい、僕も何回かは受けたことあるけどこんなドラマチックな取り調べは初めてだよ」


「お前相手だと地味すぎるとすら思うが」


「そう褒めるなよ。褒めるのは質問してからだろ?」


「……お前は人殺しなんだろう」


「ひとごろし? そりゃまた奇怪なこと聞くね。そりゃ人殺しさ。君だって情報くらい掴んでるから僕を捕まえたんだろうし」


「……」


「でも、証拠がない。そうだろう? 決定的な証拠がないと裁判官は頷かない。頷けない」


沈黙する男に脳裏は目で真実を確認するかのように疑問を投げる。

脳裏は笑みを浮かべている。

このような事は稀にあったが、ここまでの熱意は本当に久しぶりであった。

アトラクションに乗った時のようにワクワクして堪らなかったのだ。


「お前は殺した人のことを覚えているのか」


「……アニメでも見たの? アレ面白いよね。んで、何だったっけ。お客さんの顔? 覚えてないなぁ。僕の店一応繁盛しててね。覚えられる程の数じゃないのよ」


そのふざけたような返事に青年は瞳を燃え上がらせた。

脳裏の胸ぐらを掴み、引き上げる。


「真面目に答えるんだ! お前は、一体何人殺した! そして、殺した人の事を、覚えてすら居ないのかっ」


脳裏の瞳に宿る子供のような光に愉悦の炎が混じった。

脳裏は男の目を見つめる。

男は怒りのままに見つめ返している。


「君、いい顔してるね。整形もしてなさそうだし。モテるでしょ」


「……」


「無視か。答えろって事。しょうがない、真面目に答えてあげよう。どうせ覚えてるっ言ったって信じないだろうに。それ聞くってことは写真あるんでしょ、見せて」


男は無言で写真を差し出した。

脳裏はそれをじっと見て、こめかみに人差し指をトントンと当てる。

数十秒ほど考えていると、脳裏の考えがまとまったようで話し始めた。


「覚えてるよこの子。僕のとこの従業員だった娘だ。愛想も良くて客からの人気もあったんだけどね。お金か、好奇心かは知らないけど、僕を調べ始めてね。だから、消したんだったかな」


「それが答えか」


「うん。僕は記憶力が良くてね。いつか役に立つかもしれないって思って、殺した奴の顔と殺した理由とある程度の個人情報は全部覚えてる」


「罪悪感は、ないのか」


「あ、罪悪感あった方が良かった? んじゃそれも理由として追加しといてよ」


「屑が……」


「そうさ屑さ。金の為なら何だってするんだから」


「俺は貴様を逃がさない。必ず俺はお前を刑務所へと入れてやる」


「死刑じゃないのか。なら精々証拠を集める事だね。それとも祈ってみるかい。正義感が死という恐怖を越える事を」


「……」


その言葉を受け男は脳裏を睨みつける。

それが何の解決にもならないと知っていても。

恐らく今回は己の手が届かないと心のどこかで確信しているからこそ。


脳裏はそれを見て朗らかに笑うと、ポツリポツリと話し始めた。

彼が話し始めた動機は同情なのだろうか、それとも称賛か。

それとも。


「僕だって産まれた時から人殺しじゃない。何処まで調べた? 答え合わせしてあげたっていい」


「十年前。お前は急に現れた。突如裏の人間が死に始め、警察が調べると脳裏の名が浮かんだ。だが、その名が示すのが複数なのか、単独なのかすらも分からず警察は頭を悩ませた」


「んー……ソコ? まぁいいや。十年前じゃない。十五年前さ。そこら辺未解決事件多かったろ?」


「……。そしてある時を境に警察は捜査を止めた。恐らく上層部がお前の客になったんだろう。こうしてお前は裏で殿堂入りした。関わると災いが訪れる最悪としてな」


「何それ……面白いね。……殿堂入りねぇ。最悪なんて呼ばれた覚えは数えるほどあるけどそこまで恐れられてはないぜ。あともう一つ訂正。客になったんじゃない。その時期僕に辿り着いた奴が一人いたんだ。丁度、君みたいな」


殿堂入りという言葉にひとしきり笑った後笑いをおさめずにそう言った。

己ではどうしようとも予想することのできない他人からの評価というものを彼は全くの負の感情がなく楽しんでいた。

彼という歴史を他でもない彼という当事者から語られる。


「彼は見事だったぜ。ちょっと僕が苛つくくらいには。だからさ、握り潰したんだ」


「権力で、か」


「いんや、それだけじゃない。たしかに権力も使ったさ。でも権力って便利だけど厄介な事もあってね。心は折れないんだよ」


「ま、弱いところが無い人間なんていない。わかるだろ?」


「……まさか」


「正義、家族、同僚、名誉。彼が大事にしてたものをどうやって壊したと思う?」


男はこの言葉を昨日の宿題の事を問う学生のように言ってのける彼を見続けることが出来なかった。

口ぶりは軽く、言葉は重いそれを聞く男は目の前の脳裏がどうしようも無く怖くなった。

男は脳裏が悪魔に見えた。いや、悪魔すら優しく思えるほどの邪悪だと思った。

喉に胃酸がかかるのを感じ、顔を伏せた。

それを見て脳裏はまた笑みを深めるのだ。

そして子供を見るかのように優しい顔で問いかける。


「まだあるだろ? ホラ。答え合わせしてやるよ」


「……お前は、何故そうなれたんだ」


「そうってどうさ」


「脳裏としてじゃない、お前に聞いてるんだ」


「……」


脳裏の目が細められる。


「鎚桐涙頭……いや、豊前奏(ぶぜんそう)


「ほぉ、これは驚いた」


目を丸くして脳裏は男を見た。

彼は全く、一ミリたりとも、当然のように予想していなかった。

そして彼は拍手をした。

目の前の男を称賛するように。

乾いた音が静かな取り調べ室に響き渡る。


「素晴らしい。それに辿り着くとは。……あー、名前何だっけ」


「佐藤正義だ」


「さとう、せいぎ、ね。OK覚えたよ。さて正義くん話を聞こうじゃないか。君はようやく話し合いの席に着いたんだ。お茶でも飲んだらどうだい」


脳裏はようやく映画を楽しむような浅く背もたれに寄りかかった座り方から前傾へと、つまりは身を乗り出した。

深く座り、足を組み、目は彼を貫いている。

ようやく彼は刑事、佐藤正義の事を見て話をしようとしているのだ。


「茶は要らんが、答えろ。何がお前をそうさせたんだ」


「何が僕をこうさせた。……つまりは人殺しになったキッカケでも聞いてるのかい」


「ああ」


「…………そう、だねぇ。どれから話したものか」


険しい顔をした佐藤に睨みつけられながらも脳裏は頭を捻る。

うんうんと唸っていると彼は横から話しかけられた。


「時間です」


「なっ、時間はまだ残っているはずだろう」


「……譲歩する気はないらしいよ? どうする」


「くっ……」


「僕が決めたわけじゃないんだからそんな睨まないでよ。じゃあ、一つヒントをあげよう。豊前奏の事を知りたいなら最初の殺しを調べるべきだと思うよ。人殺しからのアドバイスだ。二人目の殺しの理由は軽くなるもんさ」


「…………!」


時間切れを言い渡された佐藤は血が出るのではないかと言うほどに手を握り締め、脳裏を睨みつけていた。

だが、脳裏の言葉を聞くとそのまま飛び出していってしまった。


それを見た脳裏は驚きながらも呆れのような笑いを浮かべた。

そして立ち上がって体を伸ばすと、横にいた警官に連れられ部屋から出ていった。






















この小説も芯が決まってきて、書きたいように書いてるんですがどうにも初期の頃のブレが酷くて描き直したいんですよね。

といっても、書き直すネタが思いつかなければどうにも出来ませんが。

それでは、また明日。

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