第75話~……俺が一番危ない状況?~
お久しぶりです。ようやく定期テストが終了したので執筆を再開してみました。
まだ、進研模試や漢検が残ってますがとりあえず執筆しました。
ですが、前よりも執筆スピードが落ちているようでここまで書くのにも大分時間を割きました。
……早く執筆スピードを上げたいです。
今回は(も?)少し粗造りです。
目が覚めた俺の脳が最初に送ってきた信号はこうだ。
全身がイタイ。
もう、全身筋肉痛なんてもんじゃない。表情筋を動かすだけで激痛が走るし、両腕は今も尚熱した鉄を押し付けられているかのような感覚がする。更にまた嫌なおまけとして全身筋肉痛関係なく指が1本も動かせない。この原因についてはまだ魔力が欠片一つ分も回復してないことから、恐らく極度の魔力枯渇がそれなのだろうと推測出来るのだが……こんな状態で一体どうしろというのか。
溜め息を吐くと顔の下半分に激痛が走り、更にその痛みで動いた筋肉から順番に痛みが伝播していく。そこで増大した痛みで転げまわると全身を斬り付けられたような錯覚を覚え、そしてなんとか落ち着こうと深呼吸を吐いて……胸部と顔の下半分に激痛が走る。…………この痛みの連鎖から逃れることが出来るのにかなりの時間を要した、とだけここで言っておく。
考えること以外に何も出来ない状況で収集出来る情報をまとめてみたところ、どうやら気を失っている間にあの上級悪魔が俺達を落としたあの真っ暗な場所、闇空間から抜け出すことには運良く成功しているらしい。まあ景色だけで言えば、なんら闇空間と変わりなく、物という物が漆黒のヴェールに包まれて黒一色になっているのだが。それでも、背中から伝わる湿った土の感触や、今現在も右肘にチクチクと地味に俺の筋肉痛の再発を促進している何かの植物が当たっている感覚があることから少なくとも俺は地面に横になっている状態ということになる。まあ、闇空間から放り出されたと仮定すればこんなことになっていてもなんら不思議なことではない。
イルマとヤタも同じように脱出してくれれば何の心配も無いが、どうにもこうにも俺は学院に残してきた秋風さん達や闇空間ではぐれたイルマ達との連絡手段を1つも持っていない。今まで戦闘訓練やそれに役立つような魔法を考えるようなことしかしてなかったため、遠くの人と連絡を取り合ったり、その人の安否や居場所を確認するような魔法の使い方も、存在すら知らないのだ。まあ、あの3人は俺より圧倒的にポテンシャルが違うから大丈夫か。特に、イルマのあの魔法は汎用力がありすぎる。適当に極太光線が出るような道具でも創り出したらその時点で勝ちが決定したようなもんじゃねえか。
そして秋風さんに関しちゃ全く問題ない。下手したらイルマよりも生存率が高いかもしれない。あの人絶対、神とか偉そうなナニカの加護とか憑いてるよね? それか根っからの主人公体質。そうじゃないと普通、女の子にあるまじき腕力とか有り得ないし、30分格上と戦闘しただけで1年分の俺の経験を賄うとかそんなの論外だよね?
そんなわけで、イルマと秋風さんに関しては全く心配をするつもりはない。寧ろ俺の生存を願っていて欲しいくらいなのだが、ヤタは普通に心配だ。
ヤタに関しては心配じゃないところの方が少ないくらいなのだが、まず圧倒的な経験不足が挙げられるだろう。学院で初めて仲良くなった時になんとなく今までの事を聞いてみたことがあったのだが、ヤタは今まで魔力コントロールの訓練をしたことがなく、剣の扱い方すらソルリス学院入学試験の1ヶ月前からしかまともな練習を始めたことが無いらしいのだ。教わる相手がいなかったらしいのだがそれでも限度があるだろうと言いたい。あまりにもこの世界では無用心すぎるだろう。と、ついツッコミを入れたら、なんでも元々の性格が見知らぬ他人に頼み事が出来ない性格な上に、少しだけ対人恐怖症という事をかなり偉そうな口調とやたらと遠回しな言葉を頑張って解読した結果発覚した。
入学した当初の時点がその状態だったのだからふざけた補正でも無い限り急成長することなんか有り得ない。それは俺が身を以って体感している。種族が精霊になったとしても急にスペックが上がることは無かったし、あったとしてもスペックがごちゃ混ぜになって今まで出来たことが出来なくなって、出来なかったことが出来るようになったくらいだろうか。例えば魔力球を魔力針になるまで圧縮して高速で射出出来たり、魔力球に細工を施せるようになったくらいだろうか。
そしてメリッサさんに関しても実は少し心配をしている。彼女はヤタとは違って俺らの誰よりも経験を積んでいる。しかも拳1本で突き通しているから拳のみを使った戦いなら、父さんにも対抗出来ると思う。それ程拳の強さと同様に体捌きが上手いのだ。だが、それでもそこまででしかない。自分の肉体が一切通用しない時、例えば触れない敵や、無いとは思いたいが全身火達磨の敵。こんな相手に出会った時には成す術もなく殺されるか、必死で逃げるしかない。
メリッサさんは今まで魔法を使ったことがなく、魔力を必要だと思ったことも無かったらしい。そこでこのような話を懇切丁寧に説明したところ、真面目な顔をして魔法の練習も始めることを了承してくれた。それから練習し始めたのだが、それでも半年しか経っていないから実戦で十分に活用出来るレベルには発展してないだろう。出来て魔力球を投げつけたり、ゆったりと回復させることが出来るくらいだろうか。少なくともメリッサさんの戦い方にあった魔法はまだ使えないのは確かだ。
さて、ここまで皆のことばかり考えていたが俺のことはどうしようか。
現在の俺の状況。①体が少しも動かない。だが、今は動かそうと思えば出来るレベルに何故か回復しているがまともに歩くことすら困難だろう。②魔力が枯渇している。しかも一向に魔力が増える気配が無い。原因不明。③知らない場所にいる。しかも暗すぎて触れ合うレベルにまで近づかないと何があるか分からないときた。④腕が無い。⑤ナナが中で眠ってる。
①はまあしょうがない。グリーヴとあれだけの戦いをしたんだから精霊ボディには耐えられなかったのだろう。いつか筋肉痛でも問答無用で動かせるように何らかの方法を考え出さないといけないだろう。②はぶっちゃけ分からないが、魔力を異常に使いすぎたことが何か関係しているのだろうか。③、④は特に何が原因ということでも無いのでどうでもいい。⑤は……危なくなったら起こしてとか言ってたからまだ良いか。特にまだ死ぬレベルでピンチじゃないだろ。
とりあえず、この現状はどうしよう。試しに体だけでも起こしてみようか。少なくとも
周囲が真っ暗だとしても真上を見るばかりでいるよりはましだろう。
そして俺は手を使って体を起こそうと思い、止めた。わざわざ傷口を地面に押し付けて体を起こそうとしなくても良いだろう。……しょうがない。絶対悶絶すること間違いなしだろうけど足で起き上がるか。
ようやく考えがまとまったところで足に力を入れる。ふくらはぎを攣ったような痛みがして、太股にも木製バットで叩きつけられた感覚がするがそれでも構わず、次に上半身や右肘を使い上半身を起き上がらせ、足を伸ばして座っている形になる。
ここまでで既に激闘後のような気分だが、まだ立ち上がるまではもう少し気合を入れないといけない。
「…………!」
よいしょ! と、喋ると顔面が痛むため無言で気合を入れて足に力を入れて、立ち上がる。すると、立ち上がれるには立ち上がれたのだが、足から不意に力が抜け、更に立ち眩みもしてしまい前のめりに倒れこんでいく。
…………嗚呼。これは顔面がかなり痛いだろうな。どうしようか。足を前に出して踏ん張ってみるか? ……って無理だな。力が抜けてるのに足をすぐに出せるわけがないか。
それじゃあ…………重力に甘んじて倒れますか。まあとりあえず目を閉じてっと。
痛みを覚悟した俺はゆっくりと倒れていくが、この体が地面へと叩きつけられることは無かった。倒れる途中で何かに支えられたらしく、体を恐らく腕と思われるもので抱えられ、頭が何か柔らかい2つのモノに挟まれている状態になっている。正直言って何かに触れられているお陰で全身を打たれている感覚がするので触られるのは勘弁してほしい。地面に叩きつけられるよりは圧倒的にましだから後で機会があればお礼を言うつもりだけどね。……っていうかそもそも今俺を支えているのは本当に人間なのだろうか?
「……大丈夫? 死んでないよね?」
……どうやら人間らしいので右腕を動かし返事をする。
「そっか……。見た目大変なことになってるから私達の所に連れていくね」
…………りょーかい。
そこで俺は人に体を預けられる安心感から意識を手放した。
―――はずだったのだが。
っぐ、っぅ、いたっ。
痛みで全く眠ることが出来ません。
現在誰かに背負われて運ばれている所為か歩くテンポに合わせて定期的に振動が伝わってくる。そしてその振動が全身筋肉痛の俺にとっては、その緩やかで眠りを誘うような心地良い振動が何度も鉄球を肩にぶつけられている拷問のようなものに感じてしまう。だが、俺は文句を言うことが出来ない。喋ると痛むというのも理由の1つではあるのだが、この人は好意でこんな怪しい場所にぼろぼろの人間を介抱するために運んでくれているのだからこの人を責める権利など無いのだ。嗚呼、早くこの人達の家に着かないのだろうか。痛みで声を出すのを我慢するのも意外ときついんだけどな。
「……着いたよ。ここが私達の隠れ家。…………喋れる」
「ま……だ、む…………り」
口を動かすことにより襲い掛かる痛みを我慢してかろうじて四語を発音することに成功し、今俺を背負っている人に意思疎通をすることが出来た。
「そう。とりあえず私の寝床に寝かせておくから……喋れるようになったら教えてね」
おぅけぃ。
その意思を込めて右腕を動かすと、頷いて俺の体をゆっくりと地面へと降ろすと、先程まで俺が寝転がっていた地面が固く小石が地味に激しい攻撃を仕掛けてくるあの場所と違って、何か柔らかい物の上に布を敷いた簡易ベッドのような所に優しく寝かせられた。
さて、ここは一体どこだろうか。さっきの……まあ、声の高さからして女性なのだろう。彼女の話が本当なのだとしたら、ここは彼女が住んでいる寝床なのだろうが、今まで運んできてもらった道を俺はほとんど観察していたのだが全く見えないのだ。ようやく目が慣れてきたとしても明かりが無い限りまともに歩くことは不可能な程、ここは暗すぎるのだが、彼女は明かりを点けなくともまるで全て見えているかのように歩いていた。
今考えてみると不可思議な点は色々あった。
何故、こんな場所に彼女は1人でいるのか。それに家だというのに何故光源の1つも点ける素振りを見せないのか。そもそもあの真っ暗闇の中で俺の姿をどうやって視認し、状態を確認出来たのか。しかも、だ。今現在は1人しか見当たらないが、俺を運ぶ時彼女は「私達のところ」と言った。それなのに彼女以外に人が見当たらないのはどういうことだ。
まあ、分からない所はありすぎるがその事は回復してから聞けばいいか。
ようやく、考えがまとまり、ようやく学院での死闘の疲れを癒すために先程から主張してくる眠気に身を任せた。




