61話~異種族とな?~
「…うん。それじゃこんな感じの作戦でいくけど良い?」
「それで良いっていうかむしろそれが一番良いんじゃないの!? ……テオ君って実は天才?」
「なわけないでしょ。別にこのくらい誰でも思いつくって。それに俺の頭は天才みたいに出来た脳は持ってないし、狂ったような案も出せないからね?」
「いやいや。私の頭からはそんな考え出てこなかったって。それにテオ君座学の成績飛び抜けてるよね」
「努力の賜物です」
そう言うと、秋風さんは何故か妙に納得した顔をしてくれた。…これは本当に努力だけで才能が無いととらわれていないか少し心配だな。別に天才程じゃなくても人並みの才能はあるつもりだからね。
……それにぶっちゃけた話、才能という点では秋風さんとかイルマに比べて劣っているのは確かなんだよね。俺が3回やって覚えるのを1回で覚えるし、なにより俺が数年間で培ってきた戦闘センスが秋風さんの場合あの女兵士との戦いの数十分に凝縮されているのはどういうことだ。ちょっと、ほんのちょっとだけ悲しくなったよ。本当にちょっとだよ?
………はあ。
「どうしたのだテオよ。我の臣下ともあろう者が、溜め息を吐くなど許されぬぞ! 我の軍門に下ったのならば常に先を見て生きるのだ!!」
「五月蝿いよヤタ。そんなに本名をばらされたいか」
「ぬ……許せ」
溜め息を吐いた途端に何処からわいて来たのか、イルマ曰く「自称オリ主」らしいヤタが耳に響くくらいの声で叫んで来た。ちなみに本人はヤタと名乗っているがメガネで見たところ偽名である事が判明している。そしてこれは本人から聞いたことなのだが、このどこか偉そうな口調は自分が思ったことを話そうとすると勝手にこうなるらしい。だからそこは適当に流しても大丈夫なのだが、「我の臣下」。これがいけない。周りの視線が少し気になる。これも翻訳してみれば「俺の友達」となることが最近になって判明したことだが周りからすれば俺はこいつの臣下というように見えるわけだから性質が悪いもんだと思う。
まあ、テンションが最高潮になるか興奮しすぎると性格が暴虐の限りを尽くす独裁者みたいになるけどそれ以外は中々気の良い少年だ。まあ見た目はかなり逸脱しているが。
まあそれはさておき。
「それで何か用があるのか。ヤタ?」
そう言うとヤタは「ああ、そうであったな」とか言い出した。忘れてたのかよ。
「実は、さきの話は我の耳に届いていたのだが、最近ストーカーというかそれに似た様な事件が相次いでいるのでな。それを伝えようと思ったのだ」
「事件? なんぞや」
「ある少女が言うには、近頃我の領域(俺の学院内)に吸血鬼がいて問題を起こしているという噂が流れいるようだ」
「吸血鬼かあ………吸血鬼? え? それまじか?」
「まじだ」
俺はこの世界に吸血鬼がいるのかもどんな奴かも知らないけど、イメージは人間の能力は軽く凌駕し、体は蝙蝠や霧に変化出来て、血を吸うとパワーアップ。更には弱点をつかない限り血を吸えばいくらでも再生出来るっていう感じなんだが。…さすがにないよな。
ちなみにこのことを後にイルマに話したらドン引きされたとだけ伝えておこう。
「それでどんな話だ」
「うむ。簡潔に話すとだな。夕方の庭(学院)でそれなりに(顔が)整っている少女が1人でいると、不意に背後から何か小さくて鋭い物が2本刺さった感覚がすると、何時の間にか気を失い、起きた時には既に夜中で、決まって机に突っ伏した状態になっているそうだ。そして貧血のような感覚を感じたことで、夕方の事を思い出して首を確認すると何かに噛まれたような後が2箇所あると聞いたぞ」
「……なるほど。確かにそりゃ吸血鬼だよな」
「だろう? よって、此度のこれもそれが関わっている可能性が高い。あの女が襲われぬように気をつけておいた方が良さそうだぞ?」
「リョーカイ。まあ忠告ありがとうな」
「礼などいらぬ。お前は我の臣下(友達)なのだからな」
……本当にこの口調が勝手に出るものだと仮定するなら良い友として見れるんだけど。
「ヤタ君! 情報提供ありがとうね!」
「あ! はい! このくらいお安い御用ですぜ姐さん!」
秋風さんのお礼に全力の敬礼とともに子分のような話し方をするヤタを見て溜め息を吐いた。
本当に口調は決められているのか………?




