闇と月と光と
おはようございます!
KURAです。
遅いですね。はい。
この更新分九割方結構前に出来上がってたんですけど、仕上げを後にしてたらこうなりました。
apexとBloodborneは楽しいなぁ!?!?
月が空に昇り地上の観測を始めた頃、彼らは動き始める。
チャリチャリ、チャリチャリ。
金属が擦れている。
思わず顔を顰めたくなる音だ。
僅かに鳴っていたそれは少しずつ共鳴するように増えていった。
数分もすれば音が重なり合い、とても聞けたものではなく耳を塞ぎたくなるような音だ。
十分に大きくなったその嫌な音は鮮明さを増した事だろう。
これは鎖が擦れているのだと気付くことができる。
首輪に繋がれた鎖、それもその先は何か鋭利なものに切断されたように綺麗な断面で終わりを迎えている。
ジャラジャラと、ジャラジャラと音を出しながら多数の人間が動いているのがわかる。
そんな頭痛のするような空間に多くの人がいる。
嫌な音が比較的大きい音量で鳴っているのに彼らは眉一つ動かさない。
この人間達はある場所に向かっていた。
といっても場所というのは少し語弊がある。
詳しく言うならば場所はあまり関係がない。
一人の人間が立っている場所、工場跡地の屋上、そこに彼らは向かっていた。
その一人が彼らにとって何よりも大事なのだ。
そこに着くと充電が切れたかのように動くことはなくなった。
まるでマネキンのようで、みるものの背筋を凍らせるような奇妙な光景だ。
全ての鎖が音を発する事を止め、無と言う音が鳴り始めた時その男はしゃべり始めた。
「……どうせわかってんだろ。邪魔させんな」
それだけ言うと彼は屋上から立ち去り、廃工場の奥へと姿を消した。
対してその言葉を受け取った集団は微塵も迷いを見せず廃工場を取り囲んでいる森へと散っていった。
激しく身につけている鎖から音を発しながら。
裂鬼の全力。「伏鬼」約二百人。
それから数時間。この廃工場に一人の男が訪れた。
体を強張らせ、周りを見渡している。
何かを追うように。たがそれは追われる人間のようにも見える。
彼は銀城暁。鎖鬼に呼び出され、ここにやってきた。
鋭い目で闇を見ている。
「何処だ鎖鬼」
「へぇ……キッチリ着飾ってくるかと思ったら、えらくラフなんだな」
銀城が闇に問いかけると鎖鬼がその声に応えた。
彼が上を見上げると鎖鬼は一人、廃工場の埃被った機械に腰掛けている。
手には赤いとうがらしのようなものを持っている。
彼はあの銀色の姿でない事に目を見張りながらも笑いかけている。
「瞬きに覚悟が必要だと思うか? で、復讐でもする気か。回復が早いと少しも懲りないようだな」
呆れたように真意を問う。
彼の剣のような視線が鎖鬼に突き刺さる。
けれども鎖鬼には少しも刺さらない。
「ハハハッ、んなしょうもねぇ事するわけねぇだろ」
「他二人はどうしたんだ。潜んでいるのか」
「……もしかして、二人って脳裏と鴉の事かァ? お前ってやっぱ常人だよなぁ」
鎖鬼が吹き出し、ツボに入ったように姿勢を崩しながら笑う。
その言葉がひどく気に入らなかったようで銀城は顔を歪め、鎖鬼を殺そうと飛びかかりそうな顔で睨む。
歪んだ彼の顔が面白くて更に鎖鬼は笑みを深めた。
笑い声を響かせて、彼は機械から飛び降り、地面へと降り立った。
そして着地するとガリッと赤い唐辛子を齧り、そのまま残りも口へと投げ込んだ。
「さ、やろうぜ。お前は俺を殺したい。俺はお前と戦いたい。利害の一致って奴だろ?」
「イカレたバカには何を言っても無駄……か」
それに応えるように鎖鬼は糸を工場内に張り巡らせ始めた。
光と共に電子音が静かな工場へと訪れた。
彼が来た。
ここに来た。
シルバーマンが来た。
「やれ」
大きなビルに影が映し出されている。
映し出されたビルの数は多く、何人もの巨人が出現したような光景だ。
見た人間は目を擦り、妖怪の存在かタヌキかキツネの能力を信じるようになるだろう。
全ての影はある一点へ至る方向を指さしている。
その指の先には、ある廃工場が建っている。
主語も、目的語も、何もかも。動詞以外無いたった一言。
脳裏はそれしか発していない。
だけれどもそれで充分であるようで、街から多くの人間が蠢き始めた。
脳裏はこの町で一番高い塔の上でそれを見ていた。
「楽しい楽しい夜になる……かなぁ」
月をバックに彼は笑っている。
恐ろしい程まん丸な月が彼から街を見ている。
月の光によって影になり彼の表情は、伺えない。
「っといけない。ヒーローは遅れるもんだって言うけど……悪役は急がなきゃね」
そのまま塔を飛び降りて、月の光から外れた。
少なくとも骨と地面が激突する音が発せられる事は無かった。
脳裏の全力。組織「エゴ」約二千人。
「起動」
蚊の飛ぶような声は静かな夜であるにも関わらず響かず消えた。
夜といえども店は空いているし、電気は通っている。
よって無音とはいかない。何処かで人が居なくとも電気は音に変えられているのだ。
だが真の静寂が訪れた。
更には月という蜘蛛の糸に縋るしかない地獄も。
鴉の周りは町とは違う意味で劇的に変化した。
全てを受け入れる闇でも、救いのような冷たい月の光でも無い。
冷たさも暖かさも無い。意思をどうあがいても感じることのないただの光。
鴉の機械達が煌めきはじめた。
鬼も眠る夜中、特殊な人間以外は眠りにつく時間。
全ての電気は奪われた。抵抗は無駄に等しかった。
詳しく言うならばここら一帯に供給される電気を横取りした。
全て、全く一つの残りもなくそれは鴉自身の目的のために使われる。
「遅れた。俺が、殺す」
鴉がその真っ黒な髪からこれまた黒い目を出し、月を睨んだ。
そして、闇を睨んだ。
月は変わらずまん丸のまま街を見つめている。
闇は何も無かったように全てを包んでいる。
ニヤリと笑うと手を前へと突き出し、指を一回鳴らした。
それが合図だったのか幾つもの金属が地面を蹴る。
気配も殺意もない自然に近いソレらが解き放たれた。
鴉の全力。機械兵約一万。
賽は投げられた。
混ざった液体が戻らないように、落ちた水が天へと上らないように、酷く自然に決着が着く。
三人にとってそれは何なのか。
きっと何の価値もない物でしか無いと彼らは言うだろう。
銀城はこの過程に何を見るのだろうか。
結果を見て、どのような感情を吐露するのだろうか。
あと相談ともいえる独り言なんですけど。
この作品のジャンル地味に迷ってるんですよね。
コメディとは言ってきたんですけど、ブラックコメディなんですよ。
するとコメディってカテゴリーにするにはちょっと違うしなぁみたいな。
コメディ書くには自分のセンスが足りませんし。
どうしよっかなーって言うのが本音ですね。
まぁ九割趣味な作品なんでどうでも良いかなぁってのも本音ですが。




