表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/61

依頼するということ

おはようございます。

KURAです。


眠いです。

「ふわぁ〜あ」


場所はある博物館の中の応接室。

辛徒が気の抜けた態度をとっていると警備の人にギラリと睨まれる。

辛徒はそれを浴びてもなんのその、机に置いてある菓子に手を伸ばした。


「緊張感もって……って言おうと思ったけど無理か」


「言うだけ無駄」


そして二人からそんな言葉を浴びせられた。

零も興味なさげにだらんと体を脱力させてはいるが、辛徒ほど油断してはいない。

涙頭はキチンと座っているが、警戒した様子では無い。


「つってもよー、まだ来ないだろ。真昼間から来るのは悪手だと思うんだが」


「君ねぇ、一応探偵なんて職業してるんだから信用の大事さはわかるでしょ」


「意味のない気力の消費なんざ三流のやる事さ」


「それは同意するけどソレもどうなのよ」


「……まぁな」


流石の辛徒もグゥの音も出ない。

その後も辛徒の態度は変わらぬまま部屋にある男が入ってきた。

髭を蓄えたかなり年をとっているであろう男だ。

後ろには護衛なのかスーツを着た男が連れ添っている。


「お会いできて嬉しいよ」


「やぁ」


男の言葉に小さく涙頭は答えた。

少し男の後ろにいるスーツの男たちの雰囲気が悪くなるが、歳をとっている男が片手をあげるとそれも治った。


「私はこの博物館の館長の藁辺田正人だ。よろしく頼む」


「よろしくするような義理なんてないね。僕達は金さえありゃ動くんだ」


脳裏はそう言ったのける。

拒否ではない。事実を言っただけである。

必要とあらば微塵の躊躇もなく裏切るような輩が彼らだからだ。

他二人は少し呆れた様子ではあるが。


「……噂通りのようで。では早速仕事の話ですが、貴方にはココにあるダイヤモンドを守っていただきたい」


「オッケー」


「報酬は必ず払います。何卒ご尽力を」


「必ず払う? 別に払わなくても良いよ。全部要らないなら」


脳裏が言葉で男の頭を押さえつける。

報酬でなく、もはや徴収である。そう脳裏は言外に言う。

雇う者と雇われる者。だが決して雇うからと言って偉い訳ではない。その現実を叩きつけるように脳裏は淡々と話す。


「ここにある世界最大のダイアモンド。僕は興味ないから受けるけど……裏の人間はそうでもないんだよね。綺麗な石っころの価値なんて無いに等しいと思わない?」


「お戯れを」


「あんなもん砕けばそこら辺の宝石店にあるぜ? しかも成分なんて百均で買える。綺麗って凄いよね。成分が何であれ、高いんだから」


「……」


「希少……ねぇ。あんなモノに誘われる人ってさ、火に誘われて飛び込む虫みたいと思わない?」


「脳裏、そこまでにしておけ。ゴチャゴチャ講義する前に仕事だ」


堪らず鎖鬼から制止が入った。

時間の無駄だと言いたげに時計をチラリと見ながら鎖鬼は言った。

館長と名乗った男はだらだらと冷や汗をかいている。

男は脳裏に頼む、という事がどういうことかを再確認した。


「でもさー、逆に何聞くのさ。間取りはあるし、ある程度ここの設備も調べたぜ?」


「お前はもう少し接客業ってもんを知る必要があるな」


「……僕が?」


接客業ど真ん中の飲食店をしている脳裏である。

そんな会話をしている間に館長が体調を取り直した。

間取りはあるという脳裏の発言は考えても無駄という結論に至ったのだろう。


「流石の情報網のようで。私からは一点。もう一人私共が雇った者がおります。喧嘩等をして博物館を壊さないで頂けると……」


「ふーん? わかった。今回は許してあげる」


「はて?」


少しばかり細められた脳裏の目と不穏な発言。

鎖鬼が思わず頭を抱える。

館長の背中に嫌な汗がダラリと流れる。

その剣呑な雰囲気に館長もその護衛もただ狼狽える事しか出来ない。


「チッ……おい爺事前に言ってねぇのか」


「は、はぁ」


「ソレは俺らを信用してねぇって事にも捉えられる。俺らみたいな裏のモンを扱う時は気ぃつけな」


「やっさしー」


「テメェの依頼だろうが何だろうと依頼だ。きっちりやるさ。……それに俺が舐められた訳じゃあねぇしな」


そう言って彼は鼻で笑った。

興味がなさげな彼だが、舐められた対象が自分だった時どうなったのであろう。

その嫌な想像に館長は更に顔面の色の薄さを増させた。

すると館長は深々と頭を下げ、早々に帰っていった。


「かったりぃ。……夜まで暇だな」


「トランプでもする?」


「やだよ。ほぼ全てのゲームでテメェが勝つだろ」


「えー、零もやらない……って寝てるよ」


脳裏が鴉のいたところを見ると静かに寝息を立てる零がいた。

気を抜いているのかと思いきや脳裏が視線を向けていると少し呼吸が浅くなった。

鴉もプロであるし、警戒はしているのだろう。


「夜に備えてって事だろうが早すぎねぇか?」


「効率主義者だからね。こいつ」


「パフォーマンス下げたくねぇのか。……俺も寝る」


そういうと鎖鬼は寝る体勢になった。

目を閉じ、呼吸を深くしはじめた。

そんな鎖鬼に脳裏は不満顔である。


「えー、僕が起きてないといけないのかよ」


「テメェが依頼受けたんだろうが。それくらいやれ」


「はーい」


そうして部屋は静かになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ