酷く現実味のある酷く非合理的な兵器
こんばんは。
KURAです。
まーためちゃくちゃ間空きましたね。すみません。
書こう、書こうとvtuberの切り抜き見ながら思ってたんですけど気付いたら日が昇ってまして。
「……なるほど」
脳裏は呟いた。
それを聞いた脳裏は何か合点が行くようなものがこの場にあるのかと聞く。
己の見る限りとても信じられたものじゃ無かったからだ。
目の前には銀色に光る俗に言うヒーロースーツのような物を着ている謎の人物。そして少し横へとずらすとその人物がやったであろう燃え盛る鴉の乗っていた自動車。
一つたりとも理解できるものはない。
「いやね。人間型なんて非合理的な装置何処の誰が作っただろうと思ったんだけど……そっか。アレだ。パイロットの探しやすさと人員の安さだ」
「はぁ? ……確かに人一人死のうとアレなら操作も難しくは無いだろうし、すぐ見つかるとは思うぞ? だが、効率悪いし、合理的じゃないだろ」
「まぁね。二足歩行の時点で無駄があるし、人が入ってるという事で視点も限られる。欠点まみれだ」
目の前の謎のヒーロースーツを着た男への考察を二人で感じているとヒーロースーツを着た男が叫んだ。
それはもう己を誇示するかのように胸を張って叫んだ。
「ロマンだ!」
そう。この己をシルバーマンと呼ぶ男はロマンでこのスーツを作ろうと思ったのだ。
そして、作り上げてしまい、使いこなしてすらいる。
まさに天才と言えよう。
世間からは確かに天才とバカは紙一重と言うが、もはや一体ではないかとは言われているようだが。
だが、このようにヒーローショーの如く悪党を捕まえることは少なくとも評価はされている。
……まぁ、賛否両論のようではあるが。
「ロマン……? なるほどね。めんどくさい人種だ。計算しにくい」
「快楽主義の俺らが言うかよ」
「違いない」
二人はそういって笑い合った。
二人とも生粋の快楽主義であり、二人の行動を利益や損で計算してしまうとたちまち狂ってしまう。
その間にも二人は周りを確認し、己の装備を確認し、ある程度の情報交換を最小限の手振りやアイコンタクトで済ましている。
二人は犯罪のプロであり、このような不測の事態等慣れている。
今回は不測すぎて驚いてはいたが。
「銀行強盗三人、お縄に付け! さすれば命は奪わない」
「生憎、命程度を人質にされたところで止まるほど常人じゃなくてね」
脳裏は彼のその言葉を聞いてニヤリと笑う。
久しぶりに聴いた言葉だなぁ、なんて彼は思っていた。
彼らの影響力はもはや国へとまで及んでいるし、世界中を飛び回り、色々な国でやらかしたり、恩を売ったりする三人はもはや警察の手が届くところでは無かったからだ。
とはいえ、三人も捕まったことはあるし、今でも追われてはいるのだが。
脳裏が懐から取り出した鉄の玉を放り投げる。
その玉はシルバーマンの前まで飛ぶと突如回転しながら煙を撒き散らした。
その煙は彼の視界を全て塞ぎ、二人の位置を分からなくする。
だがこの男その程度では怯まなかった。
「煙幕なんて効くものか」
黙って突撃すればいいもののシルバーマンはそう言いながら走っていく。
漫画や、アニメ、特撮等ではお約束というやつなのだろうが現実でやるのはただのバカとしか言いようがない。
コレでは行く、と教えているようなものだし、声である程度の位置を把握できてしまう。
だがスーツのお陰なのか、その走る速さは人を超えていた。
スポーツカーとまではいかないが普通の車等であれば追い抜ける速さだ。
「速いね。負担とかないのかな」
「ま、いくら速かろうとチェックメイトかな」
だが黙ってその突撃を許すほど鎖鬼も甘くはない。
鎖鬼は特製の道具を投げていた。
二つの鉄球の間に糸が付いている。
それは一文字型に広がり、中央、つまりは腹の部分でシルバーマンを受け止めた。
すると、両端がシルバーマンの周りを激しく回り、シルバーマンを拘束する。
そして最終的にその両端に付いている金具が地面に突き刺さるというモノだ。
「小癪な……!」
シルバーマンを拘束したのは鎖鬼お手製の糸だ。
彼の作る最高の強度……とはいかないがトップテンに入るほどの強度の糸だ。
ビルが倒れようとも切れはしない。
こんな成人男性如きの力ではピクリともしない、筈だった。
「こりゃ幸運だね。鎖鬼の糸が切れる瞬間を見れるなんて。ミサンガみたいに願い事叶わないかな?」
「言ってろ。それにしてもそんなヤワなモンは作ってねぇんだがなぁ?」
「降参するから今のウチだぞ」
そうシルバーマンが言った時だった。
後ろから金属の塊が動物が捕食するかのようにシルバーマンを挟んだのは。
「鴉か」
「時間。第二経路が来たから帰るよ」
「あーいよ。んじゃな、昭和仮面」
「興味深いモノ持ってたね。また会えたら剥がせてもらうよ」
「……待てッ!」
三人はいつの間にやら頭上へと待機していたヘリから垂れている縄梯子を掴み、浮上していった。
他二人が笑っているなか、鴉だけはまさしく名前のように獲物を狙う目で鋭く彼を見つめていた。
「絶対捕まえてやるからなぁぁぁ」
少しずつ騒がしくなってきた犯行現場に寂しく取り残されてしまったシルバーマンの叫び声が響き渡った。




