59話~導入的な?~
お待たせしました。とりあえずおおざっぱには学院編の内容を決めてきたので
更新を再開することにします。
そして今回は三人称視点にチャレンジしてみましたが、やっぱり難しいですね^^;
そして今回はとっても文量が少ないです。
既に目に痛いオレンジ色の空から心落ち着く暗闇へと移り変わる頃、ある学院に2つの足音が響いている。
1つは不規則な調子の音で、もう1つはゆっくりと歩き、まるで獲物の狩りを楽しむかのように規則的な音を刻んでいた。
そして獲物である、一目見ても性別がよく分からない――強いて言えば男物の制服を着た幼い女の子――が、全力で校舎内を決してスピードを落とさないように全力疾走している。この姿をこの学院だけでの友人が見れば酷く驚くことだろう。
何故なら垂直の壁を地面を走るかのように走っているのだから。
「っく……っはっはっは……」
しかし、それが出来るだけの速度で走っているのだから、短時間で息が切れるのも自明の理。よって――
「っはっは…っぬあ!?」
足を滑らしたことで突如として中断された息を吐く音とともに、重力に従って落ちる体。運が悪く丁度窓の側で落ちたため、外へと投げ出される。しかも更に不運なことに、落ちたその窓の場所は試合場の全体がよく見える3階。普通の人間ならば落下したと同時に即死する域である。
「やっべ。どうしよ」
特に四肢をばたつかせるような事もせず、他人事のように言う中性的な声と姿の獲物(追われている者)は何故かほとんど焦るような素振りは見せない。それが素なのか、只の強がりなのか、単に諦めているだけなのかは当の本人しか知らないだろう。
「テオ。安心して落ちて大丈夫だよ」
しかしここで、追う者でも追われる者でもない新たな第3者の声が響く。しかも現在落下中のテオと呼ばれる人物の内側から。
それは死刑宣告か? と聞く人が聞けばそう思うだろう。が、
「リョーカイっと」
至極簡単に、挨拶でもするかのように自然の流れで了承し、何も無い空中を蹴ることで落下する速度をさらに増幅させた。
そして、地面に接触するまで後少しとなり――
テオの姿は地面をすり抜け、そこには暗い闇しか存在していなかった。
そこにやってくるは獲物を追う者。
「逃げたか……。まあいい、どうせ逃げられはせんのだからな」
学院主席入学者の姿だけが月明かりに照らされていた。




