58話~受験後②~
「…ぬぁー」
「うにゃー」
「ふはー」
……現在俺とイルマは机に突っ伏しており、そこでうつ伏せのまま変な呻き声をあげている。気のせいか何人かに見られている感覚がするがまあ、それは入学当初特有のあの視線だろう。だから放っとけばすぐに離れるはずだ。
「なんでこうなったんだろうな。イルマぁ?」
「それは俺たちがヘタレで非リアだからさあ。っあ、お前はリア充だったなテオ」
「なに!? 我の眷属となるべき御前らが我より先に女を侍らしているだと!!? そんなこと許さぬぞ! 今すぐ我にも紹介するが良い!!」
「いや、俺リア充じゃないから。普通にいつも通り暮らしているだけだから」
「つまり今も昔も同じように暮らしていて、これほどモテモテなのは昔より顔の造形が良くなったからか? 昔でも顔が良ければもててたってか、ん?」
いつも通りイルマのひねくれ具合は通常運転のようだ。
「……まあいいや。そんなことは置いといて何でこうなっちゃったんだろうな」
「……うぬぅ」
「? 何も異常など起きていないと我は思うのだが」
俺が遠い目をしながらぼやくとイルマはまた机に突っ伏した。
……それとさ、さっきから思ってたんだけどちょいちょい会話に入ってくるお前誰だよ。見た目ギラギラしてて気持ち悪いし、無駄に魔力垂れ流してんじゃねえよ。
俺は無言で会話に無断乱入してきた金銀のオッドアイで銀髪に前髪の所に一房金髪が紛れていて体と顔が合っていないくらいのイケメン君にツッコミを初めて入れた。まあそれに気づくことは無いだろうが。……っていうかお前転生者だろ。メガネで診てやろうか?
そんなこんなで2年生クラスでローテンションでだべる少し前。
「んー、205はどこにあ、る、の、か、なー。……そういえばメリッサさんは何番?」
俺は掲示板に貼られてある学年ごとの合格者の受験番号を探しながらメリッサさんに聞いた。俺達は一緒に来たから番号は連続しているがメリッサさんのは知らないから見逃してしまうかもしれない。
「私は96番だな。テオ君のは……205番だったな」
恐らく俺がさっきぼやいていたのを聞いていたのだろう。俺が答える前に自己完結していた。そして今は1年生で入学することになった合格者の欄を見ているが、まだ見つかっていない。探している間にも周りは雄たけびやら甲高い歓声やらで溢れかえっている。この光景はどこの世界に行っても変わらないのかもしれない。
ちなみに探している内に気づいたのだがこれは上から順番に成績が良い方から悪い方へと流れているらしい。中々性質が悪い。これだと、やれ不正だとかやれ落ちこぼれだとか言う奴が出てくるだろうに。どんだけ学内を格差社会にしたいんだよ。
まあ不幸中の幸い(?)と言えばいいのかメリッサさん曰く、
「今年は前よりも受験数が異常に多くて更に合格者も多く採ると知らせているから前よりも落ちこぼれが孤立するということもなさそうだな。200人が300人になってるしな」
だそうだ。そして掲示板に書かれている学年ごとの合格者人数は1年250人、2年45人、3年5人。という振り分けだそうだ。
「1年の所には無いみたいだよ」
どうやら秋風さんが一年のところを全て見終えたらしいが4人とも番号は無かったと。
「それじゃ、次は2年生の所だね。……って、早速あったよ。3位か」
「俺もあった。5位にだけど」
隣で少しだけ不貞腐れた口調でイルマが報告していた。………確か、2年上位は7割引きだったっけ? そう考えると上出来なんだろう。
「―――ん? 兵士に負けた俺らで2年ってことは勝った秋風さんとメリッサさんは………3年か?」
別に勉強の成績なども加えれば2年に居るという可能性もあったのだが、この2人に限ってそういうことはないと思う。あの2人って必ずクラスに1人はいる様な俗に言う完璧人間に近いと思うんだ。……ほら。あそこにちゃんと2位と3位って………
「どうしたテオ君? 急に目を擦り出してから。目にゴミでも入ったのか?」
「い、いやなんでもないよ」
俺は内心動揺しながら否定し、もう1度さっきと同じ場所を見た。
『2位 206番 3位 96番 4位 ・・・・』
はい。見事に学院3本の指に合格者の中で入っちゃってますね。
………まじかよ。
「そんなこんなで俺らは2年(中堅)であの人達は3年になりましたとさ」
「誰に話し掛けてるんだテオ?」
「俺に話し掛けてる。ただの状況確認だ」
「そうか」
「そうだ」
「そうなのか」
「それで、さっきから割り込んでくるこの人は誰なんや?」
「あれだ。多分――」
「良くぞ聞いた! 我は星の造物主より力を貰いうけ転生した神の使いである!!」
「あーはいはい。つまり神様特典貰って転生したんだね。異世界に」
「解説ありがとうイルマ」
本当に分かりにくいというか鬱陶しい言い回しの転生者だ。
こんな感じで8年振りになる俺の学院生活は男だけで始まった。




