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銀の光は冷たく進む

お久しぶりでございます!

KURAです!

はい! 新学期っていう言い訳を言っておきます!


あとは、はい。

Twitter見たら分かるくらいの怠惰っぷりです。

まあ、裏で他の小説も進めてたらこんなんなりました。

次は早く出します!

「お前ホントに人間か……?」






 シルバーマンが彼らに死を宣告したとほぼ同時に彼の体は動いていた。

狙う先は鴉である。

そしてその動きはもはや人間の物ではなくシャコのパンチの如く駆け出ると鴉の首を手で掴む。鴉も警戒していたのだがこれには対応できなかった。

すると彼はそのまま壁に頭を叩きつけた。

否、壁を叩き割ると鴉の体はそのまま直線上に人形のように半ば回転しながら飛んでいってしまった。


鴉は己の体の動きを理解しながら激痛と共に外のコンクリ壁に背中をぶつけた。

壁が壊れた事により太陽の強い光が差し込み、彼のスーツの銀色が鈍い光を部屋へと提供する。


「次は」


手を振り切った姿勢から鎖鬼達へと目線を向ける。

その姿からはとても正義という文字は見当たらない。


さしてそれを大人しく見ているほど脳裏達も馬鹿ではない。

もう動きは開始していた。

鎖鬼は手をシルバーマンに向けて振っているし、脳裏は瓶を投げながら拳銃の照準はもう彼に向けてある。

二人とも口角は上がっている。

目にキラリと光が入りはじめた。


「死」


「遅すぎだ」


だが間に合わない。

引き金を引く頃には目の前にシルバーマンはおらず、脳裏の手のひらには肉を裂く感触はおろか手応えの違和感すら感じていた。

目を見開き、周りを確認してシルバーマンを視認しようとする。

ソレをする二人は同時だった。


そして瞬き一回分の時間が経つと脳裏の顔面に拳がめり込んでいた。

彼は低い姿勢になり視線を躱していたのだ。

そのまま驚くべき速さで走り抜けていた。

鼻の骨が折れる音を聞きながら脳裏は地面を見失った。

半ば回転しながら地面へと激突すると出来の悪いボールのように不完全に弾み彼は倒れ伏した。

彼の整っていた顔から血が流れ始め、床に赤い円ができ始めている。


「……」


シルバーマンはそれまでとは一転、ゆっくりとした歩みで鎖鬼に近付いた。

覆面で顔は見ることはできない。

そしてその歩く姿からは何にも感情は感じれない。

言うならば彼が歩いていると言うことしか認識できない。

植物が動くようにゆっくりと彼の前へと向かっていく。


対する鎖鬼はソレを見て……笑った。

面白そうに。おかしくてたまらないように。無邪気な子供のように。晴々とした表情で。

笑っている。


彼の瞳はシルバーマンを映していた。

しっかりと、彼の姿を映していた。


「ハハハハハッなんだ、そうか。お前が、お前こそが俺の死なのか」


「そんなこと、俺が知るか。確かなのは今お前が死ぬことだけだろう」


「はっ、そうかよ。速さは異次元、力も馬鹿みてぇ。俺の糸が入らねぇほど頑丈。笑うしかねぇって状況か?」


「変わった遺言だな」


「お前ホントに人間か」


「……ヒーローじゃない事だけは確かだよ」


そう言うとゆっくりと足を振りかぶり、そしてそのまま弓の弦が一気に弾むように振り抜かれた。

晴天に浮かぶ月のように滑らかな曲線を描くそれは恐ろしい速さであり、重さだ。

鎖鬼はそれを真っ直ぐと見ており、目を逸らさず自らの死とも言い換えられるようなソレをゆっくりと見ていた。

微笑みながら彼は見ていた。


その蹴りは腹に命中した。足が鎖鬼の強靭な筋肉にめり込む。

彼の蹴りは鎖鬼の巨体を天井へと至らせた。

鎖鬼は背中を天井で強打し、そしてそのまま落下すると床に叩きつけられる事となった。

蹴られた時点で吐血しており、天井に激突した時は血も出ぬ程に掠れた声以外は出ることはなかった。

天井にはひびが大きく入っており、何があったらこうなるのだろうと客が思うほどの大きな大きなヘコミが出来上がった。


「かは」


一名、壁ごと外へ弾き出された。

一名、頭を打たれ回転するほどの一撃を受けた。

一名、己が浮くほどの一撃を受け、天井に激突した。

三名はその言葉通り壊滅した。

銀の光のみがさしている。


「トドメをさす、か」


彼は慈悲も怒りも、達成感すらも感じる事のできない声でそう言った。

その呻く事しかできない肉塊へと近付くと頭部分へと足を掲げ、そして振り下ろそうとした。

脳髄をぶちまけて生きている生き物はいない為であろう。

その頭蓋を砕こうと銀の鎚のような、足が落とされた。


「クソ野郎ッ!」


屋外から聞くものを硬直させるほどの声が発せられた。

そして異常なほどにまで加速され、虚空から異音が聞こえる程の銃弾がシルバーマンへと放たれた。

その凶弾を放った鴉は苦痛と笑みの混ざった顔で弾を放った後は反動のままに後ろに飛ばされた。


「なっ」


流石のシルバーマンもこの銃弾は防ぎきれない。

恐ろしい速度の鉛は彼の右肩を貫いた。

その常人ならば着弾した場合そのままその周辺の肉体が弾け飛ぶような銃弾は見事風穴だけに収まったのである。

鴉はその銃弾の反動で体の半分が壁にめり込んでおり、血を吐いている。

足が異様な方向に折れ曲がり、体の至る所から血が垂れているが生きてはいるようだ。

倒れながら小さく笑い声が漏れている。


「ソコなら針通るよねェ?」


一瞬の隙が流石にできたのだろうか。

そしてその隙を見逃すような彼らではない。

よく生きているなと思うほどの血を頭から滴らせながら脳裏はシルバーマンの近くにズルリと近付いた。

そして肩の傷に注射器の針を刺した。

彼は嗤っている。血に塗れながら。

大量の血を流しながら笑っている彼の顔は正に正気を無くすほどの迫力だ。


「死に損ないめがぁッ!」


「アハハ、んじゃその死に損ないに噛まれてるお前は何だい。猫かな、それとも虫かな?」


シルバーマンが右腕でなんとか立っている脳裏の命の灯火を消し去ろうとする。

だがそのまま風穴の所からガチャリと右腕が落ちた。

驚きの声をあげ、シルバーマンが脳裏が倒れていた所を見ると確実に再起不能にしたはずの鎖鬼が壁を背に座りながらニヤニヤとろくに肌色が見えない顔で笑っていた。

怒りがもしも視認できるなら炎のようにシルバーマンの周りを纏っていただろう。


「ヒヒヒ……どうした」


「次は殺す。爪を剥がして、牙を折って、手をもいで確実に、確実に殺してやる」


そう言い残してシルバーマンは外へ出るとそのまま消えたかのような速さで何処かへと行ってしまった。

残された三人。赤い血を太陽光が照らしている。

鴉は体を抜き、ずりずりと体を引きずりながら屋内へと向かっていった。

脳裏は力を抜くように鎖鬼の座っている壁に倒れ込んだ。


「なぁ」


「……なに」


「痛み止めある?」


「ねぇよ」


「マジかよ」


そして数秒して鴉がたどり着いて床へと倒れ込んだ。


「ねぇ、痛み止め」


「残念、一つもない」


「役立たず」


「うるせぇ。ほぼ割れたんだよ衝撃で」


「おい、脳裏医者は」


「呼んどいた。そっちは?」


「俺も。鴉は脳裏の方行っとけ」


「わかった」


そうしてしばらくすると、彼らは示し合わせたように言い出した。

三人は共鳴するように笑い始める。


「いやぁ、楽しかった」


「ね。久々にね」


「僕も、楽しかったぁ〜」


銀城は己がヒーローではないと言った。

棺桶に半身浴しながら晴れやかに、楽しそうに笑う彼らは一体何なんだろうか。

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