研ぎ澄まされた銀光
こんにちは。
KURAです。
連続投稿最終日です。
私は基本これで一話書いたら次は書かなかったのですがやはり一連の流れが終わるまで思いついたなら書き上げた方が良いですね。
なんというか……話筋がずれないように感じます。
涙頭は今、店ももう閉めてしまい依頼も無く完全なるフリーの時間を過ごしていた。
自室にてコーヒーを啜りながら、本を読んでいる。
静かにゆっくりと流れるその部屋の時間はココアのようにとろけて安らぐものだった。
だがその空間に一つの異物が混ざった。
ノックだ。
特に顔を顰めることはせずに、扉の方をみやると、涙頭は机をコン、コン、コンと三回だけたたいた。
「失礼します」
それを聞くと彼は入ってきた。
入ってきた男はシーだった。
喫茶店で働く涙頭の右腕とも言っていい存在である。
だが、彼は喫茶店で見られるようなスマートでありながら軍人のような堅苦しさも感じる店員姿ではなく、執事のような服を着ている。
「なんだい」
特に感情も込められず尋ねられる。
報告を待つ上官のような、それでいて優しげな表情だ。
「以前調べたシルバーマンという男が最近また活動を始めたようで」
「……へぇ。つまり?」
「彼が仕留め損なわれたのかと」
少し予想外の連絡に驚きながらも、おかしくてたまらないその感情を隠そうともせずくつくつと笑っている。
それが少し落ち着くと、シーにこう言った。
口は抑えられずに少しにやけている。
「事務所にクレーム入れといて。あ、あとコレも」
涙頭は中指を立てた。
それを見たシーは懐からカメラを取り出すとそれをパシャリと撮り、彼は部屋から出て行った。
シーが出て行った後も彼は後味を味わうようにニヤニヤ、ニヤニヤとしつこく笑って、たまに耐えきれないように吹き出して声を出して笑った。
「所長。お客さんですよ。珍しいお客さんなんですからシャキッとしてください。シャキッと」
辛徒は昨日興が乗り、新しいスパイスの調合を探して徹夜をしていたのだった。
なのでごく稀にしかこない客が来たら起こせと甘城に言うと椅子に頬杖をつき、少しばかり寝ていた。
珍しい、と感想を抱きながら鬱陶しい眠気を振り切ると目を開いた。
目を開くと目の前に銀城が居た。
「……」
「やぁ」
一度、いや二、三度程瞬きをする。
流石の辛徒も動揺していた。
何故なら己が屠ったはずの青年が目の前にいるのだから。
甘城が珍しくフリーズする辛徒に驚いたように見ている。
彼は記憶を掘り返す。
いやいや確かに手応えはあった、しかも鉄の塊に閉じ込められていた、生きているはずはない、とは思うのだが目の前の光景には頭を捻らずにはいられない。
「………………変装?」
「いいねそれ、面白い。じゃあ変身してあげようか?」
いくら変装の達人や、彼の変装の頂点に立つあの男でさえもアレを再現するのは骨が折れるだろう。
そう理解している彼はどうにか目の前の人間をゾンビか何かに出来ないかと思案することを諦めた。
いつものように甘城を外へ出ろと言外に伝えて崩し切っていた姿勢を元に戻す。
「んで? 奇跡的に生還したお前はどうするんだ? 復讐? アイツも出て行った今ならやってもいいぜ」
「困らないの?」
「そりゃあ……困るが。一応俺の表の顔だしな」
「だろ? しかも俺も多分勝てない。両方損するじゃないか」
それを聞いて辛徒は驚いた。
とても以前の彼からは聞けない言葉だからだ。
正義を謳って己を殺しに来た彼ならば絶対に言わないだろうと思った言葉だったからだ。
「……おいおい、正義の味方はソレで良いのか?」
「善くないさ。でも正しくないとは限らない」
そう言う彼はとても晴れやかな顔をしている。
彼もどこかおかしくなってしまったのだろう。
「へぇ。良いじゃねぇか。んで? 勝てるようになったらやるのかよ」
「勿論。リベンジは受け付けてるかい?」
「気が向いたら、な」
「じゃあ僕はもう行くよ」
「あ、リベンジは早めに頼む。今仕留め損なったってクレームが来やがった」
「あはは、善処するさ」
そういいながら彼は事務所から出て行った。
辛徒が見ている画面にはクレームが書かれたメールが二通。
それもクレームというより煽りなのではないかと思うほど挑発的なものだった。
そして二つ共通してるのはそれだけではない。
中指が立てられた写真が付いている事も共通している。
「……やらかした、な。しかもアイツらが殺す価値もないと評価したやつ。あァ〜どんくらい続くんだろうな……」
煽りメールを見ながら辛徒は思う。
二人は確実にコレをネタに事あるごとに煽るだろうと。
それは数日で済むのだろうか。
数週間、数ヶ月、または数年。
はたまたシルバーマンの息絶えるまで。
それとも案外すぐ飽きてしまうかもしれない。
これからの更新は私生活や凍結した作品のリメイク作業とか修正とかやる事がたくさんあるのですが頑張って早く更新したいですね。
といっても次の話のネタが無いのが現状なんですがね。
不定期にはなりますが、読んでくださると幸いです。




