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65話~追いかけっこなんてなかったんだ~

追いかけっこの描写・・・をぶっ飛ばしての回想終了です。

すいません。どうもあの描写を描いたら中途半端になる気がしたので。



そして姉からテオ君の絵を描いて貰ったので登場人物紹介の所に載せました。

よかったら見に行って下さい。

俺は今まで閉じていた目を開けた。しかし、視界には何も映らなかった。

「………うん?」

いや、別に闇空間なんだから黒一色で何も映らないというわけじゃなくて、俺の体も見えないっていうのは可笑しいだろ。今までの行動を細部まで思い起こそうと集中していたから何が起きていたのか理解できていなかった? いや、例え集中していたとしても何かが体に触れれば分かる程度にはなっているし……、もしかして知らないうちに闇魔法を使える誰かから呪いを掛けられた? いや、その割りには体に異常は見られない。


 「あー、うっとうしい」

半ば思考を放棄して、おもむろに目の近くを払うような動作をしてみた。もしかしたら見えない生き物で触っても何も感触が無いのがひっついているかもという無駄に阿呆な思いつきに縋ってみることにしたのだ。


 そして、目のあたりを何の抵抗もなく通過し、少し上に行ったあたりで何か奇妙な感触があった。柔らかく低反発マットのような弾力性のある何かだ。はて。これが俺の目に何か異常を与えるとも思えないし。……いやいや、もしかしたら何かの魔法の媒体にしているのかもしれない。とりあえずどかそう。

見たことも(見えていないが)ない物体をどこかにやるために、手探りで探して、右手がそれを当てた。しかし、その時に気づいたが、これはふたつあるらしくすぐ近くに同じような感触が手の甲に当たった。そして両手でそれを掴む。触った当初の形は楕円形だと思っていたが、これは少し浅めの山型のものらしい。

………柔らかく弾力性があり山型のものが2つだと?


 この時、俺はここで初めて触覚以外に聴覚も使用した。

「ぅ……ん…」

そして聞こえてくる艶めかしい声、この聞いたことがありそうな声の主は恥ずかしいのか声を漏らさないように頑張っているようにも思える。


 「………ごめん」

俺は誰に向かってともなく、ただくうに向かって一言、呟いた。

理解した。理解してしまった。先程まで俺のやっていた所業を。そして今俺が今どのような状況になっているかも瞬時に頭の中で状況が鮮明に構成されてしまった。


 「……んー。分かった。呼んでも来ないからなんだろうと思って様子見に来た結果、こんなことになるとは思わなかったけど、許す」

近距離、しかし頭上からのんびりと間延びした、ナナの声が半ば呆然とした俺の耳に入ってくる。どうやら許してくれたらしい。そして俺の口もそれに対応して自動で動く。

「……ありがと」

「でも……テオ君が9歳にして欲情しちゃうと思わなかったよ。こっそりとここで発散させて上げよっかー?」

「断じて違うと言っておこう」

「アハハ。分かってるよー。テオ君の理性は鋼だもんねー」

冗談に聞こえない冗談を言って、ようやくナナは俺の目の前からどいてくれた。今まで俺の目が何も映さなかったのはナナが俺に触れるか触れないかの所で様子を伺っていて、そのナナの真っ黒のローブが目の前にあったから俺の視界は暗かったらしい。

まあいい。今はそんな事に考えを割いている暇はない。……しかし初めて触ったのがこんな形でって……。こういったことをちゃんと正式な手順を踏んでしたかった。……いや、こういったことにはそんなものなんて無いと思うからこれもその形の1つかな。アハハ。



 その後、何事もなく教室で気絶ではなく睡眠状態にあった秋風さんを何かされてないかを確認した後に回収し、靴箱で待ちくたびれていたメリッサさんの追及に適当に暴露しつつ、それぞれの寮に帰る。この一連の行動をしている間終始テオの目は遠くをぼんやりと見つめていたことを記しておく。このテオはルームメイトのイルマにより再起動させられた。





そして現在に至るわけだが、俺は現在非常に先程の意識がぼんやりとした状態ですぐにベッドに突撃して不貞寝したい気分なのに、何故か俺はイルマに正座させられている。まあ床ではなくベッドの上だから平気なんだが。どんな理由で正座させられているのかさっぱり分からん。そしてこれをさせた当の本人は何故かいつものニヤニヤ顔がなりを潜めてい……あ、ニヤニヤしかけた。あ、口元抑えた。

「なあ。イルマ?」

「なんだいテオ?」

「なんで俺はお前に正座をさせられているんだ」

「それはな、何処から説明をしようか。まず俺は最近修行の合間に情報収集をしているのは分かってるな?」

「ああ。なんか創造の魔法で色々と人の世間話を拾ってはお前の頭の中にフィードバックしてるのをよく見かけるけどそれだろ? よく頭がいかれないな。俺なんか数十人の会話記録を一気に入れられたらすぐにおじゃんになるぞ」

「まあ、その辺はどうでもいいよ。それにテオにも多分出来ると思うし。俺が言いたいのはその情報収集の結果、テオも魔王がこの世界に存在していて、今現在、何代目かは知らんがその魔王が生きているのは知っているな。それが最近になって活動を始めたらしい」

「へえ。っていうか俺、魔王いるのは知ってたけど生きてるのは知らなかったぞ。いつからだよ」

「おおよそ7年前発見された。質問については後でまとめて答えるとして、続きを話そうか……」


 そうしてイルマが発表した情報を聞いて俺は少なからず驚くことになる。平和なんてハリボテと同じようなものだったのだと。


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