53話~受験⑨~
約十日振りです。テストがオワりました。
そしてテスト期間中にいつの間にかポイントが千を超えていたことに驚きましたが、次は五千を目標に頑張ってみます。
ちなみに今回は読めば分かると思いますがテオ視点です。
試合全てが漸く終了すると、試合後に数字が書かれた整理券を配られた受験者はここに残り、他の者は試験は終了したのでもう帰ってよいという声が響いた。ここに放送機器は無いわけだから恐らく先生が魔法で声量を大きくでもしたんだろう。
そしてさっきの声がまた響き、1番から7番の整理券を持つものはすぐに学院が所持する武器を持って試合場に来るようにと言っていた。
「そういえば、これから何をするか秋風さんは分かる?」
「多分……国の兵士と戦うんじゃないかな? ほらあそこに丁度7人大人が立って待ってるよね?」
「んー? ちょっとイルマメガネ貸して」
「あいよ」
「あんがとよ」
受け取ったメガネを装着して試合場に立っている大人達を拡大して見た。なんとこのメガネ、最近イルマが改良してズームも出来るようになったようだ。これで最長1キロ先のステータスの詳細すら見ることが出来るらしい。お前は一体何を目指しているんだと少々問いただしたい気分になるが言ってしまうと何か変な蓋を開けてしまいそうな気がすると俺の直感が珍しくそう教えてくれているのだ。
まあ、そんな今はどうでもいいことは置いといて大人達を見てみると、やはり俺が想像していたのと同じようなものが見えた。
一般人よりも体力は高く、剣術は槍術などどれか1つの武器のスキルが他のスキルよりも抜きん出て高いのだ。恐らく、この時点で一般人やついでにさっき見た先生のステータスを見るにそれは有り得ないのだから、この人達は冒険者、もしくは国の兵士ということになるんだろう。そして何故か1人だけ少し老け気味のおっちゃんだけ剣術と槍術があって妙に槍術と体力が高い。いや、別に剣術は他の兵士と同じくらいだから低いわけじゃないんだが。それでも絶対にあの人に当たった人は負けは確定するだろう、と思うぐらいには槍術を極めているように見える。
一体これは何をさせるつもりなんだろうか。…いや、前に父さんが兵士にも戦えるレベルにもなれば問題ないと言っていたから言葉通りこの兵士と思われる人達と戦えというのは分かるんだが、こんなまだ発展途上の12歳とほとんど体が出来上がっていて尚且つ戦い慣れていると思われる兵士なんかと戦わせても普通結果は見えているだろうに。
「なんか、あの人達普通に兵士か冒険者なんだけど、絶対に受験生が普通に戦っても体格差とか技術とか経験とかを踏まえると絶対に負けると思うんだ。その辺どう思う? イルマ、秋風さん、メリッサさん」
俺は先程つらつらと考えた考察を近くの友人3人に簡単にまとめて聞いてみると、2人はしばらく迷うような表情を見せて、1人はニヤニヤとした表情を崩さないまま答えてきた。
「それは、多分これは負けても何も問題が無いということじゃないのか?」
「負けても問題が無いって…?」
「だからさっきの乱闘で既に実技の合格者は既に大方決まってあって、次からは1対1、つまり個人の技術でしかも兵士相手だから突出した実力を持たないと勝てないだろ? だからこれに勝つことが出来れば奨学生か飛び級をすることが出来るってことだろうよ」
「へえー。それなら俺らはあの人達に勝たないかんってことか?」
「まあそうなるね」
「うぇー! 力任せにいって勝てる相手なのかな。テオ君、どう思う?」
「多分…一番奥のごつめの人ならいけるけど他の人は無理かな」
俺は秋風さんに少し笑顔も混ぜて言うと秋風さんが膝から崩れ落ちて、嘆き始めた。
まあ、この時点で秋風が勝てる確率は実質7分の1以下にまで下がっているのだからさぞかし秋風さんにとって俺の言葉は死刑宣告にでも聞こえただろう。実際に対人戦の勝率で言えば秋風さんが3番目になり、ここで飛び級に失敗すると学年が離れる可能性が大きくなるから中々心中でも外面でも焦っているのだろう。それはある意味杞憂に終わる可能性の方が高いのを俺は知っているが敢えて教えない。
……別に秋風さんが力任せにいく場合のことを聞いてきたから教えただけで、冷静に分析しながら戦えばおっちゃんともう1人2番目に強そうな女の人に当たらない限り勝つ可能性は十分にありそうなんだけどね。まあ、ここの兵士が予想以上に強いというのを考慮に入れなかった場合は、だが。
「なあ、テオ君」
「…んあ? ごめん。ボーっとしてた。何、メリッサさん?」
「リサはそのままにしておいていいのか、っじゃなくてイルマがもう行ってしまったようだが声は掛けなくてよかったのか?」
「え……? あ、ほんとだ」
先程までイルマのいた位置を目を向けるも、そこにはあのニヤニヤしたイケメン顔は無かった。そして試合場の方を見てみると、丁度試合場に入るところだった。
「んー…まあ声は掛けなくていいと思うよ。別にイルマだからきっと慣れてるでしょ」
俺はあっけらかんと悩むことを止めて、イルマの戦いを見ることにした。




